面接官の本音 vol.137   STRIVE株式会社

STRIVE株式会社

公開日:2020.09.10

「起業家と同じ船に乗り、共に立ち向かい、共に汗をかく」とのスタンスを掲げ、既存の投資家の枠からはみ出し、あらゆる面から事業成長を支える存在を目指すSTRIVE株式会社。アーリーステージのスタートアップを中心に支援し、積極的なハンズオンで成長に伴走する独立系ベンチャーキャピタルだ。同社の代表パートナーを務める堤達生氏に投資先の経営幹部候補の採用面接について、お話をうかがった。

STRIVE株式会社 代表パートナー 堤達生氏

Contents

【インタビュアー】コンサルタント 松永 拓也

「質問力」=「考える力」。面接では、どれだけ深く考えて質問しているかを見ている。

Q

まず初めに、STRIVEのご説明とあわせて投資先企業についても教えてください。

当社はシリーズAでの投資をメインとしたVCであり、リードインベスターとして入ることが多いです。投資先業種は、IT関連だけではなく最近はSkyDriveのようなハード領域やカバーのようなコンテンツ系ビジネス、あるいは農業の企業に投資する等、幅広いです。CxOレベルの採用ではほぼ全て私がお会いしており、投資先の経営者の方が採用すべきかどうか判断に迷っている場合に、「投資家の立場で客観的に見る」「候補者の方を口説く」目的で面接に入っています。

Q

面接で必ず聞く質問はありますか? 

会社によって異なるので、キラークエスチョンのような質問はないですね。面接では、カルチャーフィットを一番重視して見ています。面接は企業から質問して候補者が答えるものだと思われがちですが、私はあまり質問をせずに候補者がどういう質問をしてくるかを見ています。候補者には優秀な方が多く、こちらからの質問にはそれなりの回答を用意しているため、候補者からの質問内容をより重視しています。自分なりに考えて志望してくださっていると思うので、どれだけ深く会社のことを調べて考えてきているのかを見ています。自分でしっかり考えていないと、なかなか質問できないものです。まさに「質問力」=「考える力」だと思っていて、その力があればジョインした後にワークできると考えます。過去にやってきたことだけを聞いてもあまり意味は無いので、質問力とリファレンスでその人を見極めています。

Q

面接でカルチャーフィットや経営者との相性をどのように見ておられるのですか?

シリーズAのフェーズはまだ売上も立っていないような時期なので、どんなに優秀でも「この仕事しかやらない」という人は合いません。アグレッシブでどんなことにも好奇心を持って取り組める人が良いですね。事業の理解度やビジョンへの共感などを聞くと、本当にその領域が好きなのか、単にポジションや条件が欲しいだけではないのかが見えてきます。経営者との相性はケースバイケースですが、前だけ見て突き進む経営者の場合はバランサーが傍にいたほうがいいかもしれませんし、モノづくりが好きな経営者の場合は表に出るスポークスマンタイプが良いかもしれません。経営者のタイプによって、どういう人だとフィットするかというのは常に見ています。

Q

過去に「こういうチーム状態でこんな人がマッチした」という事例はありますか?

某投資先企業のCFO(管理部門長)を採用したケースでは、監査法人でキャリアを積んだ後にスタートアップでの経験もあり、同社のビジョンやカルチャーもとても好きということでフィットしました。CEOが担っていた管理の部分をその方にお任せすることでCEOは事業推進にフォーカスでき、企業成長につながっています。アーリーステージの企業では「CEO=チーフ・エブリシング・オフィサー」になりがちなので、CEOの補完ができるかはとても大事です。「ビジョンをつくる」「事業のKPIを見るのが好き」「プロダクトにフォーカスする」等、CEOの得意/不得意分野は必ずあるので、不得意分野を早めにCEOの役割から剥がして他の人に渡すことが重要です。企業が成熟してくると、「ボードメンバーの4人目にこういう人がいると経営の質がグッと上がるのでは」という話も出てきます。起業家と経営者は違うので、起業家がどう経営者に進化していくか、チームとしても「起業した仲間」から「経営チーム」へどう移行するかが重要です。外部から採用した人が企業成長をドライブするケースは多いですね。

STRIVE株式会社

シリーズAから世界にインパクトを与えられるような企業に、ぜひトライして欲しい。

Q

面接でどのような方にお会いできると嬉しいですか?

やはり質問力のある人です。某投資先企業で採用した方は、質問が素晴らしく会社のことを本当によく考えていて、「そこについて堤さんはどう思いますか?」と積極的に質問されたので、これは即採用だなと。面接では一貫して、質問力が判断軸になっています。「自分を良く見せよう」ということは一切要らないと思います。特にCxOクラスの方であれば、間違っていてもいいので、自分だったらどうするかという仮説を持ってきて欲しいです。当然、未上場なのでわからないことも多いと思いますが、「ここについてはわからないので教えて欲しい」という、わからない部分が明確になっていることが重要です。

Q

「この企業と併願して受けているのはおかしいな」と思われることはありますか?

それはあまりないですね。自分も色々な転職をしてきていますし、「これだ!」と決めて来る人は意外と少ないものです。私も転職する時に決め手となるのは、事業内容とか給料ではなくて、その人と仕事をすると面白そうかどうかです。幹部クラスともなれば、幅広く検討しているのはそれだけ幅広く声をかけられているということでもあり、それはそれですごいなとポジティブに捉えています。

Q

オファーを出す際に年収が下がるケースも多いかと思いますが、いかがですか?

以前は年収が半分になることもありましたが、今ではそのようなケースは少なくなってきています。多少年収が下がってもその会社が最大限の評価として出せる範囲で一番高い年収額+SOを提示したり、給与に加えてインセンティブボーナスとして入社半年後などに成果に応じて出したりしています。今は競争が厳しいので、大幅に年収を下げて入社してほしいと言ってもなかなか入社していただけません。アーリーフェーズの企業では優秀な人が入った時の企業の変化率が高いので、本当に良い人であれば絶対採用した方がいいと思います。

Q

最後に、貴社投資先の経営幹部にご興味を持たれる方へメッセージをお願いします。

我々はシリーズAから世界にインパクトを与えられるような企業に自信を持って投資していますので、リスクがあると思われるかもしれませんが、チャレンジしたいならぜひトライしていただきたいと思います。

インタビュアー / コンサルタント 松永 拓也

構成: 神田 昭子

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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