医療情報のプラットフォームを最適なアーキテクチャで構築。
及川
福村さんがCTOを務められるメドピアでは、いまどのような事業を展開していらっしゃるのですか。
福村
当社はドクタープラットフォームを活用した事業を開発運営している企業です。創業者である代表の石見(陽氏)は現役の医師であり、彼が中心となって立ち上げた医師専用のコミュニティサイト“MedPeer”が主力サービスです。
及川
私は前職のIncrementsでQiitaの開発運営を手がけていたのですが、“MedPeer”はいわば医師向けのQiitaのようなイメージでしょうか。
福村
イメージは近いかもしれません。かつて石見が、医師がそれぞれ持っている知見を全国レベルで共有できるWEB上のコミュニティの必要性を強く感じ、学会でビラを配って7000人の会員を集めたのが“MedPeer”のスタートです。UGC型のコミュニティサイトで会員数はいまや10万人に達しており、日本の医師の3人に1人が“MedPeer”の会員です。
及川
医師の3人に1人が利用しているというのは凄いですね。
福村
こうして我々は“MedPeer”を通じて医師のネットワークを形成してきたわけですが、近年はこのプラットフォームをもとにM&Aなどで事業を大きく拡げています。
オンラインで医師に健康相談を行うことができるサービス“first call”を運営する企業や、管理栄養士による食事コーディネートサービスの“Diet Plus”を運営する企業を傘下に収め、“MedPeer”とのシナジーでさらなる価値向上を図っています。
及川
新たに始められたオンライン健康相談サービスや食事コーディネートサービスは完全BtoC向けなのですか。
福村
オンライン健康相談サービスの“first call”は、開始当初はBtoCがメインでしたが、企業の福利厚生として活用いただいたほうが多くの方にリーチできると考え、最近はBtoBのマーケット開拓に力を入れています。
健康相談に加えて、「オンライン産業医」というサービスも開始しました。産業医面談のニーズは高まっていますが、産業医は通常月1回程度しか企業に訪問しません。first callの産業医だと、訪問はもちろん、訪問日以外もオンラインで産業医面談を実施できます。
及川
私はスタートアップの支援に関わる機会が多いのでよく耳にするのですが、従業員が50名を超えると産業医を一人雇わなければならなく、この産業医を確保するのがなかなか大変だと。このサービスはスタートアップ企業にとってもお勧めできますね。
福村
管理栄養士が食事のアドバイスを行う“Diet Plus”も、健康保険組合向けにメタボ改善指導を行うなどBtoBの領域にもサービスを拡げています。こうした保健指導は医師との親和性も高く、“MedPeer”とのシナジーをさらに発揮させる上でも有望なソリューションだと捉えています。
及川
いま御社は“MedPeer”“first call”“Diet Plus”と大きく3つのサービスを展開されていますが、技術的にはどのようなアーキテククチャを採用しているのでしょうか。
福村
“MedPeer”はもともとPHPによる独自フレームワークで開発していましたが、サービスの拡大にともなって設計思想やメンテナンスなどに限界を感じるようになり、もっと強力なフレームワークを導入しようと、2年ほど前に社内のエンジニアたちと議論してRuby on Railsに切り替えました。
強力なgemや情報量の多さ、コミュニティの活発さなどから、やはりRailsがいいと判断しました。それ以降“MedPeer”の新規開発案件はRailsを採用しており、既存のサービスも折を見て置き換えていく方針です。 “first call”と“Diet Plus”は、買収したこともあって異なる技術基盤を用いており、それぞれC#、Perl/PHPで動いていますが、こちらもゆくゆくはRailsにしていく考えです。
及川
3つのサービスのユーザー情報は連携させているのですか。
福村
“MedPeer”のサイト内にある、医師がコメントを投稿するサービスと医師の転職情報を紹介するサービスは、GoでAPIゲートを立て医師間のデータをマイクロサービスでつなげる形を取っています。“first call”と“Diet Plus”とはまだ連携できていないのが実状で、いま整備を進めているところです。
及川
Goを採用されたのはどのような理由からですか。
福村
当時いちばん流行っていたからです(笑)。また、社内には型が好きなエンジニアが多かったので、いきなりScalaに行くよりはGoを採用したほうがいいだろうという考えもありました。