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ライフイズテック株式会社

公開日:2016.03.11

中学生・高校生のためプログラミング・IT教育サービスを展開しているLife is Tech !(ライフイズテック)。2010年の設立以来、同社が運営する合宿形式のキャンプや通学型のスクールには延べ14,000人以上の中高生が参加しており、国内最大級のプログラムとなっています。2014年にはGoogleによる世界のICT教育組織に与えられる名誉ある賞を、東アジア地域で初めて受賞。IT教育を通じて未来を担う人材を創ることに正面から挑み、さらには新たな教育の仕組みを創り出そうとしている同社にはいま、各界から優秀な人材が集っています。

ライフイズテック株式会社 代表取締役CEO 水野雄介氏

Contents

ライフイズテック求人情報

成り立ち

教師としてではなく、起業することで「理想の教育」を実現したい。

工藤

まずは水野さんがライフイズテックを起業されるまでの経歴を教えていただけますか。

水野

私はもともと教師を志していました。慶應大学の理工学部から大学院に進んで物理情報工学を学び、その間、教員免許を取得して、院生時代には都内の開成高校で物理の非常勤講師を務めた経験もあります。そこで生徒たちと接するのはとても有意義だったのですが、私が彼らに語れるのは大学で経験したことだけであり、世の中の仕事のことについてなどはまったく話せなかった。それではあまりに生徒たちに申し訳ないと感じ、いったん社会に出ようと。それで大学院を卒業後、3年という期間を決めて就職することにしたのです。短期間で自分を成長させることでき、いろいろな会社や職種を見ることのできる場として私が選んだのが、人材サービスを手がけるベンチャー。そこで主に中小企業の経営者の方々に向けて人材採用や研修のコンサルティングに携わりました。

工藤

その企業で経験を積んだ後、本来は教師になるおつもりだったのですね。それが起業を決断されることになったのは、ご自身の中で何か変化があったのでしょうか。

水野

3年経ったら教育の現場に戻ろうと思っていましたが、残り半年になった頃からいろいろと考えるところがあったんです。当時、NHKの大河ドラマで「龍馬伝」が放映されていて、それを見て「日本のために力を尽くすのもカッコいい」と感じるようになって……。一人の教員として教育の現場に臨むのも素晴らしいことですが、自分がやりたい教育を実践する私塾を展開するのもやりがいがありそうだと感じ、それを実現する手段として2010年にこの会社を起業したのです。

工藤

どのようなコンセプトの教育事業をお考えだったのですか。

水野

中高生を対象に、いままでにない教育をやりたいと考えていました。私は、子供が仕事体験できるキッザニアが個人的にとても好きで、中高生版のキッザニアのようなサービスができないかと考えたこともあります。それで半年間、いろいろと熟考を重ねた末に、結論としてはプログラミングをはじめとするITに特化した教育をやろうと考えました。というのも、開成高校で非常勤講師を務めていた時、パソコンが好きな生徒が多かったんですね。自分で作ったプログラムを見てほしいと放課後に私のもとにやってくる子もいました。人ってやはり自分が好きなことだと熱中するんです。子供たちがITの力を伸ばしたいと思っているのに、それがかなう環境がない。誰からも褒めてもらえず、でもIT人材というのはこれからの社会にかならず求められていく。しかし、日本ではまだ中高生向けのプログラミングやITの教育をやっている機関がない。ならば自分で起こそうと。そしてサービスモデルのヒントを探そうとシリコンバレーに視察に出向いたところ、いま我々が展開しているような子供向けのITキャンプを実施している企業があることを知り、それを参考に事業を立ち上げました。

工藤

御社が運営されているITキャンプは、すでに延べ14,000人以上の中学生や高校生が参加されています。ここまで順調に拡大してきたのは何がポイントだったのでしょうか。

