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INTERVIEW

INTERVIEW 015

2021 Mar 09

創るのは世界をKAIZENするソリューション。
自分の力で漕いだ分しか、事業が進まない。
それが逆に面白い。

株式会社Kaizen Platform
取締役Chief Technology Officer/Kaizen Platform USA, Inc. CEO
渡部 拓也氏

渡部拓也氏(Kaizen Platform)のプロダクトマネージャーインタビュー

PROFILE

株式会社Kaizen Platform
取締役Chief Technology Officer/Kaizen Platform USA, Inc. CEO
渡部 拓也氏

2004年に新卒でNTTコミュニケーションズ株式会社に入社。モバイルインターネットの台頭に新しい時代の到来を予感し、当事者となって体験を共有したいと2010年にグリー株式会社へ転職。Native Game事業本部で開発と事業責任者を務める。その後、サービスの黎明期から関わって成長させることに携わりたいと、2014年にスマートニュース株式会社へ。2016年、事業や組織そのものを創ることに挑戦すべくKaizen Platformに参画し、2018年4月より現職。

INTERVIEWER

及川卓也 プロフィール

及川卓也 プロフィール

MicrosoftにてWindowsおよびその関連製品の開発を担当した後、Googleに転職し、ウェブ検索やGoogleニュースのプロダクトマネジメントやGoogle Chromeのエンジニアリングマネジメントに従事。その後、Qiitaの運営元であるIncrementsに転職。独立後、プロダクト戦略やエンジニアリング組織作りなどで企業への支援を行うTably株式会社を創業。2017年よりクライス&カンパニー顧問。

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「21世紀のなめらかな働き方を創出する」ことが最終的なゴール。

及川

まずは渡部さんがCTOとプロダクト責任者を務めるKaizen Platformについて、どのような企業なのかご紹介いただけますか。

渡部

Kaizen Platformは、リクルートに在籍していた現CEOの須藤(憲司氏)が2013年に起ち上げた企業です。
 
須藤はリクルートでデジタル領域のマーケッターとして活躍していましたが、業務の中でいろいろな問題意識を抱え、それを解決するために生まれたのがKaizen Platformです。私たちが掲げるポリシーは、人間の創造力とテクノロジーとデータの蓄積を組み合わせることで、世界をもっとKAIZENしていくこと。
 
たとえば創業時から繰り広げているUXソリューションは、WebサイトのUX改善を図りたいお客様に簡単にA/Bテストを行えるツールを提供し、クラウドソーシングによって全国各地にいるグロースハッカーの知恵を集め、最適なWebデザインを導き出すものです。そして、コンバージョン向上につながった事例のデータを集めて蓄積し、それを新たなUX改善に活かすというPDCAサイクルでソリューションの質を高めています。
 
つまり、私たちが持つテクノロジーと蓄積されたデータが使えるプラットフォームを構築し、さまざまな改善を望むお客様からの案件をオープンにして課題解決のためのクリエイティブを募れば、いろんな人の情熱と才能が解き放たれる場が創れるんじゃないか。そんなビジョンを私たちは抱いており、「21世紀のなめらかな働き方を創出する」ことを最終的なゴールに据えています。

及川

たいへん意義のある取り組みだと思います。そうしたビジョンのもと、どのようなサービスを現在展開されているのでしょうか。

渡部

先ほどお話しした、創業時から手がけているUX改善のための“UXソリューション”に加えて、3年ほど前に新規事業として“動画ソリューション”を起ち上げました。
 
これは、UXソリューションでお客様のランディングページ(LP)の改善で成果を上げるうち、LPに誘導するための広告も改善してほしいという要望を受けて開発したものです。なかでも主流になりつつある動画広告にフォーカスしたのが“KAIZEN Ad”。こちらもクラウドソーシングで多くのクリエイターの力を借りながら動画を制作し、視聴数とと効果を検証しながら改善を図っていくサービスです。現在はFacebookやAmazon、Googleなどのプラットフォーマーの公式パートナーとして高い評価を得ています。
 
