面接官の本音 vol.152 ANRI株式会社

ANRI株式会社

創業間もないシードステージの企業に投資、支援を行うベンチャーキャピタル(以下VC)であるANRI株式会社。ベンチャーキャピタリストに向いているのは、「何かに興味をもって執着し、語らせたら夜通し話せるような人」なのだという。同社のジェネラル・パートナーを務める河野氏にお話をうかがった。

ANRI株式会社 ジェネラル・パートナー 河野純一郎氏

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【インタビュアー】コンサルタント 永田 憲章

「相手の可能性や選択肢を限定しない」ことを強く意識している

Q

貴社の面接で必ず聞く質問はありますか?

河野

必ず聞く質問はないのですが、比較的聞くことが多い質問は、「今没頭していることは何ですか?」と「学生時代の部活動で、どういうポジションや役割でしたか?」です。

まず、没頭していることを聞く理由は、情報感度や知的好奇心が高くて、行動に移せるかを重視しているからです。話題になったものを自主的に使ってみたり、食べてみたりして、何かに夢中になっている人が魅力的だと考えています。

起業家の場合も、すべての能力がバランスよく備わっていることが重要なわけではなく、特定の特殊能力は著しく秀でているけれども、他のことはチームにサポートしてもらえるような人の方が魅力的で突破力があります。

私たちは「偏愛」という言葉をよく使いますが、何かに興味をもって執着し、語らせたら夜通し話せるような人が向いていると思いますね。そのような方は相手のいいところや魅力を感じ取りやすく、伝える能力にも優れていますし、起業家ともシンクロしやすいです。

もうひとつの、部活のポジションや役割を聞く意図は、誰しも現在の自分は過去の積み重ね、過去の意思決定の結果であるからです。そのため、学生時代にやっていたことが、適材適所の場所だったりすることが多いと思います。

例えば、私の場合は学生時代に副部長や副キャプテン、副委員長をやってきて、常にトップを支えるナンバーツーのポジションでした。だから、起業家を支えるVCが向いているのではと思い、この仕事をしています。

Q

御社ならではの面接の特徴はありますか?

河野

お互いに、選び選ばれる立場であることを大事にしています。もし、僕らと縁がなかったとしても、「スタートアップ業界やVCの仕事は面白そうだ」と思ってもらえるだけでもいいです。

私はこの仕事を20年以上していますが、最近でこそ、ハイクラスの人たちのキャリアの選択肢にスタートアップが当たり前に入ってくるようになりましたが、それまでは見向きもされませんでした。

VCの業務内容は外から見るとわからない部分が多いと思います。私たち自身も黒子だという認識なので活動を積極的に発信しませんし、どうしても投資という側面が注目されがちです。

ベンチャーキャピタリストは、どんな仕事を日常しているのか、どんなキャリアパスを歩むのか、それぞれのファームにはどんな違いがあるのかなど、わからないところだらけなんですよね。わからないことは選択肢に入りません。

そのため、面接の時間を通じて、「スタートアップ業界は思っていたよりよさそう。スタートアップ業界への転職も考えてみようかな」と思ってもらうキッカケになればと思います。

面接の場では情報提供するスタンスで、必ずしも、うちの会社で働くことだけがベストという前提には立っていません。状況によって「こういうファンドがあって、こちらの方が向いていると思います」、「VCよりもスタートアップ向きですね」などと話すこともあります。

広く業界を知ってもらった上で、慎重に熟考を重ねていただき、その上で一緒に働けるならハッピーだというスタンスで、面接に臨んでいます。

実は、投資のときもスタンスは同じで、「絶対にうちと一緒にやったほうがいい」とは言いません。せっかくなので、さまざまなVCを見て、ベストと思えるVCと歩んでほしいと思っています。相手の可能性や選択肢を限定しないことを強く意識しています。

Q

面接で大切にされている事、注目するポイントがあれば教えてください。

河野

人の成長を自らの喜びと感じられるかを重視しています。面接で感じるのは、自己成長や自身の成長の機会としてスタートアップを選んでいたり、自分の成長に値する会社・業界なのかを重視したりする方が多いことです。

