Column

2021 Aug 20

デジタルプロフェッショナルとして活躍するために

青山学院大学 教授

アバナード株式会社 デジタル最高顧問

松永 エリック・匡史 氏

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Profile

1967年東京生まれ。青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。幼少期を南米(ドミニカ共和国)で過ごす。バークリー音楽院にてJazzを学び、プロミュージシャンとして活動。大手メーカーのシステムエンジニア、米国大手通信会社AT&Tを経て、ビジネスコンサルタントとして、アクセンチュア、野村総合研究所、日本IBMを経て、デロイトトーマツ コンサルティング メディアセクターAPAC統括パートナー・執行役員、PwCコンサルティング デジタルサービス日本統括パートナーとして、デジタル事業の立ち上げ、エクスペリエンスセンターをコンセプトデザインからリード、初代エクスペリエンスセンター長。 2018年よりアバナード(株) デジタル最高顧問。2019年4月より青山学院大学 地球社会共生学部 教授。2021年より事業構想大学院大学 特任教授。

Contents
デジタルプロフェッショナルとはフルスタックのDXプロフェッショナル。まずはマインドセットを変えることが重要。
過去と未来はつながっている。自身の経験を活かし、プロと呼べる領域を確立する。
全従業員がDXを推進するプロフェッショナルになるために。変わることにワクワクを。
デジタルプロフェッショナルとはフルスタックのDXプロフェッショナル。まずはマインドセットを変えることが重要。 画像

デジタルプロフェッショナルとはフルスタックのDXプロフェッショナル。まずはマインドセットを変えることが重要。

デジタルプロフェッショナルという言葉を、私はデジタルトランスフォーマー、つまりDXのプロと捉えてお話します。そのデジタルプロフェッショナルになるには、どうすれば良いのか?

第1回でもお話ししましたが私が考える、デザイン思考・IT・アート、フルスタックのDXプロフェッショナルはそうそういないので難しい質問ではありますが、まずはマインドセットを変えることから始めてみてください。何か新しい領域の到来に際し、「これはめちゃくちゃ面白い、こんなこともできる」というポジティブな発想に転換して欲しいと思います。

メディアはネガティブに伝える傾向があり動揺もしますが、そのポジティブ思考が変革のパワーを生みます。そして後押ししてくれるのは、共感してくれる仲間たちです。自社にはネガティブなことを言って反対する人が多いかもしれません。そういう時には、社外でもいいので「共感コミュニティ」をつくることをお勧めします。

私自身のコンサルタントとしての経験から言えば、初めに反感を持った人が後で強く共感することも少なくありません。反感を持つというのは何かしら自分に関心があるわけです。好きな子を虐めてしまう子供と同じです。反感を強く持った人に出会ったら、とにかく自分の思っていることをポジティブに忍耐強く伝え続けていくことが重要であり、そのうちに「それは面白いね」「やらない手は無いね」と変化してくるものです。また、自分に自信がないとポジティブになれないので、自信をどう醸成していくかというのもポイントです。相手に対して敬意を払い続けることも大切です。

ある程度の年齢になり、社会人として経験を重ねた人が変わるのは容易なことではないでしょうが、人生100年時代、60才でもまだまだ先が長いと考えれば、今変わっておいた方がみんな幸せになれるのではないでしょうか。人間が一番不安を感じるのは「予期せぬことが起きる」ことですが、現代を生きる上でそれは避けられないのであれば、むしろ攻めの姿勢に転じて楽しんでしまう方が自分にとってもプラスかと思います。

過去と未来はつながっている。自身の経験を活かし、プロと呼べる領域を確立する。 画像

過去と未来はつながっている。自身の経験を活かし、プロと呼べる領域を確立する。

次に必要なのは、自分のコアスキル領域を確立することです。これからのプロフェッショナルは、まさに”職人”になるべきだと考えています。会計のプロ、SEのプロなど何かしら自分の領域においてプロフェッショナルと呼べるぐらいのレベルまで究めることが求められます。

