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ITを軸に、オーケストレーション能力を磨く。
ソニーCIOに聞く、キャリアヒストリーとDX推進の軌跡

ソニーグループ株式会社 執行役員 CIO (チーフ・インフォメーション・オフィサー)
コーポレートIS部 シニアゼネラルマネジャー
ソニーグローバルソリューションズ株式会社 代表取締役社長
樋田真 氏

インタビュー

2022 Sep 7

ITを軸に、オーケストレーション能力を磨く。
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Profile

アクセンチュアの執行役員やファーストリテイリンググループ執行役員CIOなどを経て、2017年7月ソニー(現ソニーグループ)入社。2018年6月ソニー(現ソニーグループ)執行役員CIO就任。2019年1月よりソニーグローバルソリューションズの社長を兼務。

Contents
自分が何かをやりたいというよりも、人からの強い熱量に導かれて今のキャリアがある。
各事業体の個別戦略や独立心を尊重し、パーパスを全社で共有することでDXを前進。
ビジネス領域も、新たな技術を学ぶ機会も無限大。デジタル変革者のその先を目指して。
自分が何かをやりたいというよりも、人からの強い熱量に導かれて今のキャリアがある。 画像

自分が何かをやりたいというよりも、人からの強い熱量に導かれて今のキャリアがある。

―初めに、これまでのご経歴についてお話いただけますでしょうか。

新卒でアーサー・アンダーセン(現:アクセンチュア株式会社)に入社して、システム開発を中心に経験を積んだ後、戦略グループに異動してCRMサービスラインの統括や通信業のビジネス統轄等を経て、素材・エネルギー・ユーティリティの執行役員を務めました。

その後、ファーストリテイリングの創業社長である柳井さんから「僕は世界一になりたい、そのためにぜひ力を貸して欲しい」と熱量高くお誘いを受けたことが縁で、グローバルで勝負できるシステムを構築するためにCIOとしてファーストリテイリングに転職しました。

約3年半、相当予算も投じて会計・人事・サプライチェーン・販売管理等すべてのシステムをつくり変えるという複数プロジェクトを同時並行で進めるのは心身共に相当タフな経験でしたが、やりがいもありましたね。海外に新規出店する場合、従来は販売管理やPOSシステムやネットワーク整備等のIT関連セットアップに半年近い期間を要していましたが、わずか2週間でセットアップできるようになりました。

この経験を通じて、「ITがビジネスの足枷になってはいけない」「ITはイネーブラーとしてビジネスを支えて後押しできる存在でなければいけない」と学びました。

その後、ご縁のある方からソニーのCIOのお話をいただき、私自身アクセンチュア時代にソニーのプロジェクトに関わっていて思い入れもあり、輝いて欲しいと思う日本の企業であったことから、入社を決意しました。現在、IS組織の改革推進と並行して、小寺剛CDOと私との二人三脚でDXを進めているところです。

私のキャリアを振り返ると、常に自分が何かをやりたいというよりも、手伝って欲しいとお声がかかることが多かったですね。

アクセンチュア在籍時も、元々私はサプライチェーンの経験が中心でしたが、戦略トップの方から「これからは営業改革、CRM、顧客だ」と言われてCRMの統括を任せていただいたり、通信業やハイテク産業をメインで担当していたものの「ユーティリティやリソースをマネージして欲しい」と言われて担当することになったりという、強い熱量で頼まれてその都度期待に応えようと努めてきたように思います。

―アクセンチュアの執行役員から事業会社へ移られるのは、相当のご決断だったのではないかと思いますが。

柳井さんから熱量高くお誘いをいただいたというのが大きかったですね。あとは、アクセンチュアジャパンの中で評価をいただいても、やはりアクセンチュア本社ではないので、グローバルで様々な方の承認を多数取らないと自分のやりたいことができないという側面もありました。

ファーストリテイリングは当時売上6000億ほどの事業規模でありながら、世界中のシステムや業務を変えるにも、柳井さん一人を説得すれば実現できるという本社の中枢にいることの醍醐味を感じました。

加えて、コンサルは提案しても最終的に意思決定するのはクライアントであるため、クライアントがOKしないと物事が進まないということから、主体的に本社側でやるということに興味がありました。

―過去のご経験の中で、現在のCIOのお仕事に活きたと感じられていることはありますか?

