面接官の本音
面接での質問、採用ジャッジポイントなどここだけの貴重なお話を面接官にインタビュー
2012年に創業し、メイドインジャパンの工場直結ファッションブランド「Factelier(ファクトリエ)」を立ち上げたライフスタイルアクセント。「日本の工場(ファクトリー)から世界一流ブランドを作る」という大きなビジョンを掲げ、最近メディアにもたびたび取り上げられている注目企業です。「メイドインジャパンを守り、工場と消費者を正しい価値価格でつなぐ」をコンセプトに、世界レベルの技術を持った国内のアパレル工場と直接提携し、オリジナルデザインの商品をECで提供しています。
ライフスタイルアクセント株式会社 広報・採用担当 山岡真由子氏
【インタビュアー】コンサルタント 工藤 直亮
面接で候補者の方々に必ずされる質問はありますか。
「なぜFactelier(ファクトリエ)に入りたいのか?」という動機をおうかがいしています。私たちは大まかに言えば工場直結でメイドインジャパンのファッションベンチャーですが、一見似たようなビジネスモデルを持つ企業は世の中にたくさんあります。そのなかでなぜ当社に興味を持ったのか、そこに明確な意思を示していただきたいですね。
実際にどのような回答が返ってくることが多いのでしょうか。
当社が掲げる「世界に誇れる“メイドインジャパン”を守る」「工場を元気にする」ですとか、「工場と消費者を直接結び付ける」というビジネスモデルは、ほぼ100%の方が「素晴らしい」と賛同してくださいます。そうした反応をいただけるのはとてもうれしいのですが、本当に心の底から理念に共感しているかどうか、その点はきちんと見極めています。たとえば、当社でMDや営業をやってみたいという方がいらっしゃったとして、もしファクトリエとして大きな決断を求められたとき、そこで工場に価格を下げてもらって売り上げを伸ばそうとしたり、理念に合わないこれまでの流通のような方向性しか考えられない人は、やはり当社には向いていないと思います。「こうした状況になったら、あなたならどう判断するか?」といった類の質問もさせていただいたりします。
採用にあたっては理念への共感を重視されているとのことですが、理念共感度は薄いものの、御社の事業に必要なプロフェッショナルな能力をお持ちの方がいらっしゃった場合、どう対応されますか。
職種によりますが、薄すぎると難しいのかもしれません。とくにMDや営業は、理念に強く共感される方でなければ、おそらくそのうちに、目指したい売り上げと企業の信念の狭間で揺れることになってしまうこともあると思います。一方で、工場と消費者を直接結び付けるシステムを開発していくITエンジニアは、多少理念への共感度が低くても、いままでだれもやってこなかったことを創り上げていくという私たちのチャレンジに魅力を感じていただければ歓迎します。それは結局、私たちが掲げる理念にも繋がっていくことですから。
そのほか、採用面接で重視されているポイントはございますか。
当社はまだまだベンチャーですので、その方の専門領域以外の業務も兼務していただいたり、新規事業をご担当いただいたりすることが多いと思います。ですから常に学ぶ姿勢があり、インプットを怠らない人であるかどうかを重視しています。よく質問させていただくのは過去の失敗談で、その時にどう対処したか、失敗からどんな学びを得たかをおうかがいしています。社会に出てからだけではなく、学生時代の話もよく聞いています。
山岡さんが面接をされていて、心が大いに動くのはどのような瞬間ですか。
一見おとなしそうな方が、実は内面に大きなエネルギーを秘めているのを感じた時は心が動かされますね。当社に興味を持ったきっかけは何でもいいのですが、「なぜFactelierなのか」という動機がご自身の原体験としっかり結びついていて、それが当社の理念と繋がっていたらとてもうれしいです。
これまで候補者の方々と面接の場でやりとりされてきたなかで、これは筋がいいと思った質問はありますか。
ご自身が入社した後をイメージし、当社の理念を実現していく上で一歩踏み込んだ質問が寄せられると感心します。たとえば、日本のものづくりを救いたいという思いで当社にアプローチされてこられた方が、今後の具体的な自社工場の展開について質問されたり、あるいは海外に進出することはすでに前提として捉え、どのような形で事業を展開するのかなど、深く突っ込んで質問されるとこちらも期待度が高まります。面接時から「当事者意識」を持っている方はうれしいですね。また、今後の上場予定についてもよく質問を受けるのですが、先日ある候補者の方から「社長の山田さんはIPOした時にバイアウトするタイプの方ですか」と尋ねられました。当社は世界一流のブランドを100年かけてつくると公言しており、本当にその意志があるのかどうかを確かめようとするその質問は、きちんと考えていただいているな、と思いましたね。
これまで採用された社員のなかで、印象に残っている方はいらっしゃいますか。
先日採用したMDの方は、これまでのアパレルブランドが工場に過度なコスト削減を強いていることに疑問を感じて転職を考えるようになったとのことでしたが、実はすでに大手企業から弊社よりも数段良い条件のオファーが出ていました。でも私たちと面談させていただくうちに、ご自身が抱えている問題意識を解決できるのがまさにファクトリエであり、後で自分の人生を振り返った時に誇りが持てると考えられ、当社へ参画していただけることになりました。当社の事業の意義をしっかりと理解していただき、当社でしかできないことに大いにモチベーションを感じて選んでいただけたので、その方はとても印象に残っています。
優秀な方を採用しようとすると、候補者の方が望まれる年収もおのずと高くなると思いますが、想定外の年収を要求されることも多いのではないでしょうか。
当社が高収益で成長しているベンチャーだと思われている方もいらっしゃるようですが、まだまだ立ち上がりのフェーズであり、大手企業やメガベンチャーのようなオファー提示は正直難しい状況です。しかし、たとえ年収が想定より低くても優秀な方に入社していただけているのも現状です。それは、自分たちの手でこの会社を、この事業を大きくしたい、そして、それができる会社だという確信をお持ちだからだと思います。そうした志をお持ちの方とともに、日本の工場から世界一流のブランドをつくるということに挑んでいきたいと思っています。
最後に候補者の方に向けてメッセージをお願いします。
代表の山田もよく話していますが、弊社の取り組みは、必ずこの日本という国を良くしていくことに繋がります。その取り組みの柱となれる方の応募をお待ちしています。ぜひ私たちと共にまだ世界で誰も成しえてこなかったチャレンジを成功させていきましょう。
インタビュアー / キャリアコンサルタント 工藤 直亮
※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。
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