Column
DX転職コラム
将来CIOになるために何をすべきか
昨今、経営におけるITの重要性は、これまで以上に高まっています。
事業成長のためのIT投資、AIの活用、セキュリティの担保、開発体制の構築など、向き合うべきテーマは増え続け、難易度も上がっているため、CIOの役割はますます重く、そして広くなっています。
採用市場を見ても変化があります。PEファンドから投資先のCIOポジションをお預かりするケースは、数年前に比べて増えています。コンフィデンシャル案件として大企業のCIOポジションをお預かりすることもあります。
この傾向は今後も続き、CIOポジションは一段と重要性を増していくはずです。そこで、今回のコラムは、「将来CIOになるために何をすべきか」というテーマでお届けします。
CIOに求められることは何か
私たちデジタルプロフェッショナルチームは、これまで業界を代表するCIOの方々にインタビューを行い、またセミナー等を通じて「CIOとマネージャーの違い」「CIOに求められる要件」について伺ってきました。
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<樋田真氏へのインタビュー> https://www.kandc.com/digital/dx/column/06/
CIOに求められる要件として最も重要なのは、経営トップの描く事業戦略をIT戦略にコンバートできる能力だと思います。換言すると、自分達の考えるIT戦略が経営者の考える事業戦略と如何にマッチしているかについて、相手に伝わるプロトコルで説明できる能力ということです。
<志済聡子氏へのインタビュー> https://www.kandc.com/digital/dx/column/07/
マネージャーは常に部下1人1人と伴走して日々相手の顔を見ながら共に泣き笑いができますが、役員や本部長クラスになると、直属の部長までは顔が見えるもののマネージャーやメンバーに直接指示を与えることはできなくなるため、マネージャーよりも視座を上げることが求められます。自分の描くビジョンをしっかりメンバーに共感・浸透させるように表現して伝えていくというビジョンシェアリングがCXOの仕事かと思います。
<貫井清一郎氏へのインタビュー> https://www.kandc.com/digital/dx/column/017/
マネージャーが担うのはエグゼキューション(執行)です。決められた計画を確実に実行していく。もちろん、それは容易ではなく非常に難しいことではあるのですが、マネージャーは基本的にエグゼキューションが役割だと考えています。一方、CIOが担うのは戦略づくり。今後の経営方針や市場環境、あるいは現在のリソースの状況などを踏まえて、この先の5年間、10年間どのようなIT戦略を推進すべきかを考えるのがCIOの仕事です。
<玉置 肇氏と成田 敏博氏によるパネルディスカッション> https://www.kandc.com/academy/report/023/
玉置氏
私が考えるCxOというのは2つ役目があって、「経営者」と「変革リーダー」です。情報システム部門長は、CIOとは圧倒的に違うと思うんですよね。情報システム担当役員の中には、経営会議の場でITのことが議題になっていないから何も発言せずに経営の話を聞いているだけという人がいるのですが、それでは意味が無いと思います。CIOは、IT領域だけではなく様々な領域に対して経営ボードとして貢献していく必要があるし、情報システム部門に閉じることなく、会社の変革にリーダーシップを取っていくべきだと思いますね。
成田氏
私も玉置さんのおっしゃることに完全同意です。私はCIOになってまだ半年ですが、CIOになる前と後で大きく変化がありまして。経営会議や取締役会に参加する中で、いかに経営観点を持って課題意識を明確にしていくかという点がこれまでとはまったく違うなと思います。
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CIOの方々がおっしゃるポイントは明確で、CIOが担うのは「ITの管理」ではなく、経営戦略の一部としてITを設計・推進し、変革をリードすることだという点です。
CIOは経営者であり、経営に関する視座を持ち、IT以外の業務領域にも関わりながら、ITを武器に、経営戦略の実現に貢献する必要があります。
ITマネージャーや情報システム部門長の延長で到達できる職責ではありません。
将来CIOになるために何をすべきか
では、どうすればCIOになれるのでしょうか。
まずは、目指したいCIO像(企業規模、業種、グローバル要素など)を明確化していくことが肝要です。その上で、現在のご自身のキャリアを棚卸し、必要なケイパビリティを言語化したうえで、それらを得るためのアクションを起こしていくと良いでしょう。
経営に関する視座を持ち、IT以外の業務領域にも関わるためには、できるだけ早いタイミングで業務範囲を広げていくことも重要です。
IT部門の中で、アプリケーションだけ、インフラだけを経験していても、CIOにはなれません。ITの理解に加えて、ビジネスや経営の論点を自分の言葉で扱える必要もあります。
業務範囲を広げるためには、例えば以下のような選択肢が考えられます。
●子会社や海外現地法人のIT責任者を経験することで、ITの広範な領域を理解する
●会社変革プロジェクトや、業務部門とIT部門が関わる取り組みに参画することで、IT以外の業務領域を理解する
●基幹システムの構築だけでなく、ECビジネスや、デジタルを活用した新規事業に関わることで、事業や商売への理解を深める
経営の視座を得ることは簡単ではありません。しかし日々の業務において、ビジネス側にとっての意味を考えたり、上位職(あるいは経営者)の目線を想像しながら、組織全体(あるいは会社全体)として成果を出すためにはどうしたら良いかを考える。そうした姿勢を続けることで、一段高い視座で仕事ができるようになり、周囲から認められ、上の職位を任されることになるでしょう。また、経営層と近い距離で働くことができれば、経営としての視点や考え方を自然と吸収することができます。
このようにして、IT領域での関与範囲を広げ、更にビジネス側にも踏み出して、経営・事業の視点でも意思決定と推進を経験することで、CIOへの道が拓けていくのだと思います。
また、新たな機会を積極的に任せてくれる仕組み/社風のある企業で手を挙げ続ける。あるいは、抜擢人事がある企業で目の前の仕事に徹底的に向き合い、圧倒的な成果を出すなど、業務範囲を意図的に広げられる環境に身を置くことで、早期にCIOを目指すことができるでしょう。
先日、日清食品グループ初のCIOを担い、現在「CIOの学校」を監修されている喜多羅 滋夫氏にインタビューさせていただきました。
その中で印象的だったのが、キャリアを「椅子」に例えるお話です。
一本足の椅子はグラグラし、二本足でもまだ不安定だが、三本足になると落ち着くため、キャリアも同じで、自分の”三本の足(コアスキル)”を意識して徹底的に磨いていくことで、気づけばCIOに辿り着くという考え方です。
まずは自分の強みを認識すること。その上で、周囲と比較しても「明確に強い」と言える領域を3つ作ることで、周りから認められ、新しいミッションや職位を任せてもらうことができ、自然とキャリアが拓けていくという示唆もいただきました。
目指したいCIO像の明確化やご自身の強みの棚卸し、必要なケイパビリティを得るためにどのような環境に身を置くべきかなど、気になる方は、デジタルプロフェッショナルチームに、いつでもお声がけいただければと思います。
(本記事は、ITコンサル・SE・事業会社IT/DXポジションの転職支援を専門とするコンサルタントの永田 憲章が執筆しました)
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