さらに、近年のDX化の波を受けて、業務のラストワンマイルのデジタル化を実現する“DXソリューション”にも取り組んでいます。これは動画ソリューションで培ったノウハウを広告以外にも展開するもので、特に営業資料を動画化して営業活動を改善する“KAIZEN Sales”がコロナ禍の影響もあって評判を呼んでいます。
 
この“UXソリューション”“動画ソリューション”“DXソリューション”が現在の当社の3本柱であり、それぞれサービス間の連携も図りながら事業を拡大しています。

事業要件にも関わり、社内でプロダクトのファンも増やすのもPdMの役割。

及川

それではKaizen Platformにおけるプロダクトマネージャー(PdM)の役割についておうかがいします。PdMが担うミッションは企業によって各社各様ですが、御社の場合はいかがですか。

渡部

PdMというのは、プロダクトを成功させるために何でもするポジションだと私は認識しています。社内にアナリストがいなければ、自分で分析する。UIデザイナーがいなければ、自分で設計する。その時点で足りないものがあれば、PdMがすべて対応しなければならない。敢えてネガティブな表現をさせていただくと、PdMは非常に泥臭くてしんどい仕事です。

及川

御社ではPdMが関わる領域が広いということでしょうか。

渡部

ええ。私たちが手がけるBtoBの事業では、サービスを創る上で4つのプロセスがあると考えています。
 
売上やシェアの目標を設定する「事業計画」。それを達成するために必要なプロダクトの競争力を明らかにする「事業要件」。その競争力をもたらすための機能を定める「プロダクト要件」があり、最後にプロダクトを形にする技術を選んで作り上げる「開発要件」がある。
 
PdMが本来担うのは「プロダクト要件」ですが、その前後のプロセスである「事業要件」や「開発要件」にも関与すべきだというのが私の考えです。

及川

プロダクトを形にする「開発要件」にPdMが関わっていくのは理解できますが、「事業要件」にも関わるというのは具体的にどのようなことなのでしょう?

渡部

BtoBのプロダクト領域では「事業要件」が疎かになっている企業が多いように思います。事業計画は立てるのもの、どんな競争力をつければ売上が伸びるのかという仮説のないまま個人のアイデア頼りでプロダクトを作っている。
 
特にBtoBのプロダクトは、魔法のように課題が一挙に解決して世界ががらりと変わるような、そんなミラクルな逆転ホームランなどありえない。絶えず仮説を立てて検証し、成果を積み重ねていくことでプロダクトが伸びていくのです。
 
もし「事業要件」が弱いのならば、PdMがそこに入り込んでいかなければならない。あと「開発要件」をクリアしたプロダクトをデリバリーする段になると、セールスやカスタマーサクセスに「ぜひお客様に使ってもらいたい」と心から思ってもらえるような情報を提供し、プロダクトのファンを増やしていくこともPdMの役割。それが結果としてお客様のHAPPYに繋がるのだと考えています。

及川

プロダクトのファンを社内に増やすというのは、確かにPdMが担うべき大切な役割ですね。

渡部

世間ではよく「セールスが強い企業」「プロダクトが強い企業」などと色分けされますが、セールスもプロダクトも事業の構成要素の一つ。どんなに良いプロダクトを作っても、それが事業として成立しなければまったく面白くない。
 
だからプロダクトを開発する側は、セールスをする側にリスペクトを持つべきです。私が社内のエンジニアによく話をしているのは、そもそもBtoBのサービス領域でセールスが弱くて成功している会社はないと。お客様から受注を獲ってくることが事業の起点であり、ピッチャーがボールを投げないと始まらない。ピッチャーが偉いわけではありませんが、重要なポジションを担う人はきちんとリスペクトしようと。
 
プロダクトの開発は、ともすれば納期に間に合わなかったり、時間が足りずに求める機能が実現できなかったりしますが、その際に我々の代わりにお客様に頭を下げてくれるのがセールスの人たちであり、彼らへの感謝を忘れてはいけない。
 
