キャリアアップコラム vol.255
面接準備として、想定問答を暗記してはいけない理由

面接に臨むときに何を聞かれるか、聞かれたことにちゃんと答えられるかという不安はあるものです。そのため、面接での想定質問への回答を考えておく人もいるでしょう。今回は、想定質問に対する準備についてお伝えします。

想定問答の暗記に集中しすぎると、面接官の質問の意図をくみ取れなくなる

弊社では、初めて転職活動をされる方や面接に不安を抱えている方に対し、事前に面接コミュニケーショントレーニングを行うことがあり、私自身面接官役を務める機会が多くあります。このトレーニングは、実際の面接よりも短時間で実施し、我々面接官役とオブザーバー役の2名よりフィードバックや課題の共有、アドバイスを行います。

多くの方は、事前に何かしら準備をされています。しかし、想定問答をしっかり作成して回答を一所懸命「暗記」している方の場合、うまくいかないことが多いです。

なぜなら、想定外の質問が続いた場合に焦ってしまったり、想定質問と少しニュアンスが異なる質問に対して、用意してきた回答をそのまま話してしまったりするからです。面接官の立場からすると、質問にちゃんと答えてもらえていないと感じることもあります。こうした状態になる原因は、用意した回答を頭の中のDBから引っ張り出す作業に意識が向いてしまい、面接官の質問の意図や真意をしっかり理解しないで回答してしまうためだと考えられます。

以前トレーニングを実施したAさんは、事前に想定問答集を作成して暗記していました。しかし、最初の経歴説明はスムーズだったものの、覚えていた言葉が出てこなくなり回答の途中で固まってしまったのです。また、質問と回答がズレてしまう場面もありました。

今はオンライン面接が多いため、暗記が難しければ別画面や手元の紙を見ながら会話したら良いのではと思うかもしれません。しかし、どうしても目線の動きが不自然になり心証を悪くする恐れがあるため、あまりお勧めできません。

想定質問への回答は丸暗記せず、抽象度をあげて伝え方をイメージする

では、どうしたら良いのでしょうか。私がお勧めするのは、想定質問への回答内容を一字一句覚えようとせず、少し抽象度を上げて頭に格納する方法です。想定質問に対する回答を一度書き出した上で、暗記するのではなく何をどう伝えるかをイメージしておきます。

もう一つ大事なことは、面接の場で面接官の質問の意図や真意をしっかり理解してから回答することです。回答を丸暗記しているとちゃんと覚えているかが気になり、面接官の話に集中できなくなる危険性があります。その結果、質問を曖昧に理解したまま答えてしまい、面接官の顔を曇らせる結果になります。こうしたやり取りが2、3度続くと面接結果は期待できません。

選考の際に、企業側はご経歴やスキル、知識ジャッジするのはもちろんですが、会話がかみ合うかどうかも重視しています。歩んできたご経歴や実績は変えられませんが、面接での対処方法やどんなスタンスで面接に臨むかというアドバイスは、弊社キャリアコンサルタントの得意とすることの一つですので、ぜひご活用下さい。

(2023年6月20日)

今回の教訓&アドバイス

想定問答を作成しても丸暗記しないこと

面接官の質問を正確に理解するため、相手に意識を向ける

何をどう答えるか、少し抽象度を上げてイメージしておく

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
奈良 元生
エグゼクティブポジション全般、オーナー系中堅成長企業。新規立ち上げ、事業企画系実績も多数あり。
【 CxO専門チーム 所属 】 プロフィールをみる
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