日々培われた経営者の「直観力」が、採用の選考場面でセンサーとして働いている
先日、クライアントであるベンチャー企業の社長Iさんに候補者の方のレジュメを見ていただいていた時のことです。何度もレジュメに目を通し、うーんと首をひねっているIさん。「どうしたんですか?」とお聞きすると。。。「いや、レジュメのご経歴は申し分ないんだけど何かピンとこない」とのこと。しばらくして「レジュメからスピード感のようなものが伝わってこない」ためだと判明。また、Iさんは面接においても候補者の方に強い想いがあるのかどうか、直感で大体わかるケースが多いと言います。不思議なもので、その直感は外れることはほとんど無いのだとか。興味深いお話だったので掘り下げて伺ってみると、「話に一貫性があるかどうか」や、「表情や目力など」から判断していることが分かりました。ただ、それは意識して行っているものではなく、恐らく過去に様々な方とお会いして培われてきた「直観力」がIさんに備わっており、センサーとして瞬時に働くのでしょう。
面接で、「自分が働く場所ではないかもしれない」と直感的に感じる瞬間
一方で、候補者の方はどうでしょうか。実は最近、立て続けに2人の候補者の方から面接後に「選考を辞退したい」とのご連絡をいただき、その理由がまさに「直感」によりその企業と合わないと思ったためとのことだったのです。そのお二方の共通点は、40代で営業経験がある男性ということ。つまり、これまで多数のクライアントなどに接する機会があった方々です。私は、これまで「直感」を理由にご辞退されたケースが無かったため、非常に驚くと共にその正体を探ろうとしました。ひとりの方は、面接官の方とお話している中で強い違和感を覚えたとのこと。ご本人にも何故なのかは分からず、その方に言われた内容が引っ掛かったわけでもないようです。また、もうひとりの方は、受付から会議室に案内されるまでの間に直感的に違和感を覚えたようで、「自分が働く場所では無いかもしれない」と感じたそうです。お二人とも人間的な魅力と実力をお持ちの方であり、このような理由で選考を辞退することに非常に申し訳無い思いも抱えつつ、このような気持ちのまま次の選考に進むこと自体失礼ではないかと考え、悩みながらご辞退となりました。ご辞退の理由は他に仕事内容の志向とのギャップなども挙げられていましたが、やはり最大の理由はこの「直感」によるものだったようです。ただ、この2つのケースとも企業側のご評価は非常に高く、ぜひ次の選考に進んでいただきたいという温度感でした。企業側も合わないと感じられたのであれば、カルチャーフィットの問題かなとも思うのですが。。。この「直感」が一体どこから来るものなのか、謎は深まるばかりです。
採用には、生身の人間同士が対面して初めて感じるものがある
皆さんは、今回の事例からどのようなことを感じられたでしょうか。私自身、まだ「直感」というものの本質が理解できているわけではありませんが、ひとつ言えることとしては、採用という生身の人間と人間が対面するプロセスにおいては、やはりデジタルな求人票の内容だけでは分からない「何か」があるのではないか、ということです。それはこの先、どれだけAIなどのテクノロジーが進化しても、ロボットではなく人間を採用する限り、変わることはないでしょう。最近お話を伺ったベンチャー経営者の方々も、口々に「スキルセットだけで採用するとまずうまくいかない」とおっしゃっていました。「人としてお互いリスペクトできるかどうか」が重要だと言います。デジタルな情報だけでは見えない部分をすくい上げ、双方をおつなぎしていく。そこに私たちの介在価値があると信じて、日々ご支援していきたいと思います。
(2019年1月21日)
今回の教訓&アドバイス
企業側・候補者双方が面接で感じる「直感」というものが存在する。
直感は、これまでの様々な経験から培われたセンサーのような働きをする。
デジタルな情報だけでなく、面接に行って感じることを大事にしましょう!

神田 昭子
【 デジタルプロフェッショナル専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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