もちろん、結果的に成長は大事ですが、「起業家の力に少しでもなりたいから、自分が成長しなくてはいけない」という順序が重要だと思うんです。

自分の成長機会のためにスタートアップに投資をするのではなく、起業家や企業の成長のために自分が追いつかなければという気持ちをもって、投資先支援をしたいと考えています

そのため、「自分が」ではなく、支援している企業が成功していく様子を近くで見守ることに喜びを感じられるか。自分にスポットライトが当たらないことを良しとするかが、どのVCにおいても重要な素養であり、我々のファームは特にその傾向が強いです。

また、面接だけに限りませんが、発言と行動の一貫性は重視しています。例えば「スタートアップに興味があります」という方に、「注目しているスタートアップはありますか?」と聞いても特に答えがない場合、「興味があると言えるのかな」と思うことがあります。

私たちVCは、起業家に対しても、発言だけを評価することはしません。発言したことを行動に移しているか、その一貫性を見ています。

ANRI株式会社

日本の未来を創り出す起業家の成長を一番近く応援できる、エキサイティングで魅力的な仕事

Q

弊社は、志のある企業様に志のある候補者の方をご紹介することが大切だと考えております。貴社にとって『志ある人材』とは、どのような方でしょうか?

河野

主語の大きい人が志ある人だと思います。例えば、「研究者がかっこいいと呼ばれる世の中にしたい」、「未来の日本に必要な技術を見出し、誰も見向きもしていない段階で果敢に投資したい」などです。

こんな風に、主語が「僕が、私が」という一人称ではなくスケールの大きい人は、志が高い人なのではないかと思います。実際、うちのメンバーや応援したいと思う起業家の人は、そんな方が多いです。

Q

御社の今後の展望を教えてください。

河野

僕らのビジョンは「未来を創ろう、圧倒的な未来を」です。少し抽象的ですが、未来の当たり前を作るには、今から仕込まないといけません。

人間は目線が下がりがちで、どうしても目の前のことにとらわれますが、私たちは場合によっては5年10年先を見ていますし、最近では「100年続くファームにするにはどうしたらいいか」と考えています。

VCは仕組み上、10年というファンドの運用期間の中で、結果を出す必要がありますが、上場までの時間軸は延びてきています。小さい規模でのIPOではなく、ユニコーンの規模まで成長し、長期のスタンスをもって事業経営に専念できるだけの基礎体力を持って上場したほうが、経営にフォーカスできるからです。

それだけの事業を作ろうと考えると、上場までの期間は3~4年ではなく5~7年、場合によっては10年かかるかもしれません。それなのに、VCは10年で勝負をしなければならない。すると5年くらいで上場しそうな企業に投資せざるをえません。

しかし、世の中を変えるようなインパクトのある技術開発は形になるまで、ものすごく時間がかかるわけです。VCとして起業家を支援する立場で何か変えられないのかと思い、我々は運用期間が最大で15年のファンドを作りました。アメリカではすでに20年運用できるファンドも存在しています。

Q

御社を志望する候補者の方へのメッセージをお願いします。

河野

僕自身、20年VCをやっていて、不思議な仕事だなと思っています。世の中を変えたいという利己的な思いを持っているくせに、人の夢を応援する仕事なんです。ときには「事業をやったことがないのに」と言われることもあります。

しかし、人はそれぞれ持っている能力が違います。僕らは起業家をリスペクトしていて、自分たちにはできないから、彼らに投資をしている。自分で起業したことがないからこそ、投資先に必要以上に介入しません。

一方で、何十社何百社というスタートアップを見てきているからこそ、起業家には見えない世界やこれから犯すかもしれない過ちを知っています。こうした材料を起業家に提供していくことは、私たちだからこそできることです。

VCはまだまだ知られていない職業ですが、日本の未来を創り出す起業家の成長を一番近くで垣間見て応援できる、非常にエキサイティングで魅力的な仕事です。

起業家の数は増えてきていますが、成功に導いていくためには支援するVCも同じように増えていく必要があります。起業家を目指すのもいいですが、それらを支えるVCも面白そうだと思っていただけたらうれしいです。

インタビュアー / コンサルタント 永田 憲章

構成:久保 佳那

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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