面接官の本音 vol.140   Fracta Leap株式会社

Fracta Leap株式会社

公開日:2021.01.12

AI・IoT技術などによる水処理インフラの省コスト化・長寿命化で、世界の「水不足」を解消するチャレンジを続けるFracta Leap株式会社。目下、水処理プラントの設計・運転の最適化に向けたプロダクト開発を進めており、栗田工業と共に重厚長大な業界のデジタル変革(DX)をリードする取り組みで注目を集めている、2020年5月に設立されたスタートアップ企業だ。同社で代表取締役を務める北林康弘氏にお話をうかがった。

Fracta Leap株式会社 代表取締役 北林康弘氏

Contents

【インタビュアー】コンサルタント 工藤 直亮

AI・IoT技術を活用し、水処理という社会インフラの課題解決に取り組む。

Q

まず初めに、貴社の事業について教えてください。

北林

Fracta Leapは、水処理インフラ向けの画期的なデジタルソリューションを開発するために設立された技術スタートアップです。母体であるFracta社は米国のAIスタートアップであり、世界で初めて「水道管インフラ向けのAI診断ソリューション(全米27州・60社以上で導入)」を確立した会社です。Fractaグループとしてかねてから水道管インフラ以外の社会インフラ向けの新事業を模索してきましたが、2020年に資本・業務提携先である栗田工業との関係を活かして「水処理領域」への進出を決定し、それを契機にFracta Leapを設立しました。これでFractaグループとしては、水道管=水の配給インフラのみならず、水処理=水の生産・浄化・再生インフラにまで事業領域を拡げることになりました。

 

具体的には、FractaのAI技術と、栗田工業の水処理データ・ノウハウを掛け合わせることで、これまでにない革新的なソリューションを開発しています。初年度の2020年はAIアルゴリズムの開発やその検証を行ってきましたが、水処理プラントの設計領域と運転・メンテナンス領域の双方において一定の開発成果が得られており、確かな手応えを感じています。これを受けて2021年は複数の製品開発を行う予定であり、2021年度末にも実際の水処理の現場で製品・サービスとして活用されることになります。

 

なお、水処理という分野について補足すると、公共向けでいえば浄水場・下水処理場・海水淡水化施設、産業向けでいえば主に製造業の水回り(用水・排水)などが該当します。後者について多少縁遠く感じられる方もいるかもしれませんが、水が直接原材料となる飲料・食品はもちろんのこと、染料を洗浄するアパレルや、微細な汚れまで高純度の水で洗浄する必要があるPC・スマホなど向けの電子部品・液晶も、その製造に水処理(高純度な水の精製、工場排水の無害化、排水の再生利用等)は不可欠な技術であり、文字通り「衣食住」を支えるエッセンシャルなインフラになっています。

 

一方で、公共水・産業水ともに、世界的に今後深刻な水不足リスクに晒されることになります。ハードウェアの制約や課題に、人間のノウハウや重労働で対応する旧来型のインフラの在り方では、拡張性や持続可能性の観点で早晩限界を迎えると言わざるを得ません。我々は、そこにソフトウェア技術(AI/IoT)の力をアドオンすることで、より効率性を高め、同時に環境負荷も抑えることができる、サステナブルな水処理インフラの在り方を提案していきます。

Q

貴社の取り組みが今後実現していくと、どのように世界が良くなるのでしょうか?

北林

最終的な目線は、スマート化された水処理インフラによって、限られた水資源を効率的に活用・再生することで、人類を水不足問題から解放することです。国連によれば、2050年には人類の4分の1が慢性的な水不足に晒されると言われていますが、逆に言えば、水処理の生産性を抜本的に改善し、供給量を1.33倍増加させれば、その問題は解消するわけです(もちろん様々な制約があるので、話はそう簡単ではありませんが)。

産業向け水処理は、企業のSDGs意識の高まりなどからも比較的早期に実装が進む領域であり、まずはここで20~40%の省エネ・省コスト化(生産性でいえば1.25-1.67倍の向上)を実現していきます。

そして、中長期では、公共向け水処理にも展開していきます。もちろん産業と公共で規模・装置などに違いはありますが、処理プロセスは基本的に相似形ですので、これは自然な水平展開だと考えています。地理的には、まずは日本が対象となりますが、栗田工業やFractaの海外の事業基盤などを活かして、その後アジア・北米などの海外市場へ展開します。

Fracta Leap株式会社

心が動かないのに場所だけ動いてもダメ。情熱を持っている人にぜひジョインして欲しい。

Q

現在、貴社ではどのような人材を求めていらっしゃいますか?

