面接官の本音 vol.131   アマゾンジャパン合同会社

アマゾンジャパン合同会社

公開日:2019.09.10

書籍販売サイトとしてスタートし、今では家電や玩具、衣料品や食料品等幅広いジャンルの総合オンラインストアとして世界的なリーディングカンパニーへと成長を遂げたAmazon。毎日が「Day One」、地球上で最もお客様を大切にする企業であることを追及し続け、日々めざましい進化を続けている。その日本法人であるアマゾンジャパンにて、コーポレート部門の採用統括責任者を務める篠塚寛訓氏にお話を伺った。

アマゾンジャパン合同会社 人事統括本部 人事部部長 篠塚寛訓氏

Contents

面接で重視するポイントは、その人の価値観や考え方。中長期的にアマゾンで活躍できるか。

Q

初めに、貴社にて現在どのような人材を求めておられるのかお聞かせください。

篠塚

1つは、戦略を描ける人材です。今当社では手を動かす業務の自動化・アウトソース化を進めていることから、手を動かすことよりも上位の戦略を描ける方を求めています。もう1つはテクノロジー人材です。今はエンジニアのみならず、ビジネスサイドでも技術を如何に活用するかといったテクノロジー分野の知見をもつことが重要です。

Q

貴社へのフィットを面接ではどのように見極めていらっしゃるのでしょうか?

篠塚

当社では、ハードスキル以上に*OLP(Our Leadership Principles)という14項目あるリーダーシップ・プリンシパルに重きを置いています。そのため、その方の価値観や考え方を深掘りして、採用の基準に組み込んでいます。ハードスキルは入社後でも鍛えられますが、価値観や考え方はその方の生き方に起因しているため、多くの部分は後から変えることが難しく、また、現在の仕事も未来永劫存続するものではありません。そのため、ハードスキルよりも考え方の面で当社にフィットがある方に、長期的に活躍して欲しいと考えています。

*OLP:詳細はこちらを参照→https://www.amazon.jobs/jp/principles

Q

短期的なスキルフィットで採用判断をする企業も少なくない中、貴社はあくまで長期的な目線を重視されているのですね。

篠塚

当社では、組織を成長させていくために、現存社員の平均値よりも高いレベルの人を採用するという考え方があります。今、という定点ではなく長期的視点で全体を押し上げていくことができる人なのかどうか、を重視しています。たとえば、まだ経験の浅い面接官から「業界で有名な人だから採用するべき」「この人を採用すればクライアントを多数獲得できる」という意見が出ることがありますが、私はバーレイザー(面接水準を高く維持する役割を持つ熟練した面接官)として「短期的視点ではそうかもしれないが、この任務が終わった後、この人のキャリアはどうなるのか?」と目線をより遠くにおいて判断すべきという話をします。当社には、目の前のミッションとの適合度合いや短期的な成果だけではなく、長く活躍いただける方かどうかという長期的な目線を持って考えるカルチャーがあります。

Q

貴社の面接はジャッジ基準が均質化されている印象ですが、面接官のトレーニングはどのように行っていますか?

篠塚

まず半日のトレーニングプログラムがあります。さらに、他の面接官の面接に同席し、逆に自身の面接も他の面接官に同席してもらうことを徹底しています。また、相当数の面接を経験し、当社の求める採用基準を満たしているか否かを正しく判断できると認められたら、次はバーレイザーになるためのトレーニングを受けることができます。現任のバーレイザーと共に数十件の面接を経験した後、委員会で承認されて初めてバーレイザーになることができます。面接官が的を射ない話をしていれば必ず指摘を入れる、面接官の質を上げていくこともバーレイザーの役割です。

Q

候補者の方々の「面接の対策」についてはどのように感じられますか?

篠塚

最近は、エージェントの皆さまから、事前に当社の面接官からの質問の意図を候補者の方へご説明いただくケースも多く、面接の進行がスムーズになりました。決して経歴を脚色していただきたいわけではなく、質問の意図を理解いただいている方が、我々が面接を通して候補者の方からお聞きしたい情報を得やすいという意味で大歓迎です。変に取り繕ったり、自分を偽って臨んだ面接はきっとどこかで綻びが出てくると思いますので、候補者の皆さまにはぜひご自身のご実績やお考えを率直にお話いただきたいと思っています。入社そのものよりも、入社後に活躍できるかどうかが、採用する側、される側双方にとって重要です。

アマゾンジャパン合同会社

毎日が常に「Day One」。イノベーションを起こせる人を求めたい。

Q

面接で判断に迷われる場合はどのようにされるのでしょうか?

篠塚

当社では採用すべきか迷いながら内定を出すことは基本的にないのですが、ジョブグレードで調整をすることはあります。たとえば、ジョブグレードが上がるほど、「どこまでお客様のニーズの本質を掴めるか」「何かを決断する際、その先にあるビジネスインパクトをどこまで想定できるか」というOLPのDive Deep(より深く掘り下げること)がより強く求められますが、たとえDive Deepが足りないという判断となった場合でも即不合格の判断をするのではなく、ジョブグレードを下げて内定を出すということはあります。今後当社で経験を積めば期待値まで追いついてきていただけるという判断のもと、将来的な伸びしろを踏まえたジョブグレードからスタートいただくという考え方です。

Q

OLPという揺るがない判断軸があることは、御社で働く際にどのような影響があるのでしょうか?

篠塚

やはり物事の判断の意思決定が早くなるということは大きな特徴と言えます。当社はグローバルで数十万人在籍する組織であり、世界中にあるさまざまな拠点や部署の社員とコミュニケーションを取ることも多いのですが、たとえば、海外の人事部に所属する社員と初めてミーティングをする場合であっても、OLPという共通言語があると何かを意思決定する際にも判断基準が明確で、非常に話が早くなります。

Q

本当にOLPが現場に浸透しているのですね。最後に、候補者の方へメッセージをお願いします。

篠塚

当社は、社員数やビジネス規模は大きく成長していますが、社員は毎日がDay One(創業1日目)の気持ちで仕事に臨んでおり、自由に新しい事に取り組める会社です。やりたいことがある人にはチャンスに溢れた環境ですし、決められたことをきっちり守る人よりも、より良いものを創り出したい人がフィットすると考えています。また、現在当社は大きな変化の過渡期にあります。部署や職種により重視されるOLPは異なるため、過去に募集していたポジションにご縁が無かった方でも、今ならマッチするポジションがあるかもしれません。引き続き当社にご興味をお持ちいただけるようでしたら、ぜひ再度チャレンジいただきたいと思っています。

インタビュアー / クライス&カンパニー

構成: 神田 昭子

撮影: 櫻井 健司

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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