キャリアアップコラム vol.65
変化を受け入れる

入社前と話が違う、希望と違う仕事へ異動となった、など。いろいろと予期せぬできごとが起こることもあると思います。今回お話しするAさんも、そんなご経験をお持ちでした。

前職では大手メーカーで新製品の企画を担当。昨年、弊社からのご紹介で30 名程度のベンチャー企業であるB 社へ転職しました。製品企画のプロジェクトなどを経験し、「もっと経営を勉強したい」「より自分の貢献がダイレクトに経営へ関与できる環境に行きたい」との思いから、39歳の時にこれまでよりリスクの伴う環境を選択しての転職でした。それから1年あまり経ち、久々にお会いしました。

「お元気そうですね。Cさん(B社の社長)からもご活躍の旨、伺ってますよ。」

「いや〜、大変ですよ、ベンチャーは。仕事の進め方も違うし、いろんなことをやらなくてはならないし…」

そう言いながらも、Aさんは明るく活き活きとしていました。

「でも、楽しくやっています。ビジネスも順調ですよ。Cとも話をしながら上手くやっています。」

Aさんは転職するうえで、一番重視したのは社長の考え方やビジョンでした。ベンチャーに転職する際に、もっとも重要なポイントのひとつです。B社への転職もここが決め手でした。

「ところで、今はどんなお仕事をされているのですか?」

「いろいろやっていますが、メインは営業ですかね。」

「えっ、営業ですか?! たしか事業企画のポジションでご入社されましたよね?」

「そうなんですよ。入社後、いろいろありまして。」

話を伺うと、入社後早々に営業の方が事故で入院することになり、代わりに営業部門を見ることになったようです。もちろんベンチャーなので、自らプレイヤーとしても現場に。以降、営業を中心としながら新規事業の立案なども行っていらっしゃるとの事でした。

「クライアントとの折衝などはやっていましたが、営業から離れて久しいので最初は苦労しました。でも、やってみると予想以上に引きが良く、話を聞いてくれる企業が多かったんです。自社のサービスの良さというか、市場のニーズにマッチしていることを認識できたので良かったですけどね。」

「なるほど。現場を知るという意味では良い経験ですよね。でも、早々にミッションが変わるというのは抵抗があったのではないですか?」

「そりゃぁ、ありましたよ。正直なところ、自分自身で消化するのに2週間かかりました。」

入社前と話が違う、新しい事業を創ることができるというので入社したのに回り道になってしまう、といった思いが駆け巡ったのが本音のようでした。ただ、会社の言うこともわかるし、会社として今何が必要かということも理解できるため、当時は、かなり葛藤したそうです。

「どうやって、葛藤を消化されたんですか?」

「自分でベンチャーを選んだのだから、逃げ出す訳にいかないと思ったんでしょうね。」

元々経営を勉強したい、経営に参画できるようになりたいと思って転職したのだから、経営の視点から今は営業すべきだということを言い聞かせ、ある意味覚悟して当時はやっていたようです。

「しかし、やってみると面白く、とても勉強になりましたね。経営といっても商売だし、現場の声や反応はとても大切だと。今手がけている新規事業の企画にも非常に役立っています。また、現場と経営の橋渡しもできますし、社内でのポジションを作ることができました。」

ベンチャーに限らずビジネスには変化がつきものです。この変化をいかに受け入れ、どのように取り組んでいくかによってキャリア形成にも大きく影響するのだと改めて思いました。回り道と思ったことが、かえって近道だったかもしれません。間違いなくA さんの覚悟や柔軟性を含めた「能力」が今の活き活きとしたA さんを作っています。考え方次第で行動が決まり、それによりキャリアの可能性も広がる。改めて、大切なことだと感じました。

(2012年7月10日)

今回の教訓&アドバイス

変化を受け入れ、どのように対応するかも大切な能力のひとつ

キャリアの目的をしっかり持つことが仕事に意味を持たせる

やってみたら「天職」かも。新しい可能性が見つかるかもしれません

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
半藤 剛
コンサルティング業界・IT業界の方々のキャリア支援(キャリアアップ・キャリアチェンジ)、およびコンサルティング・IT企業への転職支援、経営幹部(CXO、マネジメントクラス)のキャリア支援に豊富な実績を持つ。
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