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2019 Aug 06

DXを推進するリーダーが心得るべきこととは?
〜デジタルトランスフォーメーションを成功させるのは誰だ〜

登壇者

クライス&カンパニー 顧問 及川 卓也

圓窓 澤 円氏

BCGデジタルベンチャーズ 平井 陽一朗氏

フィラメント 角 勝氏

第一部:プレゼンテーション 「DXの本質とは」とは何か?

及川

私からはこの後のパネルディスカッションの問題提起になるような話を手短にさせていただければと思います。「DXの本質とは」という大それたタイトルなのですが、私は端的に「内製化」が肝と思っています。この後、登壇者の方々からそれぞれ定義とかDXとは何かというお話があるとは思いますが、ぶっちゃけた話、色々綺麗なことは皆言うのですが「本気なのか?」というのは「内製化やる気があるかどうか?」に尽きると考えています。

昨年秋に経済産業省からDXレポートというものが発表されました。ご覧になった方もいるのではないかなと思います。この内容というのが、日本のIT課題の現状を結構明確に指摘しており、本当に、経済産業省がここまで出すのかというドキュメントになっています。

経済産業省は、課題としていくつかポイントを挙げているのですが、既存システムが事業部ごとに構築されて全社横断的なデータ活用ができない 、過剰なカスタマイズがなされており複雑化・ブラックボックス化している・・・まあ事業会社の人からしたら心臓をグサッと刺されるようなメッセージが並んでいます。

今出てきた「ブラックボックス化」というところに関しても結構明確に定義されており、ユーザ企業において自社システムの中身が不可視になったり、自分でデータが修正できない状況に陥ったりしている、と指摘されています。この原因がいくつかあると分析されているのですが、そのひとつが、ユーザ企業とベンダ企業(SIer)の関係にあるのではないかと言われています。

(ユーザ企業とベンダー企業の関係がレガシー化の一因:諸外国と日本を比較した図を表示)左側が諸外国の場合ということで、ユーザ企業の中に実際手を動かせるエンジニアがいて、インハウス等で開発を行っているのでノウハウがちゃんと蓄積されている、と。

それに対して日本企業の多くは右側のようにベンダに依存してしまい、更に多重下請け構造を取っているがために、プライムコンストラクタ以外にもノウハウが分散してしまうという問題も指摘しています。

私は過去長く外資系のIT企業、マイクロソフトとかグーグルなどにいたのですが、米国の巨大ITプラットフォーマーはどういう風に開発しているのか?内製化100%なのだろうか?と質問されて、「当たり前でしょ、全て内製化しています」と言ったんですけれども、ふと考えてみると、必ずしも100%ではないんですね。

内製化をしていないものもいくつか理由があるのですが、時間が限られているのでひとつだけ採りあげますと、オープンソースを活用するWEB系の企業って多いんです。私の古巣のグーグルもそうです。

あのオープンソースっていうのは考えてみたら外部調達しているんですね。自分たちで自社開発していなくて、第三者がつくったものを自社製品のコア部分に使うことになっている。

だけれども、これにはちゃんとした条件があるんですね。開発方針に沿った意思決定がなされている。アーキテクチャに基いてきちんとした選定がされています。 自分のやりたいことがあればオープンソースにコントリビュートすることで実現できる 。

これらにより、完全に自分の制御下に置くような形で外部調達をするといったことができている。これが経済産業省の指摘している、ブラックボックス化を回避できている理由のひとつです。

これ以外にも外部調達(内製化していない)部分があります。いずれにしろすべて、ちゃんとした意思決定のもと、かつ自分で制御できる条件下においてそういった外部を活用しています。

やはり日本企業の場合には、外部のパートナーをこういった制御下で活用するのではなく、丸投げしてしまっているところ、思考停止になっているところが大きな問題となっています。

これも政府の方から出ている文書で、AI人材不足だと言っています。で、AI人材不足と言われるたびに私は頭に来ていて、だってAI人材とIT人材と別の人材であるかのように。今までプログラマをあれだけ冷遇していたのに、急に数学ができるデータサイエンティストというだけで別人材かのように貴重に扱うって何だ、と(笑)。

一方で、AIって民主化がされています。マイクロソフトもグーグルもアマゾンもIBMも、いろんなところがAIを民主化しますと言っている。

色んなアプローチがあるんですけれども、例えばマイクロソフトのAzure Custom VisionとかグーグルクラウドのAutoML、これは 学習モデルを自分でつくることなく、データセットとアノテーションをあげて勝手に思った通りの例えば画像認識ができます。

データサイエンティストがいなくてもAI活用が可能な時代になってきていて、しかもその範囲も精度も飛躍的に上がってきている。となると、じゃあ人は何をすればいいのか?

