面接官の本音 vol.138   株式会社カインズ

株式会社カインズ

公開日:2020.11.10

設立30年を超え、ホームセンター業界1位の株式会社カインズ。DXが最も遅いと言われる小売業において、「デジタル戦略本部」の設立や「CAINZ INNOVATION HUB(カインズイノベーションハブ)」の立ち上げ等、DXを急速に推進し注目を集めている。同社のデジタル推進の現状や求める人材について、デジタル戦略本部本部長の池照直樹氏にお話をうかがった。

株式会社カインズ デジタル戦略本部本部長 池照直樹氏

Contents

【インタビュアー】コンサルタント 佐野 慶樹

小売×デジタルの融合において重要なのは、目に見える成果を短期間で出せるか。

Q

貴社のデジタル戦略の現状についてお聞かせいただけますか?

池照

2019年10月にデジタル戦略のチームが発足して約1年経ち、基盤だけはできたという段階です。小売は店舗での統制が一番大事なので価値観を一つにした方がやりやすい一方、IT・デジタルなどスケールさせる仕掛けは個性が重なってできていくため、この2つを融合させるのは難しい仕事です。プランニングだけでは2万人の従業員から共感を得られないので、利益や数字という目に見える成果を短期間で出すことが最重要です。「良い方向に変わるのでは」という期待感の醸成においては一定の成果を得られたのかなと。現在、来期以降の5ヶ年事業計画をマネジメントチームが議論する中で、「従来のやり方でどう成長させるか」から「新たに良いものを採り入れていこう」という話に変化しており、非常に良い傾向だと思います。

Q

小売にデジタルを融合していく難しさとは、どのようなものですか?

池照

小売業では「どこでも同じサービスが受けられるように」というチェーンストアの大前提のもと、決められたことの組織伝達や各店舗で同質のオペレーションや同質の人たちが求められていた中で、突然我々のような異質な人たちが来るわけです。昨年は服装も社内で全員が統一していましたが、今はビジネスカジュアルのガイドラインを作っていこうとしており、オフィスや就業規則も自分たちが実験台となり成功したら全社に広げるのが良いと思います。また、デジタルの仕事は「モノを売ってお金をいただく」という商売っ気が無くなりがちで、数字が細かく見える分KPIが重視される傾向がありますが、「WEBサイトへの流入・集客」は中間指標に過ぎず、経営視点からすると「それで利益は出たのか?」と。デジタル戦略組織を立ち上げた人間としては、まずお金の部分を早く目に見える状態にすることに焦点を当てるべきだと思います。

Q

社内でデジタル推進の潮目が変わった瞬間はいつでしたか?

池照

2020年2月頃ですね。1ヶ月単位でプロダクトが目に見えて進化していき、社員がこれを使ってみたいと思えたのが一番大きかったです。元々皆反対ではなかったものの、よく分からないので遠巻きに見ていた感じでした(笑)。我々は精緻なレベルで工程表を描いており、各プロジェクトが依存関係を持たずに粛々とやっていけば答えが出る状態にしていました。具体的な実現イメージが無い状態では、採用もできなかったと思います。

 

Q

貴社が描くデジタルの未来像についてお聞かせください。

池照

「お客様を便利にする」「店舗のメンバーがもっとお客様との時間を使えるように面倒な仕事を無くす」ことを目指し、実直にデジタル化を進めていきます。「For the Customers」という経営理念が脈々と受け継がれており、デジタルはそれを増幅させる手段であるという意味では、当社は元々デジタルマーケに向いていたのだと思います。

株式会社カインズ

全社を巻き込み、「変革の一部としてのデジタル」をひたむきに推進していく。

Q

今後入社される方には、どのようなことを求めていますか?

池照

まずはやる気さえあれば、入社後に学んでくれれば良いと思います。開発のメンバーにも「何でこれを作るのか、お金になるのか」を常に考えて欲しいですし、デジタルマーケターもKPIより実益がいくら出たのかに意識が向くような真の意味でのアントレプレナーシップを持って欲しい。何より当社の商売を好きであって欲しいです。自分の好きなものだとテンションが上がりますよね。それから、巻き込みスキルの高い人が良いです。少数のデジタルの人間だけでは会社は良くならないので、パートやバイトの人達も巻き込む必要がありますが、「CX」「DX」とパートの方に言っても「私は何をすれば良いですか?」と聞かれるだけで距離は縮まりません。40年商売をやってきた会社のオペレーションには敬意を払うべきですし、彼らが理解できない言葉を使うのは失礼な話です。

Q

巻き込みスキルは、面接でどうやって確認するのですか?

池照

もう少し話したいなと思う人かどうかですね。巻き込み力のある人はやってきたこと・やりたいことが明確であり、一言二言で話の要点をまとめられるのでゴリ押ししなくとも人がついてきてくれます。

Q

池照さんは、貴社の歴史をリスペクトされているように感じます。

池照

デジタルマーケ自体はデパートの包装紙のようなもので、当社が売るのは中身の商品・サービスです。「お客さんが直接触れて良かったと思えるものを提供する」という主役の部分は今までやってきた人にお任せした上で、我々がデジタルを推進していく必要があると思います。「変革の一部としてのデジタル」「前向きさ・ひたむきさのあるデジタル」という考えを受け容れてくれる人に来て欲しいですね。現在は、お金になるものであれば前向きに仕事ができるはずです。デジタル組織をつくる最初の一歩は向かい風の大きい中で始めていくものですが、多くのジュニアな方が予算取りなどで苦労されていることは本来私のレイヤーが負うべきだと思っています。

Q

最後に、この記事を読まれている方へメッセージをお願いします。

池照

時代の流れによって生活様式も大きく変わる中で、デジタルも常に変化していきます。そこで求められるのは、素直に自分に足りないものをキャッチアップしていく人間力です。もちろん一定のスキルも必要ですが、中長期的にどう成長していけるかの方が重要です。皆さんの成長機会は数多く用意しますので、意欲はあるものの次の10年何をしたら良いか分からないという方は、ぜひ当社へご応募ください。

インタビュアー / コンサルタント 佐野 慶樹

構成: 神田 昭子

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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