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INTERVIEW

INTERVIEW 017

2021 Jul 19

テクノロジーでコミュニケーションをあるべき姿に。
プロダクトマネージャー=事業責任者として、
真にお客様に感謝される製品をこの手で創り出す。

株式会社BEDORE(PKSHA Technology子会社)
執行役員 プロダクト開発責任者
森 大祐氏

PROFILE

株式会社BEDORE(PKSHA Technology子会社)
執行役員 プロダクト開発責任者
森 大祐氏

大学時代に純文学の小説家を目指すも、ブロードバンド黎明期に学生生活を過ごし、テクノロジーの偉大さに触れ、2004年に開発者としてワークスアプリケーションズに入社。エンタープライズ向けシステムのプロダクトマネジメントや、新規機能やプロダクトの立ち上げを連続的に経験。いくつかのキャリアを経た後、2018年に先進的なアルゴリズム技術を汎用化してSaaSとして社会実装できる環境に魅力を感じBEDOREに参画し、BEDORE Voice Conversationを立ち上げる。現在は執行役員として、BEDOREシリーズ全体のプロダクト開発責任者を務める。

INTERVIEWER

及川卓也 プロフィール

及川卓也 プロフィール

MicrosoftにてWindowsおよびその関連製品の開発を担当した後、Googleに転職し、ウェブ検索やGoogleニュースのプロダクトマネジメントやGoogle Chromeのエンジニアリングマネジメントに従事。その後、Qiitaの運営元であるIncrementsに転職。独立後、プロダクト戦略やエンジニアリング組織作りなどで企業への支援を行うTably株式会社を創業。2017年よりクライス&カンパニー顧問。

及川卓也について READ MORE

注目のアルゴリズムベンチャーから派生し、SaaSモデルで対話エンジンを提供。

及川

最初に森さんが執行役員を務めるBEDOREについてご紹介いただけますか。

私が在籍するBEDOREは、PKSHA Technology(以下、PKSHA)から派生した企業です。PKSHAはご存知の方も多いかと思いますが、東京大学の松尾研究所出身の機械学習技術者によって起ち上げられたアルゴリズムベンチャーです。

PKSHAは、エンタープライズ企業の個別の課題に対するソリューションとしてのアルゴリズムを提供していますが、そのアルゴリズムをSaaSで広く展開するために新たに起ち上げられたのがBEDOREです。現在はエンタープライズ企業のコールセンター向けの対話エンジンを主に提供しています。

PKSHAは課題を発掘するコンサルタントと、その解決策を編み出すアルゴリズムエンジニアが中心となって運営されています。一方でBEDOREはSaaSモデルでプロダクトを提供しているため、いわゆるプロダクトマネージャー(PdM)と呼ばれる人が所属しています。

及川

森さん自身のご経歴も教えていただけますか。

私は大学卒業後、ERPパッケージベンダーでプログラマーからスタートし、その後、プロダクト開発に関わるようになりました。PdMとしてのキャリアは10年以上になります。

実は私、大学時代は純文学の小説家を志していて、作家の先生に師事していました。小説家としては芽が出ませんでしたが、その先生から「良い物語というのは、登場人物たちのキャラクター設定が明確で、彼らの関係性の中から勝手にシナリオが生まれる」という指導を受け、登場人物を深掘って想定し、描写する訓練をひたすら繰り返しました。

その経験がいまPdMとしてユーザーを想定し、ユーザーの感情を理解するのに活きています。

及川

森さんがもともと小説家を志望されていたとは驚きました。そこで培われた表現力も、PdMを担う上でも役に立たれているのでしょうか。

PdMはある意味ドキュメントを書く仕事であり、その点では役立っています。あと、私が出会うPdMのなかで『この人は面白いな』と感じるのは、いわゆる芸術家肌で、テクノロジーを手段にして自分のやりたいことを表出している方が多いように思いますね。