これはグーグルブレインの人間が言っていたんですけれども、どんどんAIが民主化される中で、人でしかやれない部分はこの2つです。1つは「課題発見」。何を解決するか。何の価値を与えようとするか。これは事業の本質なんですけれど、その部分は機械が勝手にやってくれません。

もう1つは、社会ニーズやユーザの課題がどんどん変化していく中で、継続して学習していく環境。1回つくったモデルは成長させていくということが必要です。 それは単にAIモデルの成長だけではなく事業及び組織の成長です。継続した成長をしていくことが必要。

なので技術者の本質というところもまさにこの部分にあるのでは。ちゃんと考えて自分たちで何を解決するのか、そのための手段は何なのか、変化していく社会ニーズに合わせてどのように変革をし続けるのか、というところにあるのではないかなと。

それで、トランスフォーメーションと言った時に、これはよく言われてまして、技術・人材・組織・事業すべてにおいての変革、痛みをともなうかもしれない変革をやる覚悟と、それを継続して考えていくというところが必要なんじゃないかなと思います。

以上です、どうもありがとうございました。

第二部:パネルディスカッション

私は新規事業支援コンサルティングをしています。少々変わった経歴で、それまで大阪市役所の職員を20年やっていました。デジタル系の仕事も多いので、今日はモデレーターにお招きいただいたのかなと思っています。それでは、皆さんも一言ずつ自己紹介を。

今回「圓窓」という肩書ですが、今もマイクロソフトに勤めています。AIとかデジタルトランスフォーメーションとか、色々なキーワードで話をする機会が多いのですが、今日はそのあたりの話ができれば良いかと。

平井

私はDXの専門家ではないんですが、大企業と一緒に新規事業をつくる仕事をやっているので本日はお呼びいただけたのかなと。

私は20年以上事業開発をやっています。三菱商事で自動車のリース会社をつくるところから始まり、BCGで様々なクライアント企業の事業開発サポート、NTTドコモではiモード立ち上げ直後のGrowthを、さらにベンチャー的な企業数社の経営を行った後、BCGに戻り、BCGデジタルベンチャーズ東京オフィスの設立を行いました。

BCGはデジタルトランスフォーメーションのサポート、推進をかねてより行っております。まず、こういったデジタルトランスフォーメーションで言えることは、トップダウンで行うことが基本で、ボトムアップで行うのはとても難しいということです。

そのアプローチは、① まずは短期的に軍資金を作る、② 方向性を定める、③ 組織風土を変革するという三段階で行うことが多い。特にBCGのクライアント企業の多くは上場されているので、どうしても短期的な売上・利益も大切にせざるを得ないので、先に売上・利益を稼いで、トランスフォーメーションを行うための軍資金を作り出すところから始めます。

短期的に売上・利益を出す方法はコストカットなどいくらでもあるので、まずはそこから着手し、目指しているデジタルトランスフォーメーションのToBeの姿を見せていく。

組織風土変革は、あまり急性に行うとハレーションが大きくなってしまうので、徐々に反復してやっていきます。BCGではデジタルトランスフォーメーションを行うためのオファリングが大きく分けて15個あり、僕は新規事業屋ですが、新規事業創出もそのオファリングの1つです。

新規事業創出の場合、売上や利益を短期であげるのは大変なので、より利益創出が見込みやすいコアの筋肉質化によってまずは利益をあげることが多いように感じています。

実はBCG自体もデジタルトランスフォーメーションの最中で、この手法を使っています。その中でBCGデジタルベンチャーズは、BCGにとっていわゆる長崎の出島みたいな存在で、要はBCGの一員でありながらも治外法権的な組織なんです。

