2020年から続くコロナ禍。面談の場で「今の転職市場はどうですか?」と聞かれることがしばしばあります。「転職市場の状況は厳しそうだ」と考える方は多いようです。
その質問への回答をお話しすると、厳しい状況の企業はあるものの、成長や変革を考えている企業の採用は動いています。成長を続けている企業の採用意欲は活発ですし、厳しい状況だからこそ、変革を起こすために外部から人材を採用しようという動きもあります。
例えば、昨今のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材は、社内のリソースがなく、外部から採用する必要があるという企業さまは多いです。そして、自社の競争力を上げるために、新たな事業やプロダクトを推進するポジションの人材を採用したいというニーズもあります。
また、海外の投資家やVCから日本企業が資金調達をする機会が増え、スタートアップやベンチャー企業は採用に積極的に投資しています。大手は内部留保があり、採用に力を入れている企業も多いです。こうした背景から転職市場を考えると、決して悪い状況ではありません。私たちも「採用のご相談が減るかもしれない」と危惧していましたが、ありがたいことに相談を頂く機会は増加しています。
ここからは、最近の転職市場を象徴する2つのエピソードを紹介します。
即戦力の活躍を求められているときは対話が重要
新たな事業の推進のため、CXO系の求人を複数募集しているベンチャー企業の例です。
役員クラスの採用であるため、当然ながらポテンシャルではなく、早期の活躍・貢献を求められる即戦力のポジションです。
先日、ある候補者にオファーの提示がありました。オファーに至る過程で、候補者が同社の課題を解決する力を持っているのか、自身の持つ力を発揮できるかを確認している様子が印象的でした。
相互にずれがあり、入社後に活躍できないとお互いが不幸になります。候補者側も即戦力として期待されているのであれば、自身が活躍できるイメージをもてるか、期待に応えられる機会はあるのかをしっかりと確認することが重要です。オファー面談の場を活用しながら、企業との対話を深めていくことをおすすめします。
このように、現在の転職市場ではポテンシャルやチャレンジの幅が大きい求人はそこまで多くはありません。ただし、面接での評価が高く、即戦力として期待を持てる場合は採用する考えも企業側は持っています。
潜在的な採用ニーズに出合える機会をもつ
先日、当社が紹介して内定した事例です。実は、そのポジションはオープンに募集はしておらず、相談頂いたポジションでもありませんでした。
しかし、同社の今後の事業を推進するには重要なポジションであり、合う人材がいれば採用したいと考えていました。そしてご紹介した候補者の経験が求めていた条件に合致したため、採用となったのです。
潜在ニーズであったポジションに人材を紹介できたのは、経営陣から将来的に取り組みたい事業をお聞きしていたからです。その印象があり、フィットする方が当社に来られたため、企業さまにご紹介したところ、選考が進んでいきました。
このように、私も含め当社コンサルタントは、日々企業の経営陣や人事の方々とやりとりをしています。そのやりとりで聞いたお話から、閃くご紹介もあります。「この企業に転職したい」と思われる企業がある場合は、ぜひ私たちにご相談ください。
(2022年2月21日)
今回の教訓&アドバイス
コロナ禍の転職市場にもチャンスがある
即戦力を期待されているときは、すり合わせが重要
紹介会社を利用するからこそ生まれる転職もある

佐野 慶樹
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