北林

Fracta Leapは、水資源の豊富な日本から、あえてグローバルな視座で「水不足の解消」や「水インフラの持続可能性」といったテーマに身を投じようという人たちの集まりですので、そういったビジョンに共鳴頂ける方を求めています。実際に、今年採用した方々は、面談時に「職業人としての技能はこれまでに確立したので、今後は次世代に価値が残せる社会的テーマ(水資源、インフラ、衣食住等)に心血を注ぎたい」と仰ることが多かったです。もう1つの当社メンバーの共通点は、際立って知的好奇心が強いところですかね。新しい技術・事業を創造するために、日々探求・試行錯誤を重ねていくには、新しい発見や障害に面白がって対峙し、没頭する力が必要です。Value(行動指針)でも「エンターテイナー」「熱狂」といった言葉を掲げていますが、それはFracta Leapがそういった価値観を共有する集団だからです。

Q

採用で重視されているのはどのような点でしょうか?

北林

水資源・水インフラというテーマを自分事にできるかどうかは、日頃の世の中に対する視座や関わり方と表裏一体であると感じていますので、過去にどのような使命感をもって仕事をしてきたのか、今後のキャリアを通じて社会にどのような貢献をしたいのかは伺いますね。そういった思想は自ずと使う言葉にも表れます。また、能力面では、困難な課題に向かってやり切る力について過去のご経験を伺います。新しい事業づくりでは毎日が失敗や障害の連続ですので、いちいち挫けていられないわけで、その適性は確認させて頂きます。

Q

以前お伺いした、転職活動に関する北林さんのお話が印象的でした。

北林

余計なお世話かもしれませんが、30代になっても、新卒の就職活動のように様々な業界の企業に多数応募して、その中から条件の良い企業を選ぶというのはどうなのかなと感じています。自分の中に「軸」が無いと、良い話が来る度に流されてしまい、場当たり的な「自分探し」を続けることになるので、そういうときは、しばらく今の仕事に向き合って次のキャリアに何を求めるか、じっくり考える時間を取るのも一つかもしれませんね。大事な転機では、心が動かないのに場所だけ動いてもダメだと思います。「この仕事に心血を注いでみよう」と思えないのに、条件面などでいくら理屈をつけても、自分の心には嘘をつけない。人生は一回きりだから、心が躍らない仕事に時間を費やしている場合ではないはずです。自分が心から面白いと思っているか、新しいミッションにワクワクしているのか、よくご自身に問いかけてみた方が良いですね。

Q

最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

北林

情熱をお持ちの方と一緒に働くのは私自身楽しいですし、そういう方が入ってくると既存のメンバーも燃えるものです。「これまでのキャリアで振り切れなかった分を、ここで爆発させてやるぞ」といった強い想いは、チーム全体へ波及して相乗効果があるので、ぜひ情熱のある方にジョイン頂きたいですね。実際に、当社のメンバーは、リモートワーク下でも皆非常に熱量が高いです(笑)。

最後に、手前味噌ですが、水処理×AI・IoTというテーマに対してここまで大胆な布陣で臨んでいる集団はグローバルに見ても極めて稀です。その意味では、我々の存在が、水処理インフラに本格的なデジタル変革を起こすことができるかという観点で、重要な試金石になっていると自負しています。そういったチャレンジングなテーマが琴線に触れた方は、是非クライスさんにご相談ください!

インタビュアー / コンサルタント 工藤 直亮

構成: 神田 昭子

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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