BCGの先兵的な役割を果たしつつ、一方でBCGデジタルベンチャーズの手法がBCGの本体に還流するという仕組みです。先ほども内製化という話が出ましたが、結局内製化がカギです。

クライアント企業もずっと外部コンサルを使っているわけにはいかないので、基本的にはクライアントが内製化を目指せる方向でサポートしていますし、BCGでも内製化を進めているということです。

まず、ディスカッションの前提条件としてDXをどう定義するかを伺いたいのですが。

当社では「デジタル化されていなければ存在しない」という定義で、デジタル化されているものの置き場が決まっているので、そこに無ければ無いものというルールを徹底していますね。

また、差別化要因のないものはパッケージを使っていて、SAPをそのまま使うことを徹底すると、メンテナンス人材にも事欠きません。その中で組織が合わなくなれば、組織を変えてしまうほうが手っ取り早い。プロダクトデザインしていくものは、当然ながら内製していきます。

マイクロソフトの場合は、大いなる実験場として自社が使われるので比較的スムーズに進みやすいのですが、これがサービス業とか製造業だとギクシャクすることはあるかもしれない。よく聞くフレーズですが、「運用でカバー」は悪魔の言葉ですね(笑)。

それはつまり、アナログの手順が入るということだと。

そこに悪意が入ることもある。デジタル化が徹底されると、本業に集中できます。例えば、ミーティングのスケジュールを入れる場合、チームメンバのリソースを予約したと同時にデータが生成されて、セッションと会議室の予約データが有機的につながる。それは非常に楽なんですね。ユーザに意識させないというのも非常に重要です。

僕が以前いた役所の仕事は、新しく何かをやろうとすると前の仕事にオンされていく。そうすると皆疲弊していくんですが、今の澤さんが言われた状況とはまったく逆ですね。

やめることを増やしてあげるのが、デジタルトランスフォーメーションの特徴です。

平井

BCGでは、人とビジネスとプロセスが指標になっていることが多いです。日本法人には現在750人くらいのスタッフがいるのですが、デジタル系人材と言われる人たちが最近増えてきて、今だと200人くらいになっていますし、もっと割合が増えていくと思っています。。

そのくらいデジタルが当たり前のことになりつつあるということだと思いますし、今はDXというキーワードが旬ですが、10年後でもそれを言ってると、むしろやばいんじゃないかと(笑)。つまり、過渡期的な指標なのではないかと思いますね。

及川

事業会社側の問題点は、思考停止していることです。ベンダへの丸投げを正すべきなのに、DXも外に委ねてしまっている。コンサルの人は、デザイン思考・リーン・アジャイル開発の3点セットに持っていく。

でも、超複雑化されたウォーターフォール的なシステムを使っていても、すごい変革を起こしている会社は ある。先の3点セットは手段でしかない。役所の話で言うと解決策は簡単で、人を増やさなければいい。「スケールするには」という考え方を浸透させることが重要です。

ただ、この考えは一歩誤るとブラックな方向に進む会社も多いので、そうでないという前提の話です。

また、ガートナーのモード1と言われるのが人員削減、省力化。モード2はそもそも技術でないと成り立たない、本当に変革が必要な部分。

多くの企業はまだデジタリゼーションというモード1が済んでいない。トランスフォーム以前に、ディスラプトできている会社がそもそも無いんじゃないかと。

欧米の人たちは、無駄な仕事で帰りが遅くなるのを極端に嫌う。その時にデジタルというのは非常に便利。日本人は、面倒なことを美徳とするのが良くないのかなと思います。

さて、次のアジェンダですが、デジタルトランスフォーメーションで成功した企業ってあるんでしょうか?失敗事例から成功のアプローチを探ってみたいと思います。

よく「翻訳ミス」と言っていますが、トップの人が考えていることを忖度し過ぎておかしな伝言ゲームになってしまうケースが多いですね。

システム導入の際に、組合がどう言うかを気にしがちですね。

及川

日本ではDXの失敗事例をあまり聞きませんが、それは失敗するほど投資していないからです。GEの失敗事例は巨額で目立ちますが、日本企業は失敗すらしていないわけです

平井

日本企業のDX投資金額は圧倒的に少ないですね。アメリカやヨーロッパの企業は買収も含めて数百憶~数千億くらい投資している。日本企業でそこまでやり切った話はほとんど聞かないので、規模が小さい感じがします。