及川

確かに優秀なPdMというのは、ロジカルな思考をつかさどる左脳と、アーティスティックな感性をつかさどる右脳のバランスが取れた人であり、森さんのようなユニークな素養をお持ちの方ほど活躍されている印象があります。社会に出てからは、森さんはどのようなキャリアを積んでこられたのでしょうか。

小説家になるのは諦めましたが、大学時代はちょうどインターネットの黎明期で、Webに興味を持ってホームページの制作を独学でやっていました。それでソフトウェア技術を究めたいとERPパッケージベンダーに就職し、運良く新規プロダクトの起ち上げに関わるチャンスを得て、そこからPdMとしてのキャリアがスタート。建設業向けのソリューションを自ら企画して市場開拓までリードし、大きな成果を上げることもできました。

その後、一度転職してデジタルマーケティングのソリューションを提供する企業でプロダクト開発に携わり、2018年にBEDOREに参画しました。入社後はPdMとしてBEDORE Voice Conversationという製品を起ち上げ、それが評価されて執行役員に昇格し、現在プロダクト開発の責任者を務めています。

プロダクト中心に動く企業。PdMに委ねられる裁量は非常に大きい。

及川

それでは本題に入りたいと思います。まずBEDOREにおけるPdMの役割についてご説明いただけますか。

私がプロダクト開発の責任者として経営メンバーに入っていることも大きいのですが、BEDOREではPdMの裁量が大きく、「PdM=事業責任者」のような体制になっています。

私自身、ロードマップ管理やリクワイアメントマネジメントはもちろんのこと、要件定義も手がけますし、PRD(製品要求仕様書)も書きます。ときにはユーザーヒアリングも担い、新製品であれば自分で営業をかけて導入まで関わっていく。能力のあるPdMには事業責任者としての責任と権限が与えられ、まさにプロダクト中心に動いている企業なのです。

及川

PdMが事業責任者の役割も担うとのことですが、数字に対する責任はどれぐらい負っているのでしょうか。

売上全体に対する責任は営業部門が負っています。PdMが担うKPIは MRR(Monthly Recurring Revenue)とARR(Annual Recurring Revenue)で、この2つの数字をPdMが追うことになります。

及川

現在、BEDOREにはPdMは何名いらっしゃって、どのような役割分担になっているのですか。

私を含めて4名います。私以外の3名のメンバーのうち、一人は以前に事業開発やカスタマーサクセスの経験があり、世間でいうところのPMM(Product Marketing Manager)の役割を担い、新製品の企画と最初のクライアントへの導入を手がけています。

残りの二人は、技術者のバックグランドを持つTPM(Technical Product Manager)で、開発のディレクションや技術調査などを、エンジニアチームと協業しながら行っています。

PMM役とTPM役のメンバーがタッグを組む場合もありますし、また、当社はエンジニアが優秀なので、PMM役のメンバーと直接やりとりしてプロダクト開発を進めるケースもあります。

及川

御社が開発しているプロダクトについても具体的に教えていただけますか。

現在、主力プロダクトとしてBEDORE Conversationというテキスト対話エンジンと、BEDORE Voice Conversationという音声対話エンジンがあり、先ほどお話ししたTPM役のメンバーはテキスト対話エンジンのプロダクト開発を担当し、マーケット開拓は私と営業責任者が進めています。

音声対話エンジンのVoice Conversationは、引き続き私自身がプロダクト開発からマーケット開拓まで全般をリードしていますが、今後はPdMを新たに採用し、私の手から離していきたいと考えています。

また、Voice Conversation に続く新規プロダクトをいまいくつか起ち上げている最中ですが、それらはPMM役のメンバーが主導し、私とエンジニアをサポートしている形になっています。

及川

BEDOREは対話エンジンをベースにしたプロダクトをSaaSで提供されていますが、企業として進出する事業領域はどのように決定されているのですか。

BEDOREは「テクノロジーでコミュニケーションをあるべき姿に」というミッションを掲げています。現在、サービスを提供する領域を「コールセンター」と「ワークプレイス」にフォーカスしており、これは「企業と消費者」そして「企業と従業員」におけるコミュニケーションの課題をテクノロジーで解決し、新たな価値を創造していく取り組みです。

