転職によって現状を変えたいと考える人は多いです。転職による変化は短期・中長期の2種類。自分のありたい姿を描いていたからこそ、中長期の転職を選択したAさんの事例をお話しします。
短期視点と中長期視点の転職
転職をしたい方は、「現状を変えたい」という想いをもっていることが多いです。そして、現状を変える転職には2種類あるのではないでしょうか。
ひとつは転職するとすぐに変化のある短期視点の転職。
もうひとつは、転職した後で徐々に変化がおとずれる中長期視点の転職です。
短期視点の転職例は、営業職の方が未経験の経理にキャリアチェンジするため、簿記を猛勉強して転職するなどです。転職と同時に職種が変わるため、短期で変化が訪れます。
中長期視点の転職例では、先ほどの営業職の方がCFOを目指すという中長期視点をもったうえで、まずは経理として転職するなどです。
今回は、すでに事業責任者の実績をお持ちのAさんが、将来の自分自身の在りたい姿に到達するため、別職種での転職を決断した中長期視点の転職例を紹介します。
将来像を描いていたからこそ、別職種でのスタートを選んだAさん
Aさん(40代)は日本の製造業で事業責任者として結果を残して活躍されていました。外交的で誰とでも親しくなれそうな対人印象のいい方です。よい意味で、ご自身の能力や知識に一定の自負があるオーラを感じました。
Aさんの転職動機は、「さらに成長して経営を担える人材になりたい」という強い気持ちでした。お話を聞くと、現職のTOPはあまり攻めの経営を好まず、石橋をたたいて渡らないことも多々あるようです。Aさんはその点にもの足りなさを感じ、「このままでいいのだろうか」と自身のキャリアに対して危機感を抱き、「事業責任者としてさらに成長したい」という想いをもっていたのです。
その後、ご提案したB社の「事業責任者候補」として面接に進み、社長面接で評価をいただき、Aさんに内定が出ることになりました。
実は、内定が出るからと言って、面接での評価が100点とは限りません。
B社の社長は、論理的で社員育成の意識が高く、採用時に入社後の育成イメージを持つことが多い方。Aさんに対しては、「実行力はあるが戦略的思考は弱そう。発想力については未知数」という印象をもたれたそうです。
そのため、「いきなり事業責任者ではなく、まずは社長の近くで経営企画を担当いただきたい」という要望でした。ぜひ採用したいが、課題もあると考えられていたのです。
年収については現状維持で、Aさんのご希望範囲内でした。
私は、B社の社長から聞いた内容をAさんにどうお伝えしようか若干悩みました。しかし、ありのままをお伝えし、Aさんご自身がどう受け止めるかをまず確認することにしたのです。
Aさんにメールで概要をご連絡したうえで、お電話で話しました。私からの説明を一通り聞いたAさん。しばしの沈黙の後、B社への入社を即決されました。
「社長の近くでいろいろと学びながら、自分が成長して事業を任せてもらえるように頑張ります!」と潔さを感じさせる声音でした。
それから3年あまりが過ぎ、Aさんから「転職を考えている知人をご紹介したい」というご連絡をいただきました。Aさんの近況をお聞きしたところ、「昨年からB社で事業責任者を任され、新たなチャレンジに日々充実している」とのこと。あのときのAさんの決断は間違っていなかったと確信しました。
そして、AさんがB社の社長を信じ、同時に自分自身も信じた結果ではないかとも強く感じたのでした。
(2022年6月20日)
今回の教訓&アドバイス
転職には、短期視点と中長期視点がある
中長期視点があるからこそ、決断ができる
実行することで、自分の決断を証明する
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