「遊びのマーケットプレイス×事業者のDX化」で新たな価値を創造。
及川
遊びの予約サイトである「アソビュー!」はご存じの方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、あらためて御社の事業についてご紹介いただけますか。
横峯
当社は「生きるに、遊びを。」というミッションを掲げ、主にレジャーやアクティビティの予約やチケットの購入ができるマーケットプレイス「アソビュー!」を運営しています。おかげさまでこの「アソビュー!」はすでに多くの方にご利用いただき、世間での認知度も高まっていますが、実はその裏側でもう一つ、「ウラカタ」という有力な事業を推進しています。こちらはレジャーやアクティビティを提供する事業者、我々はパートナーと呼ばせていただいていますが、このクライアントサイドのパートナーのDXを推進するソリューションを展開しています。このウラカタの中で、チケット購入や予約の仕組み、そこからCRMやデータ分析によってインサイトをつくるところまで提供しながら、ここで仕入れた在庫をマーケットプレイスで拡販していくというフライホイール型で事業を運営しています。
及川
「ウラカタ」という事業を手がけていることは存じ上げておりませんでした。これは、マーケットプレイスの「アソビュー!」を営むなかで、パートナーの事業者の方々のDXがそれほど進んでいないことが判明し、そこもやはり支援しなければということで事業化されたのでしょうか。それとも、設立当初からDXもターゲットにされていらっしゃったのでしょうか。
横峯
前者ですね。当社の設立は2011年ですが、当時「旅ナカ」の消費がこれから伸びていくと見込まれていて、そこに応えていくことを掲げて我々のマーケットプレイス事業はスタートしました。ただ、まだその頃はホテルやレストランのオンライン予約が未熟な状況で、ネットで予約を受け付けるものの、施設側ではその処理を紙の台帳で手作業で行っていて、時間をおいて予約完了の通知が来るという形がまだまだ一般的だったんですね。旅ナカの業界も同様で、パートナーの方々の在庫の管理自体がDX化されてないため、オンラインでの予約が仮の扱いになってしまい、我々がマーケットプレイス上でいくら CVRを改善しても在庫が増えず、結果として売り上げも伸びないことが課題でした。これを解決するためにはパートナーの在庫管理をDX化することが必要であり、DX化によって、紙の台帳で管理するという煩わしい作業からもパートナーの方々を解放してあげることができる。お互いにWin-Winになれるという思いから、このウラカタの事業を立ち上げました。
及川
いま横峯さんから「旅ナカ」というキーワードが出てきましたが、一般の方には少し馴染みのない言葉だと思います。この「旅ナカ」は具体的に何を表しているのか、教えていただけますか。
横峯
「旅ナカ」という言葉は概念的に使用されることが多く、企業や団体によって認識はさまざまです。旅行の要素は「宿泊」と「交通」、そして訪れた先での「体験」の大きく3つがあると思いますが、我々は宿泊と交通以外の体験にまつわるところを「旅ナカ」と位置付けています。当社の事業は、旅行以外の週末の日帰りのお出かけなども対象としており、その行き先である観光・レジャー施設も「旅ナカ」として捉えてソリューションを提供しています。また、飲食も旅行先での大きな楽しみの一つであり、「旅ナカ」の範疇に入ると思いますが、まだまだ我々が価値提供できていない分野であり、今後進出していきたいと考えています。
及川
いまお話のあった「体験」ですが、たとえば旅に向かう移動のなかにも体験があり、また、宿泊の場においても体験があるかと思います。最近では、宿泊以外のアクティビティをいくつも提供されているホテルも増えています。御社はそうした体験もスコープし、これから事業も拡大されていく考えなのでしょうか。
横峯
おっしゃる通りで、我々のクライアントもホテルの方々が増えています。宿泊自体も体験化し、また交通の中で味わえる体験ももちろんあるので、海外ではこうした体験を含めてすべて予約・購入できるスーパーアプリがすでに当たり前になりつつあるんですね。我々もこうした流れを捉えて、どこまでサービスを拡充できるかチャレンジしているところです。強力な競合も存在しますが、我々の強みはやはり、旅ナカの体験の提供で培ってきた情報であったり、在庫をしっかりと押さえていること。素敵な宿やその土地の美味しい食事に惹かれて旅行先を選ぶ方も多いかと思いますが、たとえば沖縄の海を楽しみたいとか、山奥の風情ある温泉でくつろぎたいとか、体験できることで行き先を選ぶのも旅の楽しみ方のひとつだと思います。我々としては、体験を起点にしてシームレスに宿泊や交通までを提供できるような、そんなソリューションにこれから力を入れていきたいと考えています。