「自分とは何者なのか?」をしっかり見つめ、正しく認識することがとても大事です。そこから共感のコミュニティをつくっていけば、大きな力となり周囲からも認められるはずです。もはや、どこの会社にいるかは重要ではなく、「私はこれをやる人間だ」と自信を持って言えるようになれば、引く手数多の人材になるはずです。

よく「コンサルタントは何のスキルを身に付けるべきですか?」と聞かれるのですが、そもそもクライアントはどんなスキルを求めているのか、さらにその先をいくには何が必要か、そういったことが考えられなければトランスフォーメーションなど到底できません。

実はイノベーションは過去と密接に紐づいていることが多いのです。だから、凄いと言われるイノベーションにはどこか懐かしさを感じ、それが共感につながるのです。それは個人のキャリアも同様であり、これまでの経験をリセットしないで活かすことによって新しいことにチャレンジすることをお勧めします。

私自身はある時から全ての仕事の依頼を引き受けるようにしました。その結果、仕事の幅がすごく広がりました。新しいアイデアもどんどん出てくるし、気が付いたら仕事がとても楽しくなっていたのです。私はよくめずらしいキャリアだと言われますが、お客さんの期待により応えようと思い続けたことで、気づいたら自分のキャリアがどんどん変わっていった感覚でした。ワクワクしてもっと次に行きたくなってしまうのですね。自分自身もトランスフォーメーションしているというわけです。

全従業員がDXを推進するプロフェッショナルになるために。変わることにワクワクを。 画像

全従業員がDXを推進するプロフェッショナルになるために。変わることにワクワクを。

3つ目の要素は、「想像力」「妄想力」です。青山学院大学で同学部の教授仲間である駅伝の原監督とは、スポーツと音楽というジャンルの違いを超えて深く共感し合っています。共感できる人たちが集まると、誰も想像できないようなことも実現できる。「ジャンルが違うから、仲良くないでしょ」という思い込みが、イノベーションを興す上で最大の阻害要因になっていると考えます。

DXは、難しく捉えず今日から少しづつ変えていくことが重要です。例えば、会議の場で誰かの発言に対して否定ではなく、どのような共感の言葉を返そうかという小さなことから始めても良いのです。

また、既存事業が活性化されないDXはやるべきではないと考えています。DXを全く新しいものと捉え、既存事業と完全に分けてしまう人が多い。既存事業で頑張っている人たちから学びコラボレーションすることが重要なのです。

DXを推進している人には、共感コミュニティをつくれるタイプと、敵をつくるタイプの2種類があります。敵をつくるタイプの人に大きな仕事ができるとは思えません。私はパートタイマーの方も含めて会社の従業員全員がDXを推進していくプロフェッショナルになるべきだと考えています。そのために社内で浸透させていく際のポイントは、「変化についてワクワクして発想し自由に発言できるようにする」ことです。

具体的には、社内で様々な世代や階層の人たちがお互いに共感できる場づくりを進めていくのが良いと思います。例えば、近寄りがたいイメージの社長が同期の人事部長と気さくに対談する動画を公開することで新たな一面が見えて、社員との距離が一気に近づいたケースがありました。

また、年配の技術者の方は扱っていた技術も古いと敬遠されがちですが、実は豊富なスキル経験を持っています。レジェンドな人材として情報共有の場を設けて若手社員が彼らの話を聴くことで、リスペクトが生まれた事例もあります。

これらは全て、DXへの大きな一歩です。人間同士が共感し合うことができたら、次のステップとして、ありたき未来を想像しながらテクノロジーに共感できるようになると、我々は新しいテクノロジーと共存することが可能となるわけです。

例えば現実として、AIは我々の業務精度を上げたり時間を生み出したりしてくれているわけです。そういったことを理解し受け入れた上で、一人一人がワクワクしながら「こんなこともできるのではないか」というマインドセットになれば、企業も変革し社会全体も変わってくると思います。

私が考える、デジタルプロフェッショナルつまりデジタルトランスフォーマーとは、まず自分自身が変わることから始まるのです。

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