キャリアアップコラム vol.64
スキルより大事なこと

中途採用において、大企業と中小・ベンチャー系企業では企業側の判断ポイントに違いがあることはご存知でしょうか?中小・ベンチャーでは最後には社長が面接に出てきます。場合によっては最初の面接から社長が出てくることも珍しくはありません。当然ながら社長との面接が全てと言っても過言ではないくらい重要であり、幹部クラスの採用ともなれば尚更です。そこでは何が重要視されるのか、ひとつのケースを見て考えたいと思います。

Bさんは今まで約18年間総務人事の実務経験を積み重ね、更に管理職としてのキャリアも充分。数々の苦労を味わい、困難を乗り越えて鍛えられていることが伺える方でした。また、自分をありのままに表現している方だなとも感じました。Bさんは今まで大企業1社のご経歴で、転職はこれが始めてです。転職動機は、現在の会社に外部資本が入り、今まで会社の経営理念なり方針に共感していた状態に変化が出てきたことが最大の理由。今後は会社の規模は問わないという考えで、むしろ業績もあまりパッとしない中小企業で、若手育成が必要な会社があれば、遣り甲斐を感じられるかもしれない、といった感じでした。

その他諸々話をした後で、私はBさんにある会社(仮に C社)をご案内しました。業界内の他社より知名度が低く、規模も小さい会社です。どうやらBさんにとっても初耳のご様子(私にとってはとっておきのお勧め企業でしたが)。これから会社を会社らしくしてゆくことが重要課題という部分に惹かれたBさんは、とにかく応募しないことには始まりませんね、ということで早速企業に推薦させていただくことになりました。

C社の社長と直接やり取りをしていることもあり、話は早く、早々に一度面接をセッティングすることとなり、私も同席しました。

面接は会社の説明で始まり、今までのBさんの経歴そのものについてはサラっと触れただけで、転職理由や人間性に迫るような質問に時間を費やしながら話が進みました。脇で見ていてもお互いに惹き合っているのが感じられました。面接に限らず、人は第一印象で無意識のうちに判断するものですが、このときもそんなスタートだったように思えます。

面接終了後、Bさんと一緒にその場を出て、“どうでしたか?”と尋ねると、“どうでしょう?自分としてはありのまま話したのですが、先方の社長に気に入っていただけたかどうか・・・”と半分とぼけているとも思えるような回答でしたが、恐らく本音としての感触はよかったはずです。

その翌日、C社の社長に電話で結果をお聞きしたところ、是非とも前向きに進めたいので、他の役員ともお会いいただきたい、という回答でした。他の役員とお会いいただくというのは、社長としてはほぼOKと考えており、一応の確認及び顔合わせという意味も含めてのセッティングです。

その後の選考プロセスを順調にクリアして、Bさんは無事にC社に入社が決まりました。

後日、C社の社長と別のポジションの採用に関する打ち合わせの席でのこと。社長が“Bさんみたいな方がいいな”と。Bさんみたいな方とはどんな方かと尋ねると、“実務経験は勿論ないと難しいけど、スキル云々というよりも人間として信頼できるかどうか、例え採用したポジションでうまくいかなかったとしても、この人ならなんとかして違うチャンスも与えたいと思わせるような人がいいね。Bさんに色々質問したけど、答えにくいようなことにもあきらかに正直に答えてたし、経験の裏付けを感じたよ。”非常に抽象的で、社長の頭の中を覗かないとよくわからないことでもありますが、一方ではなんとなくわかったような気もしました。

Bさんが評価されたポイントを私なりに整理すると、経営者目線の思考力、良し悪しに限らず正直に話すこと、適度に熱い人間味を感じる、実体験に裏付けられた苦労と課題解決能力を感じる、当事者としての責任感を持っている、こんなところでしょうか。

(2012年7月5日)

今回の教訓&アドバイス

中小・ベンチャーでは、スキルも必要だが人間的な側面はより重要視される

社長との面接では必ず本音で臨むべし

経験の裏付けが、言葉の信憑性を高める

このコラムを書いたコンサルタント
コンサルタント
奈良 元生
エグゼクティブポジション全般、オーナー系中堅成長企業。新規立ち上げ、事業企画系実績も多数あり。
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