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ITコンサルタントのキャリアをじっくり考える~転職理由編~

今回は、デジタルプロフェッショナルの中で「ITコンサルタント」の転職理由にフォーカスして書きたいと思います。

※昨今では、テクノロジーコンサルタント、デジタルコンサルタント、DXコンサルタント、ERPコンサルタントなど、様々な呼称がありますので、ここではIT・デジタルに関わるコンサルタントを総称して「ITコンサルタント」と記載します。

私自身、前職のアクセンチュアで6年間、ITコンサルタントをしており、遣り甲斐・面白さを感じる一方で、大変な時期・辛いプロジェクトもあり、途中で転職を考えたこともあります。実体験も踏まえながら、本コラムをご覧の方に何か参考になる情報をお届けできればと思います。

転職理由①:WLB(ワークライフバランス)を良くしたい

ITコンサルタントの方からよくお聞きする転職理由として、WLB(ワークライフバランス)の改善があります。

ご結婚、お子様の出産、ご家族の介護など、ライフステージの変化がある場合にご相談をいただくことが多いです。また、IT構築における要件定義時の認識違いによる手戻り、バグ発生による炎上、未経験領域へのアサインで上司からの要求水準が高い、など、心身ともに辛いプロジェクトや、激務プロジェクトが続いてしまい、改善の兆しすら見えない場合などにもご相談をいただきます。

解決の1つの方法として事業会社への転職が考えられます。コンサルティングファームと比べてハードワークではない、タイトなDueに追われない、プロジェクトやテーマが変わる度にキャッチアップをしなくても良いなどの理由が挙げられます。

別のコンサルティングファームへ転職することで、WLBが改善される場合もあります。現職がコンサルティングファームの中でも忙しい、という場合もありますし、カルチャーの違いが働き方に影響する場合もあります。

また、現職でWLBを改善するという方法もあります。上司と相談して働き方を改善したり、上司とは別のメンターの方(キャリアカウンセラーなど)に、プロジェクトの変更、あるいは部門異動を相談することも1つの方法です。

プロジェクトの評価が下がることを懸念するかもしれませんが、ご家族からの信頼を失ってしまったり、体を壊してしまっては元も子もありませんし、新たなプロジェクトで成果を出せば良いという考え方もできますので、効率的な仕事をする、など自分でできることは最大限行ったうえで、早めに相談していくことをお勧めします。

転職理由②:当事者として経験を積みたい

プロジェクトを進めていく中で、自ら意思決定をしたい、サービスやプロダクトづくりに携わりたい、といった気持ちが芽生えてきたり、お客様の意思決定に対する不満や、予算の都合で途中でプロジェクトが終わってしまい、最後まで見届けられないもどかしさが背景にある場合もあります。

解決の方法としては、①と同様、事業会社への転職が挙げられます。自社の製品やサービスに対して、当事者として関わることができます。一方で、上層部が意思決定をするため、そこに辿り着くまでに長い道のりがある、外資系のためHQの方針を日本マーケットにロールアウトすることになり物足りない、などの相談をいただくこともありますので、しっかりと見極める必要があります。

また、大手事業会社とベンチャー企業では、得られる経験も異なりますので、以下のコラムをご覧ください。

DX転職コラム:会社の規模・ブランドはキャリアにとって重要?

現職で転職理由の解消を目指す場合、機会が限られるかもしれないものの、お客様と一緒のサービス作りをしていくようなプロジェクトや、お客様先に常駐する長期プロジェクト、お客様とのジョイントベンチャーへの出向などを希望する手があります。新規事業の申請制度があり、認められる場合は、給与をもらいながら新規事業プロジェクトに従事して良い、というファームもありますので、そういった制度がないかも確認してみてください。

転職理由③:上流フェーズに興味がある

「経営や戦略に携わりたい」「デリバリーからIT戦略・システム企画にシフトしたい」「2次受けではなくプライムの立場で仕事をしたい」とお話いただくことや、ITやシステムに面白味を感じないために脱IT・Non-ITを希望したいとお伝えいただくこともあります。

解決策としては、例えば

・ITコンサルタントから戦略コンサルタントへの転職
・SIerからITコンサルタントへの転職
・事業会社で事業企画やサービス企画に携わる
・現職の中でプロジェクトテーマを変える希望を伝える

などの選択肢があり、ご面談の中で「上流フェーズ」についてしっかりとすり合わせしています。

脱IT・Non-ITに関しては、今後のビジネスにおいてITやデジタルは切っても切り離せない要素でもありますので、「IT」のどこに面白味を感じないのか、何が問題になっているのか、をお聞かせいただき、今後の進め方を相談しています。

デジタルプロフェッショナル支援チームの転職支援や強みについて >

転職理由の解消は「現職+外部」で考える

ITコンサルタントの方の主な転職理由、いかがでしたでしょうか。

ちなみに、その他にも以下のような転職理由をお聞きすることもあります。

  • パートナーやマネージングディレクターを目指す上でセールスミッションを求められていくが、セールスは向かないと感じる

  • マネージャーを目標にやってきて、マネージャーとなり一区切りついた

  • 現在のプロジェクトが長期化しそうで、抜けられそうにない

  • 評価に納得がいかない

  • 上司との相性が合わない

  • 年収を上げたい

  • スタートアップに興味がある

上記は転職理由のサマリーであり、お一人お一人、詳細や事情は異なりますし、複合的な理由で転職をお考えの方もいらっしゃいますので、ご面談の場では、まず、じっくりと転職理由をお聞かせいただき、どのように解決していくかを相談しています。

また、ご面談でしばしばお伝えしていることがあります。それは「転職は、課題解決の1つの手段に過ぎない」ということです。上記にも記載しましたが、現職に留まりながら、転職理由を解決することができるのであれば、それも非常に有力な選択肢です。

私自身、アクセンチュア2~3年目の頃、思うところがあり、転職を考えたことがあるのですが、その時にちょうど良いアサインに恵まれ、その後、4年間在籍した結果、大きな自信になりました。

ITコンサルの現場はタフなことも多く、転職したいという志向になることもあると思いますが、今振り返ってみても、あのとき転職しなくて良かったと感じますし、一時の感情に流されないことは重要です。

一方で、客観的に見てその状況は異常、ということもありますし、一人で考えていても解決策が浮かばないこともあると思います。

目の前の仕事に忙殺されてしまい、転職のことを考える余力がなかったり、アサインされているプロジェクトに関するニュースや情報ばかり目に入ってきて、それ以外の情報に対する感度が薄れて、世の中の変化やオポチュニティを知らずに、時間だけが過ぎていくということもあります。

転職は、時期やタイミングを逃すと、その機会が得られなくなってしまうこともありますので、「現職でできることを考える」+「外部のオポチュニティを収集したり第三者に相談する」ことをお勧めします。

何か思うところがあったり、第三者の意見を聞きたい、外部の情報を知りたいなどありましたら、気軽にご相談ください。

https://www.kandc.com/digital/entry/

(担当コンサルタント:永田憲章

DX領域のプロが専属でサポート 転職・キャリア相談

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