キャリアって、どう決めてきたの?
候補者と面談をすると、他の方のキャリアについての考えを参考に聞きたいという方がいらっしゃいます。先日も面談をした30代の男性の方から、「皆様は、どうやってキャリアを決めてこられたのですか。」というご質問をいただきました。質問の回答の一つとして、プランドハプンスタンスという、キャリア理論の話をしました。スタンフォード大学の教育、心理学の教授であるクランボルツが考えたキャリア理論です。有名な理論なので、ご存知の方も多いと思いますが、簡単にご紹介をさせていただきます。
プランドハプンスタンスとは、日本語に訳すと「計画的偶発性理論」「計画された偶然」などと訳されます。端的にいうと、キャリアは偶然によって左右することも多く、偶然をポジティブな方向に考えることで、キャリアアッププランにつなげることができるという理論です。もう少し、詳しくご説明をすると、このキャリア理論の考えは、下記の3つに集約されます。
(1)個人のキャリアの8割は、予期しない偶然の出来事によって形成される
(2)その偶然の出来事には、何らかの「キャリアの種」が存在し、本人の意識や努力によって、新たなキャリアの機会に発展させることができる
(3)予期せぬ偶然の出来事をただ待つのみではなく、積極的に行動し、自分の周りに起きていることに心を研ぎ澄ませることで、それらを意図的に生み出すことができる
この理論で重要なことは、偶然に起こるものではあるが、ただ待っていたら、何かが起こるという考えではなく、自ら積極的に動くからこそ、生まれてくる偶然というのがポイントです。そして、その偶然に起こった出来事の中に、ご自身のキャリアを考えるヒントが隠されています。ご自身のキャリアを棚卸しすると、偶然によって決まってきたこともあるのではないでしょうか。では、この予期しない偶然の出来事をキャリアアップにつなげるためには、どのようなことが必要なのでしょう。
チャンスをとらえるためには何が必要か
① 好奇心:絶えず新しい学習機会を模索し続けること
② 持続性:失敗に屈せず努力し続けること
③ 柔軟性:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
④ 楽観性:新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
⑤ 冒険心:結果が不確実でも、リスクをとって行動を起こすこと
この5つのキーワードを意識して行動できるためには、オープンな心を持ち続けることも重要です。漠然と「こういう仕事がしたい」という方向性があるだけで十分であり、希望や計画を立てても、それに固執しすぎないということもポイントです。
これまでのご自身の経験の中でも、考え方を大きく左右するような出来事に遭遇したこと、全くの興味、関心がない人の行動、言葉に影響を受けたことがあるのではないでしょうか。そうした偶然の出来事、出会いをキャリアップにつなげる必然へと変えていくのは自分自身です。あとから振り返ると、あの時こうだったから、今があると思うことは多いと思います。そうした、偶然、チャンスを捉えるために、今をどう考え、動くかが重要です。自ら積極的にそのチャンスをとりにいき、自分のものにしていくことが、この変化の多い現代のキャリアを考えていく上で、重要なことだと思います。キャリア形成の考えは様々ございますが、偶然という機会も大切にしてみるのもいかがでしょうか。
今回の教訓&アドバイス
キャリアは予期しない出来事で決まることもある
偶然をキャリアアップにつなげるのは自分次第
オープンな考えで、5つのキーワードを意識し、行動する

佐野 慶樹
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