Column
DX転職コラム

ITコンサル・SIerから事業会社への転職。
面接で見られるポイントとは?
私が日頃ITコンサルタントやSIerのPM・SEの方とお会いしていてよくご相談を受けることの1つに、「転職理由や志望動機について、どう面接で伝えるのが良いでしょうか?」というものがあります。特にこれまでのキャリアがクライアントワークのみという場合は、事業会社の面接に不安を持たれているケースも少なくありません。そこで今回は、事業会社のIT・DX領域における面接で主に見られるポイントについてお伝えします。
事業会社のIT・DX領域における面接で聞かれる質問
基本的に、事業会社の面接でも概ね聞かれる内容はコンサルティングファームやSIerの選考とさほど大きくは変わりません。もちろんケースバイケースではありますが、一般的な質問としては下記のような項目が挙げられます。
① 今回の転職理由
② 当社の志望動機
③ 経験・スキルセットの確認
④ 今後のキャリアビジョン
⑤ 逆質問
その中でも、実際に求職者の方から面接前にご相談をいただく際の具体例としては、
・転職理由として、「事業会社で当事者として関わりたい」「WLBを改善したい」といった内容で良いのか?
・志望動機について、〇〇業界や■■社についてそこまで強く興味や想いを持っているわけではないのが正直なところだが、どのように伝えれば良いか?
・プロジェクトは長期間のものや短期間のものなど数多く経験してきているが、面接ではどのエピソードを話すのが良いか?
・・・等々、希望する業界(商社・メーカー・小売流通・金融など)に向けてどう伝えるのが良いか悩まれていることが多いようです。特に面接に向けた準備を入念にしておきたいという方の場合は、想定QAメモを作成してこの内容で問題無さそうか見て欲しいとのアドバイスを求められることもあります。
面接官はどんな点を見ているのか
事業会社のIT・DX領域における面接で、面接官は主にどういう点を重視して選考しているのでしょうか?こちらも応募企業や面接官の立場(人事/部門責任者/経営レイヤーなど)によって異なりますが、ここでは一般的な内容としてお伝えできればと思います。
◆転職理由と志望動機に一貫性があり、納得感があるか
「こう答えれば正解」という回答があるわけではなく、あくまでもご自身の本音ベースに基づいた内容であることが重要です。本音を隠して仮に内定を獲得し入社できたとしても、転職理由となった課題感を抱えたまま過ごすのは本意ではありませんよね。それならば率直に本当の転職理由をお伝えした上でお見送りになるようであれば、元々その企業と合わなかったということなので、入社前に判明したほうが双方にとって良いのではないかと思います。先日、弊社で主催したセミナーイベントで採用面接を多数経験されている面接官の方が「表面的で曖昧な転職理由を言われてしまうと、それについて必ず深掘りをして聞いていくことになるので、初めから率直にお話いただいたほうが良い」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと感じます。志望動機も同様で、どれぐらい自社に関心を持ち事前に調べてきてくれているかというのは、逆質問の内容からも自ずと面接官の方は感じ取るものです。
◆どういう強みを持っており、どのような形で自社に貢献していただけそうか
ITコンサルティングファームやSIerで様々なプロジェクト経験を積んでこられた方の場合、クライアント業界も様々であったり、技術領域もアプリ/インフラ両方を幅広く経験されていたりと、特定のこれといった強みはあまり無いという方もいらっしゃるかもしれません。ただ、最近大企業のIT部門の方と打合せした際に伺ったコメントで印象的だったのが、「ITコンサルの方の場合、プロジェクトマネジメント力をアピールされる方が多いものの、一口にPM力と言われてもフワッとしていて実力を測りにくい。どのくらいの規模感のプロジェクトで、ご自身がどういう役割でどのようにプロジェクトリードされたのかが重要」というものでした。また、「クライアントや上長から言われたことのみを遂行している」という理由で面接不合格になるケースも見られます。クライアントの解くべき課題がある程度明確になった状態でプロジェクトにアサインされるケースも多いITコンサルやSIerとは異なり、事業会社では自ら当事者として課題を定義していく等のプロアクティブな動きが求められるためです。
◆志向性やカルチャーフィットなど、マインドや人物面で自社とマッチしているか