すでに実績のある「コールセンター」に関して言えば、企業に問い合わせする人のカスタマージャーニーを考え、私たちが解決できるポイントすべてにプロダクトを当てることでコミュニケーションの最適化を図っています。そしてこれを「ワークプレイス」にも展開し、社内コミュニケーションのDXにも貢献していきたいと考えています。

お客様に提供するのは「価値」。その本筋から外れないための仕組みを。

及川

BEDOREがプロダクト開発において重視していることは何でしょうか。

私が常々メンバーに話しているのは、重要なのはプロダクト自体ではなく、プロダクトを介してお客様に提供できる価値だということです。そのためには3つの力が大切だと考えています。

ひとつは「アルゴリズム力」です。Voice Conversationであれば音声の認識精度が高いほど対話の品質が上がるため、アルゴリズム力が高いのは大きなアドバンテージになります。

二つ目は「アプリケーション力」で、これはソフトウェアの機能性のことです。たとえば、問い合わせいただいたお客様にお名前を聞き直すとか、柔軟な対話フローを組める機能があれば、より多様な業務にシステムを適用できるというイメージです。

そして三つ目が、私たちが「現場力」と呼んでいるもの。クライアントの業務を理解した上で、どう機能を使えば効果が上がるのか、カスタマーサクセスのメンバーと一緒になって追求していく。

たとえば、通販企業のクライアントのコールセンターにおいて、健康食品などを定期購入しているユーザーからの配送日の変更を自動で受けてほしいというご要望をいただいた時、対話エンジンでいきなり「配送日をいつにしますか」と聞くと完結率が非常に低くなる。

というのも、ユーザーはその健康食品をスケジュール通りに消費し切れなかったため余っているのであって、いつ配送してほしいかという日付を言いたいのではなく、今商品が余っているから、配送サイクルを遅らせてほしい、もしくは足りなくなっているから早く送ってほしいということをまず言いたいのです。

このため、いきなり配送日を聞くのではなく、「余っているか、足りなくなっているのか」を先に確認し、その後に配送日を聞くと完結率が大きく向上するのです。これは泥臭く現場を探ることで見つけ出した解であり、この力も私たちはたいへん重視しています。

及川

お客様への提供価値にこだわっているのがBEDOREらしさなのですね。では、御社におけるプロダクト開発はどのような起点からスタートするのでしょうか。また、そこにPdMはどう関わっているのですか。

当社ではリクワイアメントマネジメントを重要視し、開発案件のデータベースをきちんと整理しています。そこに社内のメンバーが、たとえば営業でもカスタマーサクセスでも誰でも気軽に「こういう機能を作ってほしい」というリクエストを投稿できる仕組みになっています。

その内容をPdMの全体ミーティングで定期的に棚卸しを行い、どれをピックアップするかはプロダクト戦略に沿って判断し、PMMは新規案件、TPMはカスタマーサクセスからの要望を中心に分担。必要に応じてヒアリングを実施し、そこからPRDを書くことになります。プロダクトの戦略に沿っていれば、どんな機能をどう作るかはそれぞれのPdM次第。きわめて自由度の高い環境です。

及川

PdMの方々に大きな裁量を委ねているとのとですが、裏返せば本質を見誤るリスクもあると思います。現場からのリクエストが表面的なニーズにすぎず、実は本質的には必要のない機能を作ってしまったとか、そうした事態に陥るケースも少なくありません。それを防ぐために何か取り組まれていることはありますか。

その点について言えば、PdMに対する教育にたいへん力を入れています。プロダクト開発における有効な方法論として「ジョブ理論」が注目されていますが、BEDOREにおけるジョブ理論を私なりに構築し、noteでも発信してメンバーに教授しています。