アクセンチュア時代に、IT・サプライチェーンから戦略まで自分としては一通り幅広く経験を積んでいるつもりでしたが、あるクライアントとお話したときに「全部できると言っている人間は信用できない」と言われまして。「何でもできる」ということは結局のところ何もできないので、ITという軸があった上で戦略やファンクションの理解があることが重要だと実感しました。

この経験から、メンバーにも「自分の軸となるものをちゃんとつくって欲しい」と話しています。IT技術をしっかり持っていれば、ユーザーもその点で我々をリスペクトしてくれるものです。

ただ、そのことに甘んじてこちらがIT専門用語だけで話していてはユーザーに伝わらないので、オーケストレーション能力を磨いて相手の理解を得られるようなプロトコルでコミュニケーションすることが肝要ですが、あくまでもITが軸であることは忘れないように意識しています。

―CIOを目指しているデジタル・IT人材の方へ「マネージャーとCIOの違い」をお伝えしたいのですが、樋田さんのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

CIOに求められる要件として最も重要なのは、経営トップの描く事業戦略をIT戦略にコンバートできる能力だと思います。

換言すると、自分達の考えるIT戦略が経営者の考える事業戦略と如何にマッチしているかについて、相手に伝わるプロトコルで説明できる能力ということです。

また、CIOとマネージャーとの違いという観点で言えば、CIOが事業戦略をコンバートしたIT戦略をもとに、実行推進するのがマネージャーだと考えています。

そのため、マネージャーがビジネスを理解し、オーケストレーション能力を磨いていけば、CIOになれるはずです。

各事業体の個別戦略や独立心を尊重し、パーパスを全社で共有することでDXを前進。 画像

各事業体の個別戦略や独立心を尊重し、パーパスを全社で共有することでDXを前進。

―御社のデジタル・IT組織体制がどのようになっているのか、教えてください。

私がCIOに就任後、2018年にIS組織の中にDXを推進するグループを新規で立ち上げました。

DX戦略としては主に3つの領域があり、1つ目はRPAを使った自動化や、AIのアルゴリズムを活用したフォーキャストの精度高度化などの既存ビジネスの効率化に資するDXです。

2つ目は、顧客がデジタルの世界に変化しているため、コールセンターで顧客からの問合せ電話を受けるのではなく、LINEのチャットやチャットボットで対応するといった、顧客接点の変革です。

3つ目は、新しいビジネスモデルの創造です。小寺CDOが本社に設立したコーポレートDXというプランニングチームを管掌し、IS組織が実行部隊としてDXを推進しています。

―御社には様々な多数の事業がありますが、事業全体を横断でみるDXということでしょうか?各事業部の中にもDX推進担当の方がいらっしゃるのでしょうか。

小寺CDOと私とでDXフォーラムを立ち上げており、その実働部隊として3つのワーキンググループがあります。「ビジネスイノベーション」は各事業体からサービス企画、マーケティング等のメンバーが参画しています。

「コンプライアンス&プライバシー」は、本社の法務部に加えて、各事業体にも法務やプライバシー担当が存在するため、共同で推進しています。「データテック」ではIS組織のメンバーが中心となり、データの流通基盤「Sony Data Ocean」を構築しています。

各事業体にもDWHがあるので、そこからどうやってオンボードするのかということも含めて検討していて、事業形態によって事業体がデータを持っている場合もあれば、IS組織がデータを保有しているケースもあります。

ワーキンググループは、事業体を巻き込んだジョイントの形でやっています。各事業体には1~2兆円規模の売上があり、個社の戦略や独立心を持っているため、我々は常に「連邦型ガバナンス(Federated Model)」というスタイルを取っています。

各個社の固有の事情や個別戦略も尊重しつつ、共通的にできるものは本社で音頭を取って推進していく、スケールするものは本社がイニシャルの投資をするということを組み合わせながら、各事業体の方を巻き込んでいく形ですね。

トップダウンで推し進めるのではなく、各個社が良い形でビジネスを成長させられることを目指しています。各個社でデータを掛け合わせることにより、今まで見えていなかったCustomer 360について新しい発見があります。

―ソニーご入社後に推進してこられた、デジタル化の取り組み内容についてお聞かせいただけますか?

