Column

「ポストSIer・ポストITコンサルのキャリア〜SIerのSE・PMはチャンスがたくさん編〜」イメージ画像

ポストSIer・ポストITコンサルのキャリア〜SIerのSE・PMはチャンスがたくさん編〜

私は元々野村総合研究所でSE・ITコンサル・社内人材育成担当として従事した経験があり、今はキャリアコンサルタントとして年間約150人ほどのデジタルプロフェッショナル(SE、PM、ITコンサル、社内ITなど)の方々にお会いしています。

そんな私からは「ポストSIer・ポストITコンサルのキャリア」と題して、特に日々お会いする機会の多い、SIerやITコンサルティングファームに在籍中の方のネクストキャリアについて発信していきたいと思います。

世はまさに大転職時代?

巷に溢れる広告やメディア・書籍などを読むと、まるでIT人材は転職することが当たり前かのように思えてきます。
実際はどうなのでしょうか?

大手人材紹介会社数社の調査結果を見るに、総じて言えることはIT人材は過去最高の超売手市場であるということ。

これは実際の仕事を通じて私自身も日々体感しています。
30歳前後のSEやITコンサルタントは複数の内定を得ることがほとんどです。
特にコンサルファームへ転職する際には数百万円UPでオファー提示されることもあります。
本当に人材を奪い合っている現場を、私たちは目の当たりにしています。

こういった情報を見ると、自分も転職した方がいいんじゃないか?と焦る気持ちになる方もいると思います。
超売り手市場で選択肢が豊富な今こそ、自分のキャリア観をしっかり育むところからまず始めてみましょう。

SIerのSE・PMはどんな転職先・キャリアを取り得るか?

画像

とは言え、いざキャリアを考えると言っても、白紙の状態から考えるのはなかなか難しいですよね。
まずはどのような選択肢を取り得るのか、SIerに在籍している方が実際に選択するキャリアの例を記載します。

1.現職残留(転職しない)
2.コンサルティングファーム
3.他社SIer
4.事業会社(情シスポジション、DX部門ポジション、Web系エンジニアなど)
5.GAFAMなどの外資系ITベンダー
6.スタートアップ企業(CTO、VPoE、エンジニア、プロダクトマネージャー、カスタマーサクセスなど)
7.未経験職種へのチャレンジ

一般的に、他の職種の方はこんなにたくさんの選択肢を持ちません。
SIerのSEは本当にたくさんのチャンスに恵まれています。
それぞれのキャリアについてはまた別の記事で記載したいと思いますが、まず自分には色々な可能性があること、自分の経験やスキルを色々な企業が求めているということを知り、自信を持ってください!
※具体的な企業について知りたい方は下記からご相談くださいね。

https://www.kandc.com/digital/entry/

SIerは事業開発や経営のスキルを身に着けにくい環境

ただ、SIerのみの経験が長いと、それはそれでキャリア上のリスクもあります。
SIerに長く在籍している方に特徴的なのは、ものづくりやプロジェクトマネジメントのスキルが高い一方で、事業や経営に対する関心が薄い方が多いことです。

一般的な企業は、営業、マーケティング、商品開発、事業企画、情報システム・・・というように、色々な職種の方々が一体となって事業を運営しています。
これに対してSIerという業種は、開発 or 営業 or その他というシンプルな組織構成になっていることが多く、一部自主事業を行っている部隊もありますが、エンジニアと営業という職種が大多数を占めています。
したがって、SIerではいわゆるビジネスサイドと呼ばれるマーケティングや事業開発や商品開発などの職種の方が身近に少なく、事業や経営に興味を持つ機会が少ない・スキルを身に着けにくい環境に置かれやすい業種だと私は考えています。
(あくまでも傾向のお話です。例外はもちろんあります。)

キャリアを考える上で、ビジネスに関心が薄いというのは実はとても致命的なことです。
このことに無自覚なSIerの方を私はかなり見てきました。

SIerのSE・PMは意識的にビジネス視点を養おう

画像

そんなSIerの方は、IT人材としてものづくりの知見やプロジェクトを推進する”How”の力が非常に高い一方で、事業に資するシステムや経営視点でシステムのあるべき姿を考える”What”の力が不足しがちです。
近年世の中のシステム開発プロジェクトはDX関連の新規案件が多く、そういったプロジェクトではビジネス視点が無いとなかなかパフォーマンスを発揮できないこともあります。
例えば、顧客と膝を突き合わせながらカスタマージャーニーを描いたり、ITとリアルを組み合わせてどのような顧客価値を提供するのか考えたり、それが事業として採算が本当に取れるのかを一緒に考えたり、DX領域ではエンジニアであったとしても顧客からビジネスパートナーとして選ばれる存在である必要性がより高まっています。
高い成果を挙げているSIerのSE・PMに共通しているのは、エンジニアリング力の高さはもとより、ビジネス視点を意識的に養っており、顧客からパートナーとして選ばれていることです。
技術志向の方であっても、軸足の置き方が違うだけで基本的には同じ傾向にあります。

若手SEの中には
「何のために仕事をしているのか分からない」
という方も多いですが、まずは顧客のIR資料を読み込むところからでも始めてみてはどうでしょうか?
顧客か、顧客に近い営業担当に「教えてください!」とアタックしてみるのもいいと思います。
また、顧客を知るためには顧客以外の世界を知ることも重要です。
ウェビナーに参加したりビジネス本やNewsPicksなどの良質なメディアに触れ、他社のDX事例や最先端のスタートアップ企業の動向や世の中の情勢を常にキャッチするようにしましょう。

顧客のビジネスや経営により関心を抱くようになったとき、仕事のパフォーマンスが変わるのはもちろんですが、自分の仕事に対する意味づけやキャリア観もきっと変わってきます。
その時は、もしかしたら自社に限らない外向きの視点が芽生え、多くのチャンスを掴み取ることができるかもしれません。

まとめ

  • IT人材は超売り手市場。だからこそ、世間の話に惑わされずに自分のキャリア観を育もう。
  • SIerのSEやPMが選べるキャリアの選択肢は豊富にある。もちろん転職しないのも選択肢の一つ。
  • SIerはものづくりのスキルは高められる一方、事業や経営に対する興味関心やスキルが育ちにくい環境。
  • ビジネスや経営に対する視点を意識的に養うことで、仕事への意味づけが変わり、キャリア観も育むことができる。

次回はポストITコンサルのキャリアについてお話したいと思います。

デジタルプロフェッショナル支援チームについて >

(担当コンサルタント:和田智行

DX領域のプロが専属でサポート 転職・キャリア相談

CLOSE