キャリアアップコラム vol.171
「志向の変化」は積極的かつ柔軟に受け入れるべき!?

自分らしい生き方ができている人の特徴

これまで9年半の間に、転職を希望されている方はもちろん、自分らしい仕事や生き方を選択していく上でのキャリア相談などを通して、約2000人の方々にキャリア・コンサルティングをして参りました。

キャリアや人生と向き合う機会をこれだけ多くいただいていますと、日々新たな学びと気付きがあります。その中で最近特に感じることは、目的意識やブレることのない軸がありながらも、柔軟性に富んでいる人ほど、「自分らしい生き方を自ら獲りに行く」ことが出来ているということです。

今回はそういった方々を例にとり「転職活動中の志向の変化とその受け入れ方」についてお話ししたいと思います。

希望や志向は変化するもの

これからご転職活動をされる方にとっては意外に思われるかもしれませんが、決定された方の約半数以上の方は、その程度の差はあれど、転職活動開始当初に描いていたものとは違うキャリアを最終的に選択されています。業種や職種、規模にいたるまで、恐らく全く想像していなかったキャリアを結果としてご自身で選択し、そしてそのほとんどの方が新天地で活躍されています。
 
「当初描いていたキャリアと違うのであれば転職失敗でしょ?」「希望する企業に転職しなければ意味がない」、もしかするとこういう思いを持つ方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、決して転職失敗でもなく、間違いなく意味のある転職をしており、皆さんこのご自身の選択・決断に確信を持ち、且つ満足されています。

 
ではなぜ、活動当初に描いたキャリアとは違うのに満足しているのでしょうか。
それはまず、転職活動を本格的に行っていくと、転職市場やご自身と向き合う時間が圧倒的に増え、知らなかったことを知るようになり、ぼんやりと考えていた自身のキャリアについてより具体的に考えるようになっていきます。

そしてその活動を通して、志向に変化が生じることが多々あるのですが、それを活動当初に描いていたキャリアに固執し過ぎて拒否せずに、積極的かつ柔軟に受け入れてじっくり考える。そうしたプロセスを経て「本当の意味で自分らしい仕事や生き方とは何なのか」、といったご自身なりの答えを見つけることが出来ているからと言えそうです。

 
ここで重要なのは、「情報が少ない」「知らないことが多い」状況で描いた計画に固執せず、実際の行動を通してご自身の中で起こる(希望・志向の)変化を、積極的かつ柔軟に受け入れるということです。これはキャリアだけでなく、日々の生活やビジネスシーンでも言えることですね。
 

予期せぬ出来事によってキャリアはつくられる

これまで述べてきたことは私の経験則でもありますが、決して根拠もなく感覚的に述べているのではありません。全てではないものの、今回のテーマの裏付けとなる理論があります。

それは、キャリア意思決定のための社会学的学習理論でもある「プランドハプンスタンス(計画された偶発性)」という、アメリカのスタンフォード大学の教授ジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論で、予期せぬ出来事を学習の機会と捉えることを唱えています。

 
彼は「個人のキャリアは、偶然に起こる予期せぬ出来事によって決定されている事実があり、その偶発的な出来事を主体性や努力によって最大限に活用し、力に変えることが出来る」と述べ、さらに「偶発的な出来事を意図的に生み出すように、積極的に行動することによって、キャリアを創造する機会を生み出すことが出来る」としています。
 
これは生涯にわたってのキャリア形成に関する理論ではあるものの、転職活動という短いスパンでも十分あてはまる話ですので、転職活動含めご自身のキャリアを考える際に、是非とも参考になさってください。
 
(2016年5月20日)

今回の教訓&アドバイス

転職活動当初に描いたキャリアとは違う結果になることは実は普通にある

自分らしい仕事や生き方を手に入れる為に志向の変化は柔軟に受け入れる

プランドハプンスタンスというキャリア理論の存在を知り、参考にする

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
武田 直人
CXOをはじめ、経営幹部から事業責任者、そしてPdMなど、企業の「要」となるポジションへの転職支援が強み。注目のスタートアップから大手企業まで、Web・インターネットサービス業界が最も得意とする領域。
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