さらに、当社のPRDはジョブ理論を考え抜かないと書けないフォーマットになっており、“How”はPRD上ではそれほど重視されていません。

及川

PRDのフォーマットを工夫されているのは、とても良い取り組みですね。具体的にはどんな構造になっているのでしょうか。

まず機能の概要を記し、なぜこの機能が必要なのか、実現した時のメリットは何か、誰が使うのかという詳細なユースケースを書き終わったら、簡単な実装イメージを書くという形になっています。

及川

PRDに書く内容を規定することは大切なことだと思います。“Why”や“What”よりも“How”のほうに目が向きがちなPdMも多いなか、こうしてPRDで書くべきテーマが決まっていると、本来思考しなければならないポイントの抜けや漏れにも気づく。

当たり前のことを当たり前にできるようにするための仕組化は重要であり、森さんの取り組みはたいへん評価できます。

実現したい価値は対話エンジンを使った高度オペレーターの代替。可能性は無限に広がる。

及川

それでは、御社がいまどんなPdMを必要とされているのか、その人材像を教えていただけますか。

当社はPdMに大きな裁量を委ねることもあって、以前はスーパーマンのように何でもできる人材でないと採用は難しいと考えていました。しかし、事業が進展するにつれて、Conversationなどの製品は100社以上のクライアントがつき、すでに一定のPMF(Product Market Fit)を獲得して業界のトップランナーになっています。

このプロダクトをさらに進化させる開発を健全に回していく役割を担うPdMも求められています。また、新しいプロダクトも続々と起ち上がり始めており、それらのPMFを図るというPdMのポジションも活躍できる。

いろいろなフェーズが生じてきたため、いろいろなタイプの人材がPdMとして力を発揮できる環境になり、採用にあたっても特に定型的な求める人物像は設けていません。

及川

その方のバックグラウンドに関わらず、PdMとして活躍できる機会があるということですね。

ええ。ビジネス開発経験があり、新しいプロダクトをゼロから起ち上げることにチャレンジしてみたいという方には、それがかなうフィールドを提供することも可能です。

一方、ビジネスにはまだ疎いものの、エンジニア経験があり、それをもとにTPM的な役割からスタートして、いずれは自ら事業を創れるようになりたいという方も、私のもとで経験を積むことでその力を養えると思います。

及川

では、BEDOREでPdMを担う醍醐味について、候補者の方々に向けて森さんからメッセージをいただけますか。

自信を持ってアピールできるのは、私たちが創っているのはクライアント企業に本当に感謝いただける製品だということです。導入後、お客様の社内で社長賞を受賞するようなケースもたびたびある。お客様から「これ作った人、天才ですね」とおっしゃっていただけることもあります(笑)。

BtoBのプロダクトは手触り感がないと言われることも多いのですが、私は価値の定量化にこだわっており、BEDORE製品の導入によってどんなメリットがもたらされたのか、すべて可視化できるように意識しています。クライアントのコールセンターに寄せられるお問い合わせのボラティリティをアルゴリズムで吸収し、大きなコスト削減を実現したり、問い合わせ体験の向上をもたらすことでお客様への貢献を実感できたりする。

ここまで大きな手応えを味わえるBtoB製品は、おそらく他にはないと思います。

及川

御社が手がけているような対話エンジンは、まだまだ大きな可能性を秘めているのでしょうか。

乱暴な言い方をさせていただくと、私たちは対話エンジンだけを提供しているつもりはありません。私たちが提供するプロダクトをクライアント内の他のシステムとも連携させて、いわば対話エンジンを使って、オペレーターと遜色ない対話品質で、同時に対応できる数を増やす、24時間365日対応できるようにするというように、オペレーターの能力を拡張しようとしているのです。

価値を出せるポイントはたくさんありますし、私自身もまだまだ創りたいプロダクトが山のようにあります(笑)。当社はプロダクトへの投資も大胆に実行しており、自らの手で新しい製品を創り出せるチャンスはたくさんある。PdMとして大きくキャリアアップしたいと考える方にとっては、絶好のフィールドだと思いますね。

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