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INTERVIEW

INTERVIEW 013

2021 Jan 21

行政と住民のインターフェースをデジタルで革新する。
1億2000万の国民全員に利益をもたらすプロダクトマネジメントを。

株式会社グラファー
VP of Product
本庄 智也氏

本庄智也氏(グラファー)のプロダクトマネージャーインタビュー

PROFILE

株式会社グラファー
VP of Product
本庄 智也氏

京都大学大学院情報学研究科卒業。2014年株式会社リクルートホールディングスに入社。エンジニアとして海外進出のプロジェクトの立ち上げに参画し、アプリ開発、サーバーサイド開発基盤の刷新、認証基盤の開発に携わる。データを活用した営業生産性の改善プロジェクトなどを経て、SaaS製品の製品開発を統括。2017年からGrafferに参画しプロダクト責任者を務める。

INTERVIEWER

及川卓也 プロフィール

及川卓也 プロフィール

MicrosoftにてWindowsおよびその関連製品の開発を担当した後、Googleに転職し、ウェブ検索やGoogleニュースのプロダクトマネジメントやGoogle Chromeのエンジニアリングマネジメントに従事。その後、Qiitaの運営元であるIncrementsに転職。独立後、プロダクト戦略やエンジニアリング組織作りなどで企業への支援を行うTably株式会社を創業。2017年よりクライス&カンパニー顧問。

及川卓也について READ MORE

民間の立場から新しい行政のインフラを創ることがミッション。

及川

はじめに、本庄さんがVPoPを務めるグラファーがどんな事業を手がけているのか、ご説明いただけますか。

本庄

我々は、民間の立場から新しい行政のインフラを創ることをミッションに掲げ、2017年に起ち上がったスタートアップです。複雑で難解な行政への申請手続きを、デジタルテクノロジーを活用して簡便なものにして、住民の方にも自治体の方にも価値を提供したいと考えています。

及川

具体的にどのようなプロダクトやサービスを提供されているのでしょうか。

本庄

大きく3つあります。ひとつは社内でエンドユーザー製品と呼んでいるものですが、住民や事業者の方々に向けて、行政への申請手続きを簡単に行えるプロダクトを提供しています。
 
たとえば、法人の事業者の方々が登記簿謄本を取得する際、オンラインで申請することもできますが、法務省が提供するシステムは手順が複雑で使いづらいのが実情。
 
そこで我々がスマホで簡単に申請できるシステムを裏側でRPAを動かしながら提供し、手続きの煩わしさを解消しています。行政と住民の間に立って、いわば各種の申請を自動的に代行する仕組みを提供しており、これはエンドユーザーから直接対価をいただいているサービスです。

及川

いまご紹介いただいた申請手続きを簡単にするソリューションは、御社が提供するプロダクトと行政のシステムの間に、ユーザーからは見えない隠された仕組みがあるのですね。

本庄

ええ。ソフトウェア的に例えるなら、行政が運用しているインターフェースと、住民や事業者が望んでいるインターフェースにミスマッチが生じていて、それを我々が巨大なアダプターを作って埋めている感じです。

及川

なるほど。あと残りの二つはどのようなプロダクトやサービスですか。

本庄

先ほどのエンドユーザー製品は、行政の意向に関係なく我々が勝手に作って提供しているものですが、自治体に公式に採用されているプロダクトもあります。
 
それが「Graffer スマート申請」というスマートフォンで手続きが完結できるデジタル行政プラットフォームで、すでに多くの自治体のお客様に導入いただいています。
 
たとえば横浜市で実施された、コロナ禍で売上が落ちた企業への「危機関連保証認定」の申請にこの「Graffer スマート申請」が使われています。そして三つ目が2020年からスタートした、自治体のデジタルアウトソーシングです。
 
これはプロダクトの提供だけにとどまらず、自治体の業務そのものを我々が請け負うサービス。こちらも、神戸市が実施した「中小企業チャレンジ支援補助金」の申請受付から審査、振込までのバックヤード業務を我々が担い、デジタルの力で効率化を図るなど実績が上がっています。

及川

たいへん興味深い事業ですね。この事業を御社はいま、何名の社員で推進しているのでしょうか。またそのうちプロダクトマネージャー(PdM)は何名いらっしゃいますか。

本庄

社員数は日々増えていますが、現在35名ほどです(2020年12月時点)。そのうちPdMは3名で、CEOの石井と私ともう一人が担っています。

問題意識を共有できる自治体を見つけ、一緒にプロダクトを開発していく。

及川

社員数35名でPdMが3名いらっしゃるのは比率が高いように思います。御社はそれだけプロダクトマネジメントを重視されているということでしょうか。

本庄

ええ。PdMである石井も私も、またCOOを務めている井原もかつてプロダクトマネジメントを手がけ、当社の経営陣はみなそこで苦労した経験があるのです。我々はテクノロジーで価値を提供する企業であるため、それを具体化するプロダクトマネジメントの重要性を強く認識しており、当社のカルチャーになっていると思います。