水野

ひとつは「運が良かった」というのもあると思います。たまたま私がITに興味を持っている子供たちに出会い、思い立って始めた事業ですが、手がけてみると意外にニーズが高くて市場性があった。もちろん、良いサービスを創って提供しているという自負はあります。事実、我々のITキャンプはリピート率も高く、子供たちからも好評です。ここまで成長できたのは、副代表の小森(勇太氏)の力も大きいですね。私がアイデアを出して、彼がそれをリードしていく。小森は前職の同僚で、ワークショップデザイナーの資格を持つ人間なのですが、コミュニケーションをつかさどる力が抜群。「教育」と「エンターテイメント」をかけあわせることのできる日本一のプレイヤーだと思っています。彼を口説いてこの会社に引き入れることができたのも幸運でしたね。

ライフイズテック株式会社

事業展開

海外展開も加速。ITを学んだその先の「出口」も自ら創りたい。

工藤

お話をうかがっていると、御社は教育において「エンターテイメント」を強く意識されているようにお見受けします。

水野

21世紀の教育の鍵は「エンターテイメント」と「テクノロジー」だと考えています。その2つをかけあわせて、教育にどう取り入れていくか。学びというのは、やはり自ら学ぼうとする姿勢があってはじめて、そこで得たものが力となって成長する。親や先生から「勉強しなさい」と言われるからやる子供たちが多いと思いますが、本質的にはそうではない。子供たちが学びたくなるような環境を作ることが何よりも重要であり、ですから特にエンターテイメントは大切な要素だと捉えています。

工藤

子供たちをやる気にさせて力を伸ばすために、いろいろと工夫されているのですね。

水野

ええ。我々のITキャンプでは「チームビルディング」を重んじています。誰と一緒に学ぶかというのはとても大切で、モチベーションも大きく変わる。たとえばキャンプのスタート時に、まずは遊びの要素を持ったワークショップを行い、一緒に作業して同じ目標をクリアする経験をさせて、子供たち同士の仲を深める仕掛けを施すなど、キャンプ中のコミュニケーション設計にはとても腐心しています。そして、子供たちに「ここは自分を認めてくれる場所だ」と感じさせることも大切。子供たちって、好きなことなら自分からどんどんアプローチしてくるんですよ。たとえばマンガの話題を振ると、途端に目を輝かして饒舌にしゃべり始めたり……子供たちとの「共感」も、教育する上ではとても重要。ですから我々のメンバーにはマンガ好きが多いんですよ(笑)。

工藤

設立されて5年になりますが、新しい教育を創り出しているという手応えはお感じですか。

水野

子供たちが成長する瞬間を目の当たりにすると、やはり我々が手がける事業の価値を大いに感じますね。キャンプに参加して自信がついたと言ってくれる子供たちもいますし、キャンプを経験した子供たちが「アプリ甲子園」(中高生対象のスマートフォンアプリ開発コンテスト)で優勝したり、あるいは彼らが作ったソフトがIPA(情報処理推進機構)の未踏事業に採択されることも。もちろんその子たちが頑張ったからこその結果ですが、そのきっかけを提供し、子供たちが何かを成し遂げる場に立ち会えた時は、本当にこの事業をやって良かったと実感します。教育によって子供たちの人生を変えるのは素晴らしいことだと、あらためて志を高くしていますし、これからも臆せず挑んでいきたいと思っています。

工藤

今後の事業展開はどのようにお考えですか。

水野

現在はキャンプとスクールが主力事業ですが、経済格差や地域格差の問題から、こうしたリアルな教育の機会を提供できないケースもあります。全国の中高生の可能性を最大限伸ばしたいというのが我々の思いであり、今後はオンラインによる教育システムの開発に投資していく方針です。また、海外にも我々の教育事業を拡げていきたいと考えており、2015年2月にはシンガポールに拠点を立ち上げました。これからチャレンジすべきテーマは山ほどあり、まだやりたいことの1%にも達していない感じです。

