丸山貴宏のよくわかるキャリアの話 vol.02
クールビズ・iWatch。
ビジネスマンの戦闘服は、どう変わるべきか?

クールビズはどこまで許容か?

クールビスが浸透し、すっかりネクタイを締めるビジネスマンが減っている。温暖化が進んでいる昨今、省エネルギー対策としても歓迎すべきことと私は感じる。

汗だくの姿でアピールをして、顧客評価をあげようという姑息な営業手法も、もはや時代錯誤。今は、爽やかさや清潔感が印象度を上げ、洗練された服装選びが好まれている。

では、個性を出して真っ赤なシャツや、青いポロシャツとなるとどうだろうか。ジーパンはビジネスにはやはり馴染まない。「崩し過ぎ」と感じる服装の人もいて、顧客評価を下げているケースもある。

スポーツにおけるユニフォーム・衣装

スポーツの世界を見てみよう。シンクロやアイススケートでは、そのファッションもひとつの採点ポイントであり、観客もそれを楽しみにしている。一方で競泳の選手はより水の抵抗の少ない水着を選び、スピードスケートの選手の服装は、空気抵抗や伸縮性を重視しているようだ。「美よりは、タイム」の競技だ。

ところがこうしたスポーツの世界にも、華やかな衣装で戦う四元奈生美という卓球選手やウェディングドレスで計量をする女子ボクサーが登場している。サッカー日本代表のユニフォームは、機能面だけでなく、相手チームに対して攻撃的な印象のあるデザインで、相手を威圧するといった目的もあるとのことだ。

「話題を集める」といった目的だけでなく、「かわいい服を着て試合をしたい」という願望や、「相手選手の動揺を誘う」という戦略、「これで負けたら恥ずかしい」という自分へのプレッシャーなど様々な効用があるのかと感じる。

「最近の若者」だけの傾向ではない

かつての川上の赤バット、大下の青バットなど、実は昔から選手の個性を象徴するデザインや演出は存在していたのだ。

動物の世界でもライオンの鬣や、孔雀の羽根は、獲物への威嚇や異性へのアピールと言われ、様々な戦略的意味を持っている。

戦国時代や幕末の動乱の時代も個性の塊だ。信長の西洋甲冑、真田の赤備え、新撰組や白虎隊。統率感、連帯意識、闘争心など、服装の持つ意味合いは実は歴史的にかなり深い。

機能性だけでない多様な意味や目的を服装は持ち、その戦略性は現代のビジネスマンも単なるマナーではなく、踏襲すべき世界があるかと思う。

顧客の信頼を獲得するファッションとは

ヘッドハンティングのビジネスをしている私たちは、日頃エグゼグティブの方とお会いする機会が多いので、TPOをわきまえた服装というものをいつも意識している。それはまさに戦闘服であり、相手に対する配慮でもある。

年収何千万という方々の転機をお手伝いする我々が、よれよれの低価格なスーツを着ていることは、初対面のタイミングから信頼を失いかねない。たとえクールビズであっても、ネクタイがない分、ワイシャツの選択には気を配る。

待ち合わせは、一杯300円のカフェは選ばない。ホテルのラウンジなど、それなりの場というものを選択する。メモをとるボールペンにも気を使う。間違っても、どこかの会合でもらったペンでメモをとるなどと言うことは、あり得ない。

iWatchは、あくまでも子機。

できるビジネスマンは、時計にも気を使う。時間の管理はビジネスの基本であり、男性にとって時計は数少ない個性のアピール場所でもある。

iWatchの登場や、iPhoneの普及で時計をしなくなったとも。しかし、袖口からさりげなく見える時計は、センスと品位を表現する場であり、まさに戦闘服の一部である。

現状のiWatchはあくまでも、スマホの子機。ビジネスマンとしてのアピールのツールとしては、もうひとひねり、ふたひねりが必要かもしれない。

コンサルタント
丸山貴宏

大手就職情報会社の人事採用担当を約7年経験後、クライス&カンパニーを設立。前職からの候補者面談者数は10,000名を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。単に企業情報の提供に留まらず、「候補者の根っこのエネルギーを発掘する作業が我々の使命」がモットー。 1963年生まれ。

著書
「そのひと言で 面接官に嫌われます」 / 青春出版社 2014年5月9日発売
「キャリアコンサルティング」 / 翔泳社
共著
「転職後、最初の1年にやるべきこと」 / 電子書籍(Kindle版)
連載コラム
ダイヤモンドON LINE「転職で幸せになる人、不幸になる人」
ダイヤモンドON LINE「35歳からの転職力養成講座」
@IT「ヘッドハンター丸山のいつか、あなたに逢いにいく」
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