逆にセールス側の期待に応えられるよう、納期や機能に対しては自分たちのプロエッショナリズムをストイックに追求し、彼らからもリスペクトされる存在になる。そんな社風を醸成していくことを絶えず意識しています。

生産管理や人事からキャリアチェンジしたPdMが、第一線で現在活躍中。

及川

Kaizen Platformでは現在、何人のPdMがいらっしゃって、どのような体制をとっているのでしょうか。

渡部

PdMは私を含めて3人です。私が動画ソリューションとDXソリューションを全般的に担当し、一人がUXソリューション全般とDXソリューションのKAIZEN Salesを、そしてもう一人は私とともに動画ソリューションのプロダクトマネジメントを担っています。
 
現状は少人数で兼務していますが、今後新たなソリューションを続々と開発していく方針ですので、PdMを積極的に採用して体制を強化したいと考えています。

及川

そもそもプロダクトを開発する前提として、会社が掲げるビジョンやロードマップがあると思いますが、そこに対して3人の中でどう整合性を取っているのでしょうか。

渡部

公式・非公式のコミュニケーションを重視しています。戦略や戦術に関してはキックオフの場でオープンにしていますし、PdMの二人とはそれぞれ日々カジュアルに対話していて、納得がいかないことがあれば互いに理解しあえるまで議論しています。
 
これからPdMの組織を3~4倍に拡大する計画ですが、その規模になっても現状のスタイルでいいんじゃないかと。個別のコミュニケーションを重視したほうが情報伝達の質が高いと私は考えています。

及川

ちなみに渡部さん以外の他のお二人のPdMは、どのような経歴をお持ちなのですか。

渡部

二人とも結構ユニークで、UXソリューションとDXソリューションのKAIZEN Salesを担当しているPdMは、以前に大手電機メーカーで工場の生産管理を手がけていた人間です。
 
プロダクトマネジメントを志向して当社に転職し、最初はアソシエイトとしてデータ分析などを手がけ、いまPdMにキャリアアップしています。趣味でアンドロイドアプリを作っていたとのとこで、データの集計分析が得意。彼は複雑な状況を解きほぐして、あるべき形に組み上げていく力があって、それはPdMに必要な資質だと思いますね。

及川

エンジニアでもなく、プロダクトマネジメントの経験もない人が入社されて、いま主力サービスのPdMを務められていらっしゃるのですね。その方はなぜ、ここまで成長できたのかとお考えですか。

渡部

とにかく彼は勉強熱心なんです。興味を持ったことは、仕事に役立つかどうかなど関係なく、とことん調べる。知らないことを知るのは、人間の根源的な喜びです。その欲求が彼は非常に強い。たぶん金銭面の報酬だけだと、ここまでの熱意は持てないんじゃないかと思いますね。

及川

日本におけるプロダクトマネジメントはまだ体系化されていないので、知らないことを知る機会は多いんじゃないでしょうか。確かな方法論など存在しませんし、暗中模索の中、光を見出していく面白さがあると思いますね。

渡部

プロダクト開発は正直、打率3割の成績を残すのは至難の業と思っています。1割ヒットを打てればPdMとして優秀な部類に入る。だから、いかに10回打席に立つチャンスを得て、思い切りバットを振れるかが重要ですね。

及川

あきらめずにやり続けることが大事だというわけですね。もうお一人のPdMは、どんなキャリアをお持ちの方なのでしょうか。

渡部

もう一人は女性のPdMですが、彼女もユニークな経歴で、ずっと人事畑でキャリアを積んできた人です。当社にも人事として入社し、しばらくエンジニアの採用を担当していました。
 
