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事業会社に転職したけれど…
~再びITコンサルタント・SIerに戻る人が意外と多い理由とは?~

事業会社に転職した後、ITコンサルタント・SIerに戻る方って意外と多い?!

ITコンサルタントやSIerなどクライアントワークに携わっている方々からのキャリア相談を受けることが多いですが、中でも立ち位置を変えて事業会社への転職・キャリアを希望されている方が多いです。

事業会社へ転職したい理由はその方によって色々ですが、「ワークライフバランスを重視して働き方を改善したい」「プロジェクトベースで終わってしまうのではなく、自社のシステムに責任を持って最後まで携わっていきたい」「何をどのように作るかではなく、何のためにどのようなシステムを作るのか、など自らが意思決定に携わりたい」など、大きく分けるといくつかのパターンに分類でき、何かしら共通の思いやお考えをお持ちになっているように思います。

ただ、希望を叶えて事業会社への転職を実現したものの、その後の経験を経てITコンサルタント・SIerなどのクライアントワークに戻る方が意外と少なくありません。事業会社に入ったものの、「思っていたものと違った」「自分には合わなかった」など、改めてITコンサルタントやSIerでのキャリアを希望して転職を検討される方が一定程度いらっしゃいます。

今回は、一例としてよくあるケースを参考に、ITコンサルタントやSIerの方々が事業会社への転職を検討される際の留意点をお伝えします。

事業会社からITコンサルタントやSIerに戻る理由

事業会社からITコンサルタントやSIerに戻られた事例(1)意思決定に携わりたいと思って転職したけど…

SIerにて、プロジェクトマネージャーとして活躍していたAさん。大手クライアントを中心に大規模システム案件を複数担当し、要件定義から設計・開発・運用まで一連のフェーズを経験。炎上プロジェクトの火消しでも活躍するなど、成果を出していました。

ただ、「このシステムは本当に必要なのか」「何故このようなシステムを作らなければならないのか」といった思いが強くなりました。

クライアントが作りたいシステムをしっかりとカタチにすることはしてきましたが、クライアントにとってより価値のあるシステムが他にあるのに、クライアントが決めたシステムを作ることしか立場上できないことにモヤモヤを感じ、「何のために何を作るのか」を決めるところからやりたいと考えて大手メーカーの社内IT部門へ転職しました。

入社してみると、想像以上に各事業部門をはじめとしたステークホルダーとの調整・折衝業務が多く、事業部門とベンダーの間に立ってプロジェクトをリードすることがメインとなってしまい、なかなかIT企画のロールに携わることができません。また、コンサルティング会社が入っていて、企画領域はコンサルタント主導で企画が固まり、決まっていく流れ。経営層が自社・現場の言うことよりもコンサルタントの言うことを聞く傾向が強いため、このままでは意思決定に携わることができないと考え、転職を決意しました。

同社での経験をふまえ、意思決定支援のフェーズを数多く経験したい、早く経営層をカウンターパートとして意思決定に関与したいと考えて、Aさんはブティックファームへ転職されました。

事業会社からITコンサルタントやSIerに戻られた事例(2)本気でDXに取り組み変革を推進するということで入社したけど…

ITコンサルタントとして活躍していたBさん。マネージャーとして評価されていましたが、携わる業務はプロジェクトベースでの関わり方しかできず、途中で手が離れてしまうことに物足りなさを感じ、事業会社への転職を決意しました。Digitalを活用してこれまでの仕組みを変えていきたい、新しい事業を創出していきたい、と本気でDXに取り組んでいくということに魅力を感じ、大手金融機関のIT部門に転職しました。

自社のDX戦略に深く関与できることに魅力を感じていましたが、次第に意思決定の遅さにフラストレーションを感じるようになりました。社内の承認プロセスは複雑で、複数の部門や役職者の合意が必要で、企画を立案・提案から実行までに半年以上を要し、その間に市場環境が変化し、企画内容の見直しを余儀なくされることもありました。

また、想像以上に保守的な社風で、企画を立案・提案しても、本部長・役員で止まってしまうこともしばしば。失敗を恐れるあまり、総論はOKでも各論でネガティブな意見・反応が出てGOが出ず、全く進まない状況にもフラストレーションが溜まっていました。

実績を作ることができないことにキャリアが停滞してしまうという不安・危機感を抱き、多くのプロジェクトを経験し、実績を作っていきたいと考え、改めてDXの上流に強みを持つコンサルティングファームに戻ることを決断されました。

他にも、下記のような理由から、事業会社に転職したものの、ITコンサルタント・SIerへ戻る方々もいらっしゃいます。

○技術をキャッチアップする機会が減り、スキルが弱まってしまう
○思ったより忙しく、年収を下げたけれどワークライフバランスがそれほど改善されていない
○同じシステム・業務に携わることに正直飽きてしまった、色々なプロジェクトに従事するスタイルがより自分に合っている
○年収を下げて入社したが、入社後の年収も思ったより上がらない
○上が詰まっていてポジションがなかなか上がらない

企業を知ることはもちろん、自分をしっかりと知ることもとても重要

現状の課題を解決する、不満を解消するために、転職は大きな選択のひとつです。

「ワークライフバランスを改善する」「年収を上げたい」など課題や不満はその方によってそれぞれですが、会社・環境を変えなければ実現できないことは多いと思います。
ただ、現状にないものを手に入れるため、何かを手放す・あきらめることが必要となることも時には出てきます。

短期的な視点にとどまらず中長期的な視点もふまえ、課題解決・不満解消を実現するために何をトレードオフすることになるのか、それは自分のキャリアにとってどのような影響があるか、などをしっかり理解したうえで選択・意思決定することが大事です。

また、企業のカルチャーや体制を理解するだけでなく、「自分自身がどうありたいのか」「何を大事にしているのか」を言語化することが、より納得度の高い選択につながります。

もちろん、上述したようなケースでも、事業会社へ転職したことがマイナスだったとは限りません。事業会社を経験したからこそ、自分が重要視していることを改めて認識でき、ITコンサルタントとして戻ってこれまで以上にパワフルに働いている方もいらっしゃいます。

そのような方にとって、事業会社で経験したことはプラスになったと思います。
一方で、事業会社での経験次第では、スキルアップ・キャリアアップを考えた際に遠回りになってしまうこともあります。

そうならないために、自分自身をしっかりと知ったうえで選択・意思決定することは重要です。
とはいえ、一人で考えて自分を理解することは、意外と難しいことだと思います。
壁打ちをはじめ、思いや考えを言葉に出してみて考えることによって、気づくことや理解することもあるでしょう。

私たちデジタルプロフェッショナルチームは、皆さんを深く理解したうえで、最適な選択肢をご提案できるよう努めています。

求人情報やマーケット情報の提供はもちろんですが、皆さんがどのような価値観をお持ちか、何が大事なのか、など根っこの部分までしっかりと理解させていただいたうえで、本当に実現したいキャリアに向かっていけるようご支援していきたいと思っています。

ぜひお気軽にご相談ください!

(本記事は、ITコンサル・SE・事業会社IT/DXポジションの転職支援を専門とするコンサルタントの半藤 剛が執筆しました)

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