工藤

将来的にはどのようなビジョンを描いていらっしゃるのでしょうか。

水野

ひとつ大きな目標として掲げているのは、我々自身で「中高一貫校」を設立して運営すること。先生1人対生徒40人という従来の形態ではなく、自分たちが理想だと考える教育モデルを創って実践し、そこで成果を上げて社会に広めていきたいですね。また、いま手がけているIT教育の「出口」も意識しています。子供たちの意欲をさらに後押しするために、ITを学んで究めれば世の中から「カッコいい」と認められる、アイドルやプロスポーツ選手のようなヒーローになれる、というわかりやすい出口を示してあげたい。そのためには、「ITを究めた人材が人々の暮らしを変えていくんだ」という、人々がITに憧れるような文化を創造していかなければならないと思っています。いま考えているのは、プログラマーの女の子たちが主人公の「コードガールズ」という映画を製作し、ITの面白さや楽しさ、そしてITが秘める力を世の中にアピールしていくこと。文化を創るためにはそうした仕掛けが必要だと思いますし、どんどん企画して実行に移していきたいですね。

工藤

確かに「ITでヒーローになれる」という世の中になれば、子供たちも夢を抱けるでしょうし、親御さんのITに対する見方も変わるでしょうね。

水野

そうなんです。たとえばゴルフにせよテニスにせよ、石川遼氏や錦織圭氏のような若いヒーローが出現すると、世間の関心が一気にその分野に向けられる。日本でも10代でFacebookを立ち上げたザッカーバーグのような人間が現れれば、きっと世の中が大きく変わるはず。そうした人材を輩出できる環境を、我々の手で創っていきたいと思っています。

ライフイズテック株式会社

求める人材

自分のこれからの人生を「教育」に捧げたいと、優秀な人材が続々と参画。

工藤

人材採用にも力を入れていらっしゃるとのことですが、これまではどのような方が御社に参画されているのでしょうか。

水野

我々のビジネスモデルはまだまだ未熟ですし、社員に高い報酬を支払えるわけでもありませんが、それでも商社や金融機関、広告代理店、Webサービス企業などでキャリアを積んだ優秀な人たちが、当社を新たなキャリアの場として選んでくれています。共通して持っているのは「教育をより良く変えていきたい」という思い。外の世界で実績を積んできたみなさんから、「ここなら教育を変えられる」と仲間になっていただけるのは、私としても心強い限りです。

工藤

これからキャリア入社される方々は、どんなポジションで活躍していただくことになるのでしょうか。

水野

いま当社は25人ほどの組織ですが、キャンプやスクールを運営する上で500名ほどの大学生や大学院生が中高生に直接IT技術を指導するインストラクターとして所属しており、彼らをマネジメントしながら子供たちにより良い教育サービスを企画提供していく人材もまだまだ必要です。また、サービスのオンライン化を進めているため、エンジニアの方々にはそのシステム開発を担っていただきたいと思っています。
たとえばソーシャルゲームの開発経験をお持ちの方などは、ユーザーを楽しませるエンターテイメントの術を身につけていらっしゃるでしょうから、それを教育サービスでも発揮していただきたいですね。さらに事業の海外展開をリードできる人材も欲しいですし、新規事業もこれから続々と立ち上げていきたいと考えていますので、それを担える力を持った方にも期待しています。

工藤

これから御社に参加すれば、教育の分野で新しいビジネスを創り出せるチャンスがたくさんあるというわけですね。

水野

ええ。いまは新しい教育の仕組みを考えている時がいちばん楽しいですね。たとえば、世の中にあるさまざまなネットサービスを駆使して、我々のような外部の人間が学校の現場の先生方を支援し、本当にやりたい授業ができる環境を作れないかとか、アイデアはいくらでも湧いてくる。自社でファンドも立ち上げて、有望なサービスには果敢に投資もしていきたい。あと、先ほどもお話ししました通り、我々は子供たちの中から「ヒーロー」を輩出したいんですね。それを養成していくような機関もぜひ立ち上げたい。IT日本代表と呼べるような最強のチームを育て上げて、社会にインパクトを与えていきたいですね

工藤

では最後に、候補者の方々に向けてメッセージをお願いします。

水野 

Life is Tech ! は、世界でいちばん教育を変えられる可能性がある企業だという自信がありますし、未来を担う若者のためにこれからの自分の人生の時間を使いたいという、そんな志をお持ちの方とぜひ一緒に仕事がしたいと思っています。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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