及川

御社ではどのようにプロダクトを企画されているのでしょうか。

本庄

大きく二つのアプローチがあります。
 
ひとつは、PdMが自治体のお客様との対話の中でコンセプトの着想を得て、それを具体化するアイデアをプロトタイプしてお客様に評価していただくというアプローチ。
 
そこから生まれたプロダクト事例が「Graffer 手続きガイド」です。これはCEOの石井が鎌倉市の方と話をするなかで「住民の方々への申請手続きの案内が漏れてご迷惑をおかけしているケースが多い」という課題を発掘し、ユーザーが質問に回答していくことで必要な情報を出力できるプロダクトを創ればいいのではという着想から実現したものです。
 
もうひとつは、先ほどデジタルアウトソーシングの話をしましたが、我々が自治体の業務に携わる中で課題を見つけていくアプローチです。現場に身を置くとお客様が何に困っているのかを肌で理解できるため、そこで発掘した課題をもとに企画しています。

及川

課題を見つけていく上で、ビジョンやミッションに沿った本質からずれないように意識されていることはありますか。

本庄

住民目線を常に意識しています。自分も住民の一人として、この課題を解決することがどれぐらいのインパクトがあるのかを絶えずイメージしながらプロダクト開発にあたっています。
 
また、当社の大きな特徴として、ビジネス開発の部門のメンバーが我々と問題意識を共有してくださる自治体のお客様を見つけてきて、新しいプロダクトを一緒に試しながら開発できる環境づくりに努めているんですね。いわばアーリーアダプターと一緒にプロダクト開発ができる環境であり、そこで市場性をリアルに評価できるのも当社らしさだと思います。
 
さらに、プロダクトを開発する上で重要視しているのは、全国1,741の自治体と55,000以上の行政手続きに対してきちんとスケールできるソリューションであるかということです。

及川

スタートアップの段階では目先の利益も大事なので、ともすればそれを追求しがちになりますが、御社はビジョン・ミッションにしたがって正しく事業を営まれているように強く感じます。なかなかそれが果たせない企業が多いなか、御社が実現できているのは何か秘訣があるのでしょうか。

本庄

確かにそのバランスをとるのは非常に難しいのですが、我々は経営の目線でビジネス開発とプロダクトマネジメントの役割を定義し、短期的なゴールと長期的なゴールをしっかり見定めながら判断しています。それを前提として、大切にすべき価値感を社内に浸透させていくことを、創業以来、徹底してやっています。
 
たとえば、短期的な収益や規模の大きな案件の相談が舞い込んできたとしても、それが我々のミッションやビジョンから外れているものだった場合、ビジネス開発のメンバーも「これは止めるべき」と判断しています。
 
そういった判断は通常社内で注目されることはないと思いますが、当社では、経営陣が率先して、このように止める判断をした社員を称賛することで、この価値観の浸透を図っています。

「企画」「デモ化」「事例化」「グロース」でプロダクトを創り上げていく。

及川

先ほどプロダクトを企画する段階のお話をうかがいましたが、それ以降、どのようなプロセスを踏んでプロダクトが開発され、そこにPdMがどう絡んでいくのか教えていただけますか。

本庄

フェーズを追ってご説明しますと、我々は製品のライフサイクルを「企画」「デモ化」「事例化」「グロース」の大きく4つに分けています。
 
「企画」は先ほどお話しした通りで、お客様とのかかわりの中でPdMが着想を得て企画したり、自治体から具体的にニーズをいただいて企画したりと出発点はさまざまです。
 
それが自社のミッションに沿っているか、そしてスケールするものなのかを精査し、フィルタリングされた企画が「デモ化」されます。コンセプトや問題解決の方法が目に見える形でわかり、良し悪しが評価できるプロトタイプを作り、それをビジネス開発のメンバーが自治体にデモンストレーションして市場からのフィードバックを得ます。
 
そのプロトタイプは一週間程度で形にできるレベルのもので、PdMが自分でコードを書いて作るケースもあります。筋のいいプロダクトであればお客様から「すぐにでも導入したいので予算を取りたい」という声が上がるので、そうした反応が得られたら「事例化」へ。「事例化」というのは、ビジネス開発のメンバーが、不完全なプロダクトでもその価値を評価してくださるお客様を見つけてきて、実務の中で利用していただいて本当に課題が解決できるかどうかを一緒に検証していきます。
 
そこで価値を提供できると判ったら、社内のエンジニアと協業してプロダクトにいろんな機能を搭載し、「グロース」していくというのが大枠の流れです。

及川

絶えずマーケットの反応を得ながら理想的にプロダクトを開発されている印象です。御社においてPdMは非常に重要な役割を担っていらっしゃいますが、今後、PdMの組織を拡充していくお考えはありますか。

本庄

ええ。これからPdMを積極採用していく方針です。当社のサービスの需要がいま爆発しており、そこに応える体制を早急に作りたいと考えています。

及川

では、PdMを採用するにあたり、どんな人材を求めていらっしゃるのでしょうか。

本庄

PdMの役割というのは、突き詰めれば「製品の最終的な意思決定」をすることです。それができると判断されれば、極論、プロダクトマネジメントの知識やスキルがなくてもいい。経営陣から「この人ならリソースを預けられる」と信頼され、周りのメンバーから「この人の判断なら正しい」と信用される人であれば、PdMとして採用したいと考えています。
 