最も重要な点として、経営層にIT戦略に関する理解を充分に得られておらず、事業戦略とIT戦略がリンクしていないという課題がありました。

そのため、IT戦略会議を新たに設けて、IS組織から経営層に対して「中期はこのようにITを変えていきます」「こういうことにプライオリティを置きます」という話をして理解を得た上で、その是非の判断や優先度の決定、KPI設定等について議論しています。

ITのコスト構造も含めて見える化した上で、多額のIT予算を使っているという話に対しても、きちんとその内訳を明示した上でどこが使い過ぎなのか、どこにもっと投資すべきかを伝えていく必要があります。

売上に対するITコストの比率も常にモニターしていかなければなりませんが、私がソニーに入社した当時のITコストは業界平均に比べてやや高かったので、3年かけてコスト削減を強力に進めました。

その他、インフラの再構築や、グローバル各地に点在していた多数のデータセンターの統廃合、クラウドファーストの推進、レガシーシステムのリプレースを約4年間で推進してきました。

これだけのことが実現できたのは、吉田憲一郎会長兼社長CEOの掲げたソニーのパーパス(クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。)が大きく寄与しており、各事業が別々にやっていたものが、ソニーグループ全体で1つのパーパスとして存在しているという理解が進んだので、IS組織が非常に前向きな姿勢で様々なことに取り組んでくれるようになったと感じます。

ユーザーや経営との距離が近くなったことで、相互の信頼関係構築に繋がり、IS組織の現場のメンバーがモチベーション高く色々な改革をユーザーと一体感を持って進められるようになりました。

それから、SAP・AWS・Azure等の新しいクラウドテクノロジーに関しても豊富なトレーニングプログラムを導入したことにより、IS組織のメンバーはキーテクノロジー資格も多数取得しています。

ビジネス領域も、新たな技術を学ぶ機会も無限大。デジタル変革者のその先を目指して。 画像

ビジネス領域も、新たな技術を学ぶ機会も無限大。デジタル変革者のその先を目指して。

―御社がデジタル・IT人材に求める要件について、以前と変化している点はありますか?

今後はDtoCサービスのようなビジネスに直結するアプリ開発が増えていくため、ビジネスユーザーとコミュニケーションしながら一緒にサービスを創れるようになる必要があると考えています。

PMスキルやSEとしてのスキルももちろん大切ですが、クラウド技術も活用し、マイクロサービス的開発もしながらビジネスユーザーと対話してUI/UXデザインをしっかり考えるという、サービスマネージャーやプロダクトマネージャーとしての能力が求められます。

短期的にはITの専門性を軸にソニーのビジネススキルを習得した上で、デジタル知見を活かしてデジタル変革者になることを目指し、その先にはコミュニケーション能力も求められるオーケストレーション(旗振り役)ができる人材になって欲しいと思います。

―デジタル・ITの領域でキャリアを構築している方が御社でキャリアを積む魅力についてもぜひお聞かせください。

ソニーグループは多様な事業を有する企業ですので、やりたいと思うビジネスは何でもあるという環境です。加えて、すべてのビジネスをグローバルで展開しているため、どんなビジネスに対するIT提供も実現できます。

それから、プレイステーション ネットワークのMAUは1億人以上存在しており、Crunchyrollというアニメ会社やテレビアニメ「鬼滅の刃」を手掛けるアニプレックス等々、膨大なデータがあるので、分析すると面白いものが続々と出てくるはずです。

また、最先端の技術に挑戦できるだけの充分な予算もいただいており、ソニーのDNAとして創業者から脈々と受け継がれたチャレンジするカルチャーがあります。私は、よく新入社員に「飽きるまでソニーを食べ尽くしてください」と伝えています。

ある時は販売会社でSAPに携わっているかもしれないし、ある時はPlayStationのサービスをつくっているかもしれない。あるいはミュージックでSpotifyとのデータストリーミングのシステムをサポートしているかもしれないし、金融のペイメントで新サービスの組込みを考えているかもしれない。

このように、当社ではできないことがまず無いので、5~10年くらいではなかなか飽きないと思います(笑)。

新たなテクノロジーを習得できる環境という観点で言えば、当社は非常に良い条件でSIやパートナーの方々にトレーニングプログラムを提供いただいています。

更には、ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)という研究組織とIS組織のDXチームが共同でデータ分析のスペシャルプラグラム開発を実施しており、データアナリストを養成しています。

学ぶ意欲をお持ちの方であれば、いくらでも希望するトレーニングを受講できる環境です。それから、ソニーグローバルソリューションズ(SGS)では人事制度としても「業務時間の5%を各自の好きなように使って良い」という5%ルールを設けています。

この制度を活用して、例えば社外に関心のあるセミナーを受講しに行ったり、IT領域とは関連の無いビジネスを学んだりすることもできるので、IT領域を軸として成長したい方にとっては、SGSでキャリアを積むことは素晴らしい選択と言えるのではないかと思いますね。

構成:神田 昭子
撮影:櫻井 健司

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