Column
DX転職コラム
今、PEファンド投資先のCIOニーズが熱い?
~なぜPEファンドはCIO人材を求めているのか
ここのところ、IT・DX人材のキャリア市場において、ある動きが顕著になってきたように思います。
それは、PE(プライベート・エクイティ)ファンドが、投資先企業におけるCIOを外部から招聘するケースが増えているということです。
実際に、PEファンドやPEファンドからの投資を受けた企業から、CIO採用に関する相談・依頼を受けることが増えました。
従来は、CIOというポジションは情報システム部門におけるキャリアパスの延長線というイメージが強くありました。
DXがバズワードとなった頃から、DXの強化・推進を掲げる一部の企業でCIOを外部から登用する動きが出てきましたが、社内政治的な意向・力学により、ITが専門領域ではない人材がCxOポストのひとつという位置づけ・考え方からCIOに就いている企業もまだあります。
一方で、PEファンドによっては最初から「CIOを外部から探す」ことを前提に投資判断をすることも珍しいことではなくなっています。
この動きは、一時的なものではないように感じます。それは、IT・DXの位置づけ、CIOの役割そのものが再定義されていることが背景にあると考えます。
これは、IT・DX領域におけるキャリアアップの機会も広がっていると言えます。
何故、PEファンド投資先でCIOニーズが高まっているのか。
主に、下記の視点から考えてみます。
PEファンド投資先のバリューアップに向けたIT・DXの位置づけ
PEファンドの投資スタイルは極めて明確です。投資後、限られた期間の中で企業価値を高めてEXITすることです。企業価値を高めるために必要な施策は、全て「時間軸」と「成果」で評価されます。
そのため、IT・DXは「将来のための基盤整備」ではなく、短期間で経営にインパクトを与えるレバーとして扱われます。
例えば、基幹業務システムの刷新、CRM導入、データ基盤構築なども、将来のための基盤整備として投資するのではなく、営業生産性・在庫回転率向上、意思決定スピードUPをはじめ、売上・利益の改善・向上への「時間軸」と「成果」を重視して投資します。そして、成果はPLやCFといった経営指標で判断されることになります。
業務効率向上だけでなく、トップラインを上げる、利益率を高めるうえでもIT・DXが担う役割、与えるインパクトは以前に比べて大きくなっており、経営上、非常に重要なファクターとなっています。そのため、PEファンドが投資先のIT・DXに求めるのは「IT」ではなく「経営」であり、ITそのものの出来不出来よりも、ITを通じて何をどのように変えることができるかが重要なのです。これが前提となりますので、経営視点で考え実行することがファンド投資先におけるIT・DXの位置づけとなります。
CIOはIT責任者ではなく経営変革の当事者
従来の日本企業におけるCIOは、多くは「IT部門のトップ」という位置づけです。そして、IT部門のミッションは、システムの安定稼働を守り、ベンダーを管理し、現場の要望を調整すること。重要な役割ではありますが、経営そのものを変えるというよりは、業務・オペレーションを円滑・効率的に進めるための役割に留まっていることが多く、同様にCIOの役割もIT部門の延長線上の責任者に留まっていることが多いです。
しかし、PEファンドが求めるCIOは、IT部門の延長線上にはいません。経営視点を持ち、経営の一員としてITの側面から会社をどのように変革するか、価値を高めていくか、などに責任を持つ存在です。「IT部門のトップ」は役割の一部に過ぎず、ITを理解した経営人材であることが求められます。
※参考までに
https://www.kandc.com/digital/dx/column/06/
https://www.kandc.com/academy/report/023/
IT基盤・セキュリティに関する考え方の違い
PEファンドと話をしていて、CIOニーズの違いが最も顕著に表れることのひとつに、IT基盤・セキュリティに対する考え方があります。特に、外資PEファンドのセキュリティに関する考え方は厳しく、要求するレベルも数段高い印象があります。
基本的な違いとして、セキュリティは「守るため」ではなく「価値を高める(毀損しない)ため」というのがあると考えます。
多くの日本企業では、セキュリティは「事故を起こさないための守り」として位置づけられてきました。
規程を整え、ルールを作り、違反がないことを確認することを基本に、最低限の脆弱性をカバーし、リスクに備える。経営リスクとしての重要性は認識しているものの、そこまで重視した取り組みまではできていない企業が多いです。
一方で、PEファンドにとってのIT基盤・セキュリティは「企業価値を高める(毀損しない)」ための前提条件があります。
一定期間でEXITするという前提に立つと、大きなインシデントは企業価値を損なう大きなリスクになります。また、EXIT時のDue Diligenceの際に、問題があればValuationに影響が出てしまいます。
このように、IT基盤・セキュリティは企業価値に直結する経営リスクとしてとても重視しています。
上記のように、PEファンドの投資先でCIOニーズが高まっている背景として、視点・コミットの主軸がこれまでの「IT」ではなく「経営」となることにより、IT・DXの役割・位置づけが変わり、CIOの役割も再定義されたことがあります。従来の役割・定義では当てはまらなくなった結果、投資先企業にいる人材と期待値とにギャップを感じ、CIOを外部から採用するという流れです。
ITが経営変革の中核となり、今後もこの流れは続くと考えます。
なお、ここでお伝えしておかなくてはならないのは、決して投資先企業の人材レベルが低いということではないということです。
育成すればCIOを担うことができる人材がいることもあります。ただ、上述の通り、投資後に限られた期間の中で企業価値を高めてEXITすることが前提としてありますので、育成する時間はありません。
早期に経営へインパクトを与えることが求められるため、既存人材の役割転換・内部育成に賭けるよりも、最初から期待役割を満たすことができるCIOを外部から採用する選択・判断をすることが増えています。
裏を返せば、PEファンド投資先のCIOは、経営陣としてPEファンドとも連携し、早期に結果を求められることが多いです。
意思決定のスピードも速く、時間軸を含めた成果へのコミットメントなど、決して楽な環境ではないでしょう。
一方で、IT・DX人材にとって、CIOとしての成長・キャリアアップを短期間で実現することができる貴重な機会だと思います。
今回はPEファンド投資先のCIOをテーマにお伝えしましたが、PEファンドの投資先に限らず、ITと経営の両方を理解し、価値創出のストーリーを描けるCIOポジションのニーズは今後も続くと思います。
また、CIO以外にも経営視点を持ってIT・DXによって企業・事業を変革するための要となるポジションのニーズもあります。
キャリアアップに向けてどのようなニーズがあるのか、チャンスをつかむためにどのような準備が必要か、など気になることがありましたら、デジタルプロフェッショナルチームに、いつでもお気軽にお声がけいただければと思います。
(本記事は、ITコンサル・SE・事業会社IT/DXポジションの転職支援を専門とするコンサルタントの半藤 剛が執筆しました)
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