ただ、私のクライアント企業の中には、変わってきている企業がいくつかあります。1つはオーナー系企業で、トップダウンでやるんだと決めると変わってくる会社が何社かありますね。

もう1つは、海外売上比率が高く、ほぼ日本企業ではないような企業です。投資金額も半端ないですね。株主が健全なんだと思います。外国人投資家も増えるし、ROE的な指標も入っているから投資せざるを得ない。

株主の人たちがデジタルに理解があるというのも大事なポイントです。

及川

経産省のレポートによると、米国におけるCEOの役割が全米取締役協会(NACD: National Association of Corporate Directors)が発行しているガイドライン に出ていて、自社のデジタルガイドラインをきちっと語れるというのが入っています。株式市場においては、それが投資の判断材料になるんですね。

また、日本企業では内部留保額が時価総額よりも高いことがあって、それぐらい金の使い道が無い。でも大企業はリスクマネーとして金を使えないというがんじがらめの状況がある。逆にスタートアップのほうがガンガン使えたりします。

では、トップが変わればいいかというとそうでもないということですか?

平井

外国企業のCEOは何億円単位で給料をもらい、一方ですぐクビになるリスクも抱えている。日本企業の社長はそれほどの報酬体系ではない中なのでリスクを取りづらいですよね。

及川

トップのITリテラシーの問題はあると思っていて、自分の子供や孫が使っているアプリとか触ってみなさいよ、と。

日本企業のトップと話していると、製造業はモノづくりが基本なので工場実習をやらせますが、ならばなぜソフトウェア開発を実習で全社員にやらせないのか?役員はじめ全員のリテラシーを上げるためには必須だと思います。

それでは、どうやったら成功するのかコツのようなものがあればお話いただけますか?

成功の定義が「ゴールを切った」というマインドだとダメで、アップデートを継続する、軌道に乗る、当たり前のプロセスになるのが本来やらないといけないこと。これができたら成功とみなすと定義すると、そこから逆算する動きになってしまう。

先日、ある上場企業がITに詳しい役員がいないと僕のところに話が来たんです。僕は、役員としてひとりデジタルの人を入れてくれと言いました。そして、その人の決定には質問しないで欲しい、もし質問したければしっかり勉強して同じレベルで会話できるようになってからにしてくれ、と。

平井

ある外資大手企業の場合、トップ以外の経営陣は社外役員のみで常に監視の目があり、デジタルも推進してすごく変わりましたね。外圧を使うというのもひとつかと思います。

会社の中にいるのは執行役であり、取締役は外側から取り締まってもらったほうがいいという話を聞いたことがあります。外から失敗事例なども含めて持ってきてくれるので。

平井

以前、某大企業に提案して投資を勧めたのですが、スタートアップに対してガチガチなデューデリジェンスをしていて、結果としては投資に至りませんでした。スタートアップに対して、一般的なデューデリジェンスで評価することは意味がないですし、それだとなかなかM&Aもできないですね。

及川

悲観的で申し訳無いのですが、それができないんですよね。収益面のデューデリジェンスはできるが、技術面のデューデリジェンスができない。その目利きができる人が社内にいないからです。今後はリテラシーを高めることもやりつつ、買収もやっていくと。

地道なところから始めるとして、リテラシーを高めるにはどうすれば良いでしょうか?

