公開日:2026.01.13
誰もが一度は使用したことのある文具のメーカーとして、高い知名度を誇るコクヨ。現在は文具の枠を大きく超えて、オフィス空間の構築やオフィス用品の通販などの事業を展開し、グローバル市場の開拓も強力に推進している。同社で執行役員を務め、人材採用の責任者である越川氏に話を伺った。
コクヨ株式会社 執行役員 ヒューマン&カルチャー本部長 兼 コクヨアカデミア学長 越川 康成氏
【インタビュアー】コンサルタント 永田 憲章
コクヨの事業の現状と今後の展望についてお聞かせください。
おそらくコクヨのことはみなさんご存じだと思いますが、ノートをはじめとする文具のメーカーとして認識されている方が多いのではないでしょうか。実は創業事業である文具は、いまでは売上比率が3番目であり、最も大きいのはオフィス空間を構築するワークプレイス事業となっています。さらに、オフィス用品を通販で提供するビジネスサプライ事業が第二の柱に成長しています。今後の成長に向けては、やはりグローバル市場の開拓が大きなテーマです。たとえば文具事業については、受験文化の強いアジアは有望なマーケットであり、クオリティの高い製品を提供してシェアを獲得していきたいと考えています。また、主力のワークプレイス事業においても、働く人の創造性を発揮させるというコンセプトでオフィス構築を手がけているグローバルプレイヤーは見当たらず、大きなチャンスがあると捉えています。海外で市場を拡大していくためには、これまでとは違う戦い方で臨まなければならず、各事業で新たなチャレンジを繰り広げているところです。
コクヨの成長をリードする人材を採用するうえで、面接時に重視されていることは何でしょうか。
いま経営幹部候補の採用に特に力を入れていますが、リーダーとしてどのようなマインドを持って仕事をしようとしているのか、そしてリーダーとして伸びしろがあるかどうかを重視しています。
リーダーとしてふさわしい人材を、越川さんはどのように見極めていらっしゃるのでしょうか。
これまでのキャリアにおいて、最も達成感が大きかった仕事や、あるいは最も経営に貢献できた仕事など、その方の代名詞になるような実績をおうかがいしています。何を考え、何のためにその仕事を成し遂げたのかをお聞きし、たとえば「些細なことから使命感を感じて力が湧く人のようだ」とか「逆風の時にはこんなリアクションをとる人のようだ」など、その方の行動特性を理解し、私が過去に接してきたリーダーの方々と照らし合わせて、どんなタイプでどんなリーダーシップを執る人材なのかを判断。そのうえで、コクヨにとってふさわしい人材であるかどうかを見極めています。
どのような方とお会いできると魅力を感じられるのか、本音をお聞かせください。
コクヨの事業の本質を理解されている方でしょうか。その本質というのは、コクヨが成長する根拠や、ブランドが持つ価値に通じるものであり、明確に言語化できていなくても、何となく感じ取っている方がいらっしゃるんですね。たとえば、以前にお会いした候補者の方は、ご自身の思い出として受験勉強の時のことを話されたんです。当時は苦しかったけれども、いま思えばコクヨのCampusノートが欠かせない相棒だった。そして志望校に合格した後、あらためてノートを見返すと、こんなに自分は頑張ったんだという努力の証として誇らしかったと。そんなツールを作っている会社って素敵ですよねとおっしゃられて、その方は単なるエピソードとしてお話しされたのでしょうが、実はそこにコクヨが社会に求められる本質があったりするんですね。ただ無機質なマーケティングデータで事業の成長性を判断するのではなく、その企業の本質的な価値を感じ取った上で、未来へのビジョンを描けるような方にお会いできると、こちらも気持ちが高まりますね。
これからグローバル展開をいっそう推進していくとのことですが、その点で面接時に注視していらっしゃることはありますでしょうか。
先ほどお話ししました通り、コクヨの本質を感じ取っていただいているかどうかが重要だと思っています。というのも、海外で新市場を開拓するためには“Who we are” を明確にしなければならず、本質を理解していなければ、コクヨが本当に提供できる価値をきちんと説くことはできません。また、国内で培ってきた事業の回し方や市場での勝ち方というのは、海外ではまず通用しませんので、ある意味それを否定することも求められます。従来のやり方を変えることに果敢にチャレンジでき、それにともなって生じる社内の軋轢も乗り越え、周囲と共感をつくりながら仕事を進められる人材を採用したいと考えています。
御社にとって「志ある人材」とはどのような方でしょうか。
コクヨは120年の歴史を持つ企業ですが、創業者が大切にしていたのは「カスの商売」という考え方です。「面倒でやっかいで儲からなくても、世のため人のためになる商売をやり続けよう」と。また、コクヨは「be unique.」という企業理念を掲げており、このフレーズには一人ひとりが創造性を発揮するのを邪魔しない、それを存分に解放することで社会を良くしたいという思いが込められている。こうした「カスの商売」や「be unique.」の精神が事業の根底にあり、それがコクヨのアイデンティティになっているんですね。我々はオフィスに関わるビジネスを展開していますが、オフィスというのは行かねばならない場所ではなく、いろんなアイデアが飛び交い、コミュニケーションを重ねて互いに刺激し合い、新たな価値を生み出す場であり、行きたい場所であるべきだと考えている。それは社内に対しても同じで、企業の人事システムというのは、人材を型にはめることによって効率性を上げ、型通りにできる人が優秀だと評されるのが一般的だと思うんですね。でもコクヨは社員を型にはめることなく、一人ひとりの創造性を信じて尊重し、個人の優れたアイデアを形にしていくことで、お客様の好奇心を掻き立て社会をより良い方向に導こうとしている。そうしたコクヨの理念に自然と共感し、世の中に対してもっとできることがあるはずだと熱を上げる人が、コクヨにおける志のある人材ではないかと思いますね。
最後にコクヨでのキャリアに興味をお持ちの候補者の方に向けて、メッセージをお願いします。
いまコクヨは大きく飛躍しようとしています。120年の歴史のある老舗企業の変革をリードできる経験などなかなか得られるものではなく、ビジネスパーソンとしてのキャリアを広げる上で非常に面白いフィールドだと思います。そして、我々が手がける事業は、世の中に対して大きなインパクトをもたらすことができる。文具は多くの人に愛着を持っていただける商品であり、たとえば当社のカスタマーエンゲージメントセンターには、受験を終えた学生の方から「一生懸命に勉強したノートを捨てられないのでコクヨで引き取ってほしい」という声が寄せられたりするんですね。そこまでヒューマニティあふれる商品を手がけられる企業というのは、おそらくそう多くは存在しないと思います。また、オフィス空間の構築においても、創造的なオフィスを実現すれば働くことが楽しくなり、それが社会を元気にすることにつながっていく。本当に価値のある事業を、我々はこれから世界中に広めていこうとしており、志ある方にぜひ参画いただきたいですね。
インタビュアー / コンサルタント 永田 憲章
構成: 山下和彦
撮影: 波多野匠
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。
コンサルタント 永田 憲章
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1905年10月に創業し、120周年を迎えた同社は、初のコーポレートメッセージとして「好奇心を人生に」を掲げ、向き合う一人ひとりの人生に「好奇心」を生み出し、「好奇心」を世界中へ届けようとしています。一人ひとりの創造性を信じ、尊重する同社ならではのメッセージであり、挑戦をやめない姿勢を感じます。
大きな飛躍に向け、老舗企業の変革やグローバル展開をリードできる方を求めており、本当に価値のある事業に携わりたい方にぜひお薦めしたい企業です。