キャリアアップコラム vol.151
転職活動は段取り八分 ~ 職務経歴書作成編

「段取り八分」。これは仕事を進める上で、事前の準備がいかに重要かを表した言葉です。
仕事の段取りをキッチリしておけば、その仕事は8割完了したのも同然であるという意味になります。
今回は、この「段取り八分」の視点から転職活動のより良い進め方を考察してみたいと思います。また、特に準備のなかでも職務経歴書の作り方にフォーカスを当てています。

 

転職活動前の準備物としての代表格は職務経歴書です。
最近では色々なWEBサイトに様々なサンプルがありますので、フォーマットをダウンロードし、変数を修正するだけで比較的手間を掛けずに書類を仕上げることが可能です。しかしながら、私はこの作成方法ではあるべき準備のプロセスを踏んでいない。つまりその後の転職活動があまり上手くいかないことが多いと思っています。
 
では、転職活動をより良く進めるためにはどのようなプロセスで職務経歴書を作り上げると良いでしょうか。私は以下のように考えています。
 
~プロセス~
(1)客観的可視化:自身の仕事における成果や保有するスキル、ビジョンなどを多角的に棚卸しする。
(2)抽出選択:自身のキャリアの重要ポイントを目次立てして磨き上げる。
(3)表現修正:相手の期待を踏まえた表現に修正する。
 
こうして見るとなんだか面倒にみえますね。
このようなプロセスをお伝えすると「・・・サンプルはありませんか?」というリクエストを頂くことも多々あります。ただ、私は皆さんに嫌われることを覚悟の上で、「こうしたプロセスそのものが転職活動の大事な準備であり、これで転職活動の8割は完了します。騙されたと思って取り組んでみてください」とお伝えしています。
 
ちなみに、上記にて私がお伝えしている作成のプロセスのポイントを少し補足させて頂きます。概念的な説明に留まっていますので更に詳しく聞きたい方は是非キャリア相談会にお越しください。
 
【客観的可視化のプロセス】
自分自身のキャリアを下記の5つの視点から多角的に棚卸します。
 
視点1:経験業務と実績
視点2:スキル、技能
視点3:リーダーシップ(PM)、マネジメント(管理職)
視点4:成長、伸びしろ
視点5:キャリア観、ビジョン、目標
 
【抽出選択のプロセス】
大原則ですが職務経歴書は杓子定規に、全ての経験を書かねばいけないものではありません。聞いて欲しいことに大胆にフォーカスし、リアルなエピソードや数字を交え生々しく深めていきます。
 
【表現修正のプロセス】
職務経歴書は、自己満足ではいけません。応募企業という相手がいます。書類をみた相手が、成果を出してくれそう、一緒に働きたいと感じることが重要です。そのためには、相手の視点に立たねばなりません。自社と同じような状況で同じようなミッションを既に経験していたりすると成果に再現性を感じますし、価値観が似ている、キャリアビジョンが近いということがわかると一緒に働きたいと感じます。書きたいことを勝手に書くのではなく、相手を軸にして言葉を相手が知りたいことに変換する必要があります。
 
 
ここまでのプロセスを経ると、過去の経験の棚卸しはかなり深いところまでたどり着き、そしてそれを相手に刺さりやすい言葉で表現できるようになっています。
 
 
そもそも転職活動とは、「自分はどんな状況でどんな成果が出せる人なのか」を採用側の企業にしっかりと伝え、理解してもらうプロセスです。このような正しいプロセスを経て職務経歴書を仕上げられた方の言葉には、その方しか発しえないであろう相手も唸る深みや臨場感が生まれます。こうした状態になることこそが、より良い出会いを実現する重要なポイントになります。借り物の言葉で自分の表層を話すのではなく、深く臨場感をもった語りが出来るかどうか、その準備の手間が非常に大事なのです。
 
(2014年8月20日)

今回の教訓&アドバイス

転職活動は段取り八分

職務経歴書は即席ではなく一から順を追って作成する

準備が濃ければ濃い程、素晴らしい出会いが待っている

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