転職は自分一人だけの問題ではない
世の中には仕事が全てという方もいらっしゃいますが、家族と生活している方にとって仕事は生活の一部でしかなく、ひいては家族生活と仕事を両立しなければ両方とも行き詰まってしまうなどという危険すらはらんでいたりしますね。
こうして転職が生活環境の変化をもたらすことを踏まえると、転職は自分1人だけの問題ではありません。 さて、今回は、身内への了解を得ようとはしたものの、予想していなかった反対にあい、内定を辞退なしければならなくなった方のお話です。
面接が盛り上がり、すんなりと入社合意
Aさんとお会いしたのは、約半年前のこと。マーケティング関連の経験を持つ方でした。
「Aさん、2年前までのお仕事とここ最近の担当業務には若干違いがあるようですが、その辺りが今回転職相談に来られたことに関係あるんでしょうか?」
「はい、実はまさにその通りでして、今の仕事は決して意味がないとは思っていませんが、会社に直接的に利益貢献するような仕事ではないため、何となく物足りなさを感じています。自分がやったことが結果として数字に表れてくるような仕事が性に合うんです。」
「人事異動の際には、その希望を伝えたのですか?」
「いえ、会社の異動に逆らうという発想がなかったのと、やってみる前にあれこれ言うのもどうかなという思いで、チャレンジしてみることにしたのですが、2年経った今、やはり何かが物足りないという思いを抑えられなくなってしまいました。」
Aさんのお話を一通り聞いた後、B社の求人情報を案内したところ、Aさんは非常に興味を持ち、その翌週には面接に進むことになりました。B社はAさんの今の会社と業界は違うものの、2年前までのAさんの経験が充分生かせる仕事内容でした。面接には私も同席したのですが、大いに盛り上り、双方グッと引き合ったという感触が充分感じられました。
面接の最後にB社の事業部長から、「どうですか、一緒にやっていきませんか?」と、既にオファーとも取れる発言まで出て、「最終的には諸々諸条件を確認してからですが、是非是非一緒に働かせて頂きたいと思います。」と力強く言い切ったAさん。
面接終了後、私が「Aさん、あの場ですごく前向きな発言をされていましたが、大丈夫ですか?フィアンセへの相談も済ませているんですよね?」と一応確認をすると「はい、彼女には私自身の希望を尊重してもらえると思います。」それを聞いて私も一安心。
内定辞退となってしまった理由
後日B社の人事部長から給与条件等についての連絡があり、それをAさんに伝えたところ、「希望ラインをクリアしていますし、是非B社で頑張りたいと思います。」と非常に鮮やかな決断でした。ということで、AさんからB社への入社について合意を得たのでした。
ところが、翌日Aさんから電話があり、今回のお話はやっぱり辞退するというのです。驚いて私が事情を確認すると、「実は彼女(フィアンセ)の理解を得られませんでした。私としては仕事内容について非常に興味を持ちましたし、やっていけるという自信もある上、給与条件についても満足できる内容なのですが、長期出張や深夜残業も結構あるという点で彼女に反対されまして…。」 と元気がないAさん。
私は「あれ?事前に転職についてしっかりと彼女に相談済みだったんじゃないんですか?」と確認すると、「自分では大丈夫だと思っていたんですが・・・、ちょっと思い過ごしがあったようで・・・。会社は世の中に沢山ありますが、彼女はたった一人の存在ですから!」結局、この結論は変わらず、残念ながら今回のお話はご辞退という結果となりました。
転職の際の大きな関心事としては、仕事内容や給与条件などがまず考えられますが、転職することにより生活を含めた環境がガラリと変わることが多々あることも事実です。自分にとって大切な人との相談は早い段階からしっかりとしておかないと、無駄な時間を費やしてしまうことになり兼ねません。
今回の教訓&アドバイス
転職は自分一人だけの問題ではない
身内への相談は「早めに細かく」を大切に
転職によって、身内にどんな影響があるか考え、心情を確認しておく

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