プロジェクトベースで一緒に仕事をするメンバや環境が変わっていくITコンサルティングファームやSIerと異なり、事業会社では自社の中長期的な経営・事業戦略方針に基づいたIT・DX部門のミッションのもと業務を進めていくことが多く、企業のビジョン・ミッションへの共感や興味関心があるか、カルチャー的にもマッチしそうな方かどうかは大事な観点として見られます。また、特にIT・DX領域の方の場合は、今後のキャリアの志向性が企業の期待値と合っているかどうかも重要なポイントです。例えば、商社のIT部門の場合は様々なプロジェクトをローテーションして幅広い領域を経験していくキャリアパスになる傾向があり、特定の技術領域のプロフェッショナルで今後もその領域だけを突き詰めていきたい(他の領域はやりたくない)という方はマッチしないと判断されることが多いと言えます。
事業会社の面接に臨むにあたって、どんな準備をしておくと良いか
それでは、ITコンサルティングファームやSIerの方が事業会社の面接に臨むにあたって、どのような準備をしておくのが良いでしょうか。大きく3点に分けて下記の通りまとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。
※なお、私達キャリアコンサルタントにご相談いただければ面接対策もサポートさせていただきますので、ぜひ活用ください!
① 転職理由、志望動機を自分の言葉で明確に伝えられるよう整理する
今回、クライアントワークから事業会社でのキャリアに移ることを希望しているのはなぜなのか?また、現職を辞める理由と応募業界・企業を志望する動機に一貫性があるかどうか。ということを応募企業別に準備しておくと良いかと思います。
② 応募企業の抱える課題に関する仮説と貢献イメージを具体エピソードと共に用意する
事業会社、特に上場企業であればIR資料や中期経営計画などが公開されていますので、そこからIT・DX戦略を把握することが可能です。また、CTO/CIO/CDOのインタビュー記事やDXの取り組み事例・エンジニアのnoteなど様々な情報発信がされているケースも増えていますので、それらの情報を積極的にインプットしてどのような課題感がありそうか、自分なりの仮説と打ち手を考えて面接に臨むと、より限られた時間の中で密度の濃い有意義なディスカッションができると思います。更には、過去の経験の中でもこの時どう考えてこのようにアクションを取ったという経験が活かせるのでは、という具体的なエピソードもお話できると更に説得力が増すので事前にご経歴を棚卸しておくことをお勧めします。
先述した通り、ITコンサルティングファームやSIerご出身の方が事業会社でも活躍されるイメージを面接官の方に持っていただくためには、「単に言われたことをやるのではなく、自分に求められる業務の背景を考えて取り組んだ経験」や「自身に与えられた業務範囲を越境してチャレンジしたエピソード」等を面接で生々しく具体的に話せるように準備しておくと良いでしょう。
③ 今後のキャリアビジョンについて、短期・中長期のそれぞれの時間軸で言語化する
キャリアビジョンについてはいくつかの観点に分けて用意しておくと良いかと考えており、
まずは次のキャリアでどういうことを実現していきたいのか(応募企業に限らず、事業会社でという広い観点で)。
その次に、応募企業であれば初めの2-3年でどのようなことを目指すのか、更に将来的に5〜10年後はどういう姿を描いているのか(例えばマネジメント志向や、海外駐在の機会も希望するなど)についても現時点での考えとしてお話できると面接の中で企業側との方向性のすり合わせもしやすくなると思います。
今回は、事業会社のIT・DX領域における面接で主に見られるポイントについてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?より詳しくご興味のある業界や企業について知りたい方、面接に限らず転職活動全般や中長期でのキャリアに関して相談したい方も歓迎ですので、ぜひお気軽にご連絡ください!
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(本記事は、ITコンサル・SE・事業会社IT/DXポジションの転職支援を専門とするコンサルタントの神田 昭子が執筆しました)
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