しかし、こうした資質を持つ優秀な人材に出会うのは現実的になかなか難しいので、可能性のある人材を採用し、内部で育成していくことにも力を入れていきます。
 
我々はソフトウェアで問題解決して価値を提供していく企業なので、エンジニアとしての経験を持ち、かつビジネスに対する興味の強い方を「プロダクトディベロッパー」という職種で採用し、社内で育成してPdMに任用していく考えです。

及川

行政の領域でプロダクトを開発するのは、いろいろと制約もあって面倒ではないかというイメージを持たれている方も世間には多いかと思います。その点について、何かご意見はございますか。

本庄

私もグラファーに入社する前はそう思っていましたが、実際にこの領域に関わってみると、自治体の中には問題解決に協力的なお客様もたくさんいらっしゃって、意外と物事が進めやすいというのが率直な感想です。
 
多くの自治体がいわゆる「お役所体質」から脱却しようとしていて市場自体が大きく変化しているので、これから行政サービスに関わるのは本当にエキサイティングだと思います。
 
その一方、やはりこの市場は民間のビジネスと比べれば特殊であり、法律による制限などもあるのですが、たとえば「ふるさと納税」など国民から評価される政策が実施されると急に世の中に変化が起こる。そうしたダイナミズムもこの領域に携わる面白さですね。

デジタルを駆使すれば、パーソナライズ化された行政サービスも実現できる。

及川

考えてみれば、行政サービスの領域というのはとてつもなく巨大マーケットですね。SaaSで優れた行政インフラを提供すれば、全国の自治体に一気に横展開されて、1億2000万のすべての国民に資するプロダクトになりうる。文字通り「世界を変える」ことができるチャンスが御社のPdMにはあると思います。

本庄

CEOの石井がグラファーを創業したのも、まさにその観点なんですね。1億2000万人の国民全員に使われるプロダクトは何だろうと考え、選んだドメインが行政サービスでした。プロダクトとしては本当に開発しがいがあるのですが、反面、行政サービスは世間にあまねく提供されるので、プロダクトの価値を認めていただけない人にも使っていただくことになる。
 
当社が自治体に提供したソリューションに対して住民の方々からアンケートをとっているのですが、「デジタルではない申請方法も提供してほしい」という声も少なくない。このプロダクトによる課題解決に価値を見出さないユーザーをターゲットにするという、通常の企業のプロダクトマネジメントとは違う難しさも感じています。

及川

確かに行政のデジタルサービスは、ユーザーを限定することができないのが大きな特徴ですね。
 
いま本庄さんからお話のあった「デジタルではない方法も提供してほしい」という住民の方の声は、デジタルデバイドが背景にあると思います。
 
しかし、いまや老若男女誰もがスマホを持つ時代になってリテラシーは向上していますし、また日本で暮らす外国人が増えていますが、デジタル技術を駆使してその方に最適化したコミュニケーションができれば、言葉や文化の壁も容易に克服できる。デジタルで行政サービスを革新できる可能性はまだまだ大いにあると思います。

本庄

おっしゃる通りで、我々はいま行政の申請手続きのインターフェースを変えることで価値提供していますが、それは住民目線から自治体の業務改善を図っていくものです。
 
今後、我々が自治体の業務プロセスや裏側のシステムまでアウトソーシングして扱うことができれば、そのデータを分析することで住民の方々がいまどのような状況なのか、何にお困りになっているのかを個別に明らかにして、自治体から住民の方々にアプローチする仕組みも創り出せる。
 
すでに民間のサービスは、どんどんパーソナライズされていてユーザーに寄り沿ってくれるのが当たり前になりつつあります。自治体の行政サービスも、我々が関与することでそうした方向にもっていきたい。
 
たとえば、デジタルリテラシーが低い方に向けてスマホ上で直感的に操作するだけで申請手続きできるUI/UXを実現したり、あるいは住民の方ひとりひとりに「こんな制度が利用できます」「こんな補助金を受け取れます」とプッシュ型の通知をするなど、行政サービスも時代の先端に合わせてアップデートしていきたいと考えています。

及川

とても夢が広がる世界ですね。では最後に、御社でのPdMを志向されるみなさんにメッセージをお願いします。

本庄

当社のPdMの醍醐味は、行政という非常に大きなドメインの中で、国民のみなさん全員に使っていただける公共性の高いプロダクトを創り出せること。社会に対して大きなインパクトを与えられる仕事であり、とてもチャレンジングだと思います。
 
さらに、当社はまだまだスタートアップなので、意思決定のスピードを上げるためにPdMに大きな権限を委譲しており、自分ですべて判断してプロダクトを創り出すことができる。とても魅力的なポジションだと思いますので、意欲のある方にぜひ参画していただきたいですね。

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