その経験もあってエンジニアリングへの造詣が深くなり、また本人にモノづくりへの興味が強かったこともあって、私が「PdMをやってみない?」とオファーしたのです。
 
彼女が優れているのは、プロジェクトを推進する力。動画ソリューションを担当し、私が大きなコンセプトを考え、彼女が実際に機能を作り上げていくという役割分担で開発を進めていますが、エンジニアやカスタマーサクセスなど各所からの要望にうまく対処し、いろんな人としなやかにコミュニケーションしながら現場を盛り上げ、社内でプロダクトのファンを増やしている。それは私には真似できないことで、PdMとしての彼女の大きな武器ですね。

私は天才じゃない。だからこそこのプロダクトマネジメントにやりがいを覚える。

及川

いま活躍されているPdMのお二人は、キャリアチェンジして御社で成功されています。渡部さんがご覧になられて、プロダクトマネジメントを志向している方が、何を心がけるとPdMとしてのキャリアに繋がるのか、アドバイスをいただけますか。

渡部

いまご自身が取り組んでいる仕事をやり切ることが、PdMとしてのキャリアに繋がっていくと思います。周りのライバルたちよりも自分のほうが凄いと言い切れるぐらい、いまの仕事を極めることが大切。
 
先ほどお話しした当社のPdMの二人も、周囲から見て「凄い」と思えるほどの強みを持っています。そうした強みがあれば、新しいことにチャレンジする時の拠り所になりますし、逆にそれぐらい何か強烈なものを持っていないと、PdMへのキャリアチェンジにあたって自分自身をレバレッジできない。
 
だからまず、いまの仕事をとこどんやり切ってほしいですね。そして、経験値が溜まって成長実感が得られなくなった時、PdMに挑戦するのもひとつの手だと思います。

及川

逆にPdMを採用する側の視点からご質問します。プロダクトマネジメントの経験がなくても入社後に活躍が期待できる、そんなダイヤモンドの原石を見つけ出すために、渡部さんは採用面接ではどんなコミュニケーションをされているのでしょうか。

渡部

正直なところ、その方の経験はあまり見ていません。それよりも、話をしていて面白いかどうかが私にとっては重要なポイント。懸命に仕事に打ち込んだ時間は、その人の魅力に変換されて蓄積されていると思います。
 
積み重ねてきたものの迫力が感じられるような人と向き合っていると、こちらも高揚してくる。話をしていてワクワクする人は、入社後に成功する確率も高いというのが私の実感です。

及川

「人間力」のようなものを評価していらっしゃるのでしょうか。

渡部

おっしゃり通り、PdMの仕事は「総合格闘技」なので、生身の人間としての力が試される。必要なスキルは習得すればいいだけなので、その方が備えている人間力のほうが重要ですね。あとは知的好奇心でしょうか。
 
私たちを取り巻くビジネス環境は絶えず変化しているので、知的好奇心が強くないと進化に対応できない。面接での対話の中で、そうした好奇心が旺盛かどうかを見ています。

及川

では最後に、Kaizen PlatformでPdMを務める魅力について、渡部さんからメッセージをいただけますでしょうか。

渡部

私はこの会社に来てから、本当にいろんなことを学べました。以前はスマホゲームやニュースアプリのプロダクト開発を手がけましたが、それとは世界がまったく違う。toCの領域は、天才のひらめきで画期的なプロダクトが生まれることがある。その魔法は最後まで解明できませんでしたし、そもそも私は天才じゃない。
 
その点、当社が営むtoBの領域は、一発逆転の満塁ホームランはないものの、セールスやカスタマーサクセスと連携しながら総合力でしっかりと成果を積み上げ、日々一歩ずつ前に進んでいくのが面白い。誰かが打ったホームランの余波に乗ってPdMらしき仕事をするのは、自分自身が勘違いしてしまう。ここでは自分の力で漕いだ分しか進まないので、自己効力感は非常に強い。そこに大きな魅力を感じています。
 
当社はセールスもカスタマーサクセスもエンジニアも個性的で優秀なメンバーが多く、リソースはきわめて充実してる。仕掛けられることのオプションも多い。豊富なアセットをどう活かして事業を前に進めていくかという、PdM本来の地力が試され、大いに磨かれる場所だと思いますね。

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