キャリアアップコラム vol.121
「質問」からみえるもの

「質問」からみえるもの

面接では色々なことを聞かれます。8割位は聞かれたことに応える時間ではないかと思います。一方、残り2割の時間帯はいわゆる攻守交替。「何かご質問はありますか?」とボールを渡される場面になります。この場面、皆さんはどのような意識で「質問」をされていますでしょうか?

ある企業の経営者の方と同社の事業戦略上、重要な幹部候補ポジションの採用について打ち合わせを行っていたときのことです。
「来週、現場のマネージャーが是非と推薦してきている3名と連続でお会いさせて頂く予定になっています。皆さん、スキル、経験、お人柄共に抜群との申し送りがきていますので楽しみです。御社からのご推薦の方も勿論期待していますよ(笑)」
「それは楽しみですね。御社のマネージャーが是非という方々ですとおそらく迷われますね。弊社からイチオシさせて頂いておりますWさんも素晴らしい方です。」
「そうなれば嬉しい悲鳴ですね。また判断でご相談させて頂くかもしれません。」

そして、翌週面接が全員終了されたタイミングですぐにご連絡を入れさせていただきました。

「いかがでしたでしょうか?」と私。
「そうですね、実は先程全く迷わずその場で内定をお出しして、握手させて頂きました。」とのご回答。
ご経験、スキル、お人柄面については3名とも非常に高いレベルで拮抗されていたとのことでしたので、その場で即内定を決定されたというのが少々意外な印象でした。

「即決ですか。決め手はどこでしたでしょうか?」
「たしかに面接中盤まで皆さんの印象は同じくらい良いものでしたね。皆さん素晴らしいですよ。」

「では終盤に何かあったのですね。」
「そうですね、私は面接の後半では皆さんにこの会社を創業したときの思い、理念、この事業を通じてどのようなことを実現したいのか、社員にはどうあってほしいのか、という点を結構熱く語らせていただきます。そして一通りの私からの話を終了し、最後に候補者の方に「何か質問はありますか?」とボールをお渡しします。今回、皆さんからの質問は主に次のような内容でした」

Tさん:待遇面、インセンティブの仕組み、役職についてなどの質問。
Kさん:特にこれまで現場の方々にお話を伺ってきたのでという理由で特に質問なし。
Wさん:理念や今後の方向性に関すること。仕事観や事業についての考え方、ご自身のキャリアビジョンと私の考えを擦り合わせるような質問。

どなたが同社の幹部候補として採用に至ったかは自ずとおわかりになると思います。
「Wさんは、私と近い価値観・ビジョンをお持ちであることが実感できました。最後の決め手はそこですね。私は共に夢を追うことに専心出来る方に来て欲しいという思いがあり、自分の話をしっかりとさせて頂きます。今回は、最後の質問の場でその確信がもてたこと、これが即決で内定をお出しした大きな理由です。」

質問というコミュニケーション手段を通じ、相手の関心事と自分の関心事が一致していることを表現できたことが、Wさんが頭一つ抜けた大きな要因と見ることが出来ます。

当たり前といえば当たり前ですが、質問は、自分の関心事を相手に伝えるコミュニケーションです。
処遇に関する質問が中心になれば、相手は「お金に関心があるのだな」と感じますし、
評価に関する質問が中心になれば、相手は「評価に関心があるのだな」と感じます。

勿論、面接の場では色々と聞きたいこともあると思いますし、入社にあたり大切なことはしっかり確認せねばなりません。
しかしながら、面接もコミュニケーションの場です。質問に至るまでの会話から相手の心境や価値観を想像し、相手の立場やその話の流れに相応しい本質的な質問を心掛けることで、お互いをより一層負深いレベルで理解し合えることが出来ます。

(2013年3月15日)

今回の教訓&アドバイス

質問は自分の関心事(価値観)を相手に伝えるコミュニケーションでもある

面接では、話の流れに相応しい質問を心掛ける

誰に、何を、なぜ、今、聞こうとしているのかを意識する

質問が無いのは、無関心の証

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