及川

1つの方法としては、手を動かせる技術者がいるならボトムアップ的にITの魅力を伝えていくのもありです。

いくらでも効率化を図れるはずで、エンジニアがいるとこんなことができるというのを徐々に広めていく。パブリッククラウドの無料枠などを活用すれば、ほとんどタダでも簡単なデモやモックくらいはすぐに作れます。

もう1つは、新規事業をちゃんとやることだけにフォーカスして、エンジニアなんていなくてもいいと考えてみる。モノをつくらなくても仮説検証はいくらでもできます。それで事業をスケールさせる時に、オペレーターを10倍にするのかという話になって、そこでデジタルを活用するというやり方もありますね。

CEOや役員に「デジタル付き人」をつける。オペレーションを代行するわけではなく、近くでサポートするんです。小さい成功体験をちょっとずつ積み重ねていけば良いかなと。

エンジニアからすると経営の考えに触れることもできるし、役員にもいずれなれるかもしれない。これはすぐにでもできる話ではないかと思っています。

平井

「DX」を今日から口にしない手もあります。目的ではなく手段だから。目的をセットして、どうデジタルを活用するのか真剣に考え、色々な人に聞きまくるのが良いかと。

及川

東京オリンピック開催に向けて、リモートワークが広がっています。ハードリミットを設けて突き進んでいくと、後から「あれが俺たちのトランスフォームだった」と言えるのではないかと。

日本のスピードはアメリカの5倍くらい遅いので、先に1年後のアウトプットを宣言してしまって、そこからどうやるかを考えればいい。アントレプレナーシップを持ってやる。 どんどん銀行残高が減っていく、1年でこのビジネスを獲らないと潰れる、社員の給料も払えないと分かるから死に物狂いでやる。

これがアントレプレナーシップです。大企業にはこの覚悟が無いので、ゆっくりやってしまうんです。

まさにそうですね。公務員時代は何もしなくても給料が入るのに、起業した途端銀行残高が気になり出す。毎月何もしなくても数百万出ていくのでドキドキします。だからこそ頑張るし、目的意識が強固になる。

その意識を持てば、自分の時間や会社に対して何をするのか、すべてが自分事になる。皆さんも今日の話は頭の中に留めつつ、忘れてください。自分で本気で考えないといけない。・・・ここからはQ&Aに移ります。

Q

本日のお話は内製化がキーワードですが、役員やトップの方だけでなく、現場の方も重要だと思います。現場目線でのお話が聞きたいです。

A : 澤

こういうチームでなければいけないというテンプレがあると思うと危ない。ただし、ゴールをとにかくつくって、その目利きができる人は必要。

また、そのリーダーを理解できる人たちも必要です。技術要件というよりも、うまくいっているかどうかをチェック・言語化・伝えられて、次のアクションが提示できるかどうかがポイントだと思います。

A : 平井

頭がやわらかい人がいいでしょうね。若い人の方が頭がやわらかい傾向が強いとすると、若い人が思い切ってやれるように上の人が動いてくれる環境があるとやりやすいのかなと。

ある大企業では、好きに職種を選んでいいよ、と若手に自由にやらせたところ、データサイエンティストになりたいと勉強を始めたスタッフも出てきたと聞いています。

A : 及川

つくるものに誇りを持てる人が必要。受託企業では本当にどう使われているか分からないこともありますが、誇りを失わずにいるとすべてにこだわりを持ち、自分事として意見が言える。

チームの中に良い対立があってしかるべきで、妥協しない議論の場も重要。相手を尊重しつつも言うべきことはちゃんと言う。学習意欲、成長し続けられることが大事です。

Q

私はSI企業にいますが、意思決定に時間がかかる大企業は周囲も志向しておらずスタートアップに行きたがります。大企業の魅力についてはどのようにお感じになられますか?

A : 及川

アマゾンの例だと、いわゆる小売企業がITを活用したという話です。ITプラットフォーマーがリアルな世界に入ってきていて、融合点はITとリアルが本気でぶつかる。日本企業にも勝算はあります。

私はデンソーの仕事をしていますが、自動車業界は面白い。大企業に魅力を感じないのは見方の違いであり、やり方次第で面白くなるはずだと思います。

A : 澤

すべての企業はソフトウェアカンパニーになるとよく言われています。今デパートに行くと本当にガラガラで、アマゾンやグーグルに負けている。

ただ、デジタルの力を使ってレバレッジしていったらもしかしたら勝算はあるかもしれません。今気づいて何とかできれば。日本の大企業は、もっと魅力を出していかないといけない。

A : 平井

大企業でもいいエンジニアを採用できるようになってきていて、最近状況はちょっと変わってきています。リアルをからめた大きな変革が起こせるのは大企業なのでは、と思っています。

構成:神田 昭子

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