INTERVIEW

INTERVIEW 018

2021 Oct 29

たとえば「食」と「育児」。
テクノロジーの進化を、身近な社会課題解決に繋げるプロダクトマネジメントを。

PROFILE

株式会社エブリー 執行役員 MAMADAYSカンパニー カンパニー長 岸田 崇志 氏
DELISH KITCHENカンパニー サービスグロース部 部長 堀田 敏史 氏

Profile詳細

岸田 崇志氏
2006年3月 博士号(情報工学)取得。2009年にグリー株式会社に入社し、内製ゲームの開発に携わる。そこで得たプロダクト開発ノウハウを、もっと社会課題解決に活かしたいと教育福祉分野を志向し、2015年に株式会社LITALICOに入社。執行役員CTOに就任し、新規事業開発をリードする。その後、老後の資金問題に関心を持ち、2019年にウェルスナビ株式会社に入社し、執行役員CPOとしてプロダクト開発を統括。これまでのさまざまな経験を基に、もっと身近な社会課題の解決に貢献したいと2020年に株式会社エブリーに参画し、現在は執行役員・MAMADAYSカンパニー長を務める。

堀田 敏史氏
2011年に新卒でグリー株式会社に入社。エンジニアとしてソーシャルゲームの企画開発や、新規事業領域で介護関連のメディアの開発などに従事。その後、自分の手で一からサービスを創りたいと起業し、並行してフリーランスでさまざまなスタートアップの支援も手がける。いろいろなビジネスの立ち上げに携わるものの、経験を重ねるうちに一つの事業にフォーカスしたいという想いと、携わるのであればユーザーの生活に近い領域に関わりたいと思い 2016年に入社 。現在、DELISH KITCHENのプロダクトマネージャーを務めている。

「広さ」×「深さ」によるサービス展開で、日本最大のメディア企業を目指す。

及川

まずはエブリーの事業内容についてご紹介いただけますか。

岸田

エブリーは「動画を通じてもっと楽しく、もっと充実した毎日に」をモットーに、日常生活に根ざした日本最大のメディア・サービス企業を目指しています。SNS・Webを活用した高いリーチャビリティと粘着性の高いアプリなどの特性を使い分けることにより幅広くユーザーニーズに合わせたサービス展開をしています。

ビジネスモデルとしては、まずはSNS上でのコンテンツで集客を拡大し、機能特化型のアプリで細かく セグメントにリーチし、さらにOMO(Online Merges with Offline)によってリアルなサービスも提供して、お客様のライフスタイルを豊かにしていくというサイクルです。これを通して経済的な価値はもちろん、社会的な価値も生み出していくことを重視し、プロダクトで社会課題を解決することが私たちの真のミッションだと捉えています。

堀田

なかでも「食」と「育児」という、私たちの生活に身近なところでの社会課題解決にチャレンジしています。

食の領域では、「だれでもおいしく簡単に作れるレシピ」を毎日配信するレシピ動画メディアである“DELISH KITCHEN”を、育児の領域では、「 育児をもっと楽しくもっと幸せに」をコンセプトとしたファミリー向けの動画メディアである“MAMADAYS”を展開。DELISH KITCHENは私がプロダクトマネージャーを務めており、MAMADAYSは岸田さんがプロダクトマネジメントも含めてサービスを統括しています。

及川

先ほど、プロダクトで社会課題を解決していくとのお話がありましたが、「食」と「育児」の領域でユーザーのどのような負を解消したいのか、もう少し具体的に教えていただけますか。

堀田

DELISH KITCHENに関して言えば、料理は毎日欠かせない家事のひとつですが、日々の献立に悩まれている方がたくさんいらっしゃいます。小さなお子さんを抱えていらっしゃる方など、料理にまでなかなか十分に時間を割けない。そうしたみなさんの献立決めや買い物、調理の作業が少しでも楽になればと、そんな想いでプロダクトを開発しています。

私たちが提供しているのは「食」にまつわる体験の改善ですが、オンラインでレシピを探せるだけではなく、そのレシピを作る際に必要な食材がストレスなく手に入り、実際に美味しい料理を作れるという、一連の体験をすべてより良く変えていきたい。そのためにオフラインでのサービスにもいま注力しており、OMOの強化を図っています。

岸田

私が統括するMAMADAYSは、子育ての不安を少しでも取り除き、ともすれば母親に偏りがちな負担を解消し、家族で幸せをシェアできる仕組みを創ることを目指しています。

特に育児に関しては、課題がたくさんあるにも関わらず、テクノロジーの恩恵を受けきれていないのが現状。幸せな育児を行うためには、まだまだ選択肢があってもいいとおもいますので、 育児を支援するサービスの市場そのものを盛り上げていきたいとも考えています。

経済的価値と社会的価値をともに生み出すことが、エブリーのプロダクト開発。

及川

エブリーのプロダクトマネジメントについて具体的におうかがいします。DELISH KITCHEN、MAMADAYSそれぞれの事業において、プロダクトマネージャー(PdM)、エンジニア、デザイナーが何名いらっしゃるのか、開発体制を教えていただけますか。

堀田

DELISH KITCHENはPdMがいま12名います。DELISH KITCHENはすでに事業が大きく成長しており、ビジネスの領域がBtoCサイドのグロースの部分とマネタイズの部分、さらにはBtoBの食品・飲料をはじめとするメーカー向けのソリューションと、スーパーなどの小売業向けのソリューションの4つのプロダクトのチームがあります。

それぞれのチームにPdMが2~4 名ほど配置されており、それぞれエンジニアとデザイナーが向き合いにいてプロダクト開発を進めています。チームによって多少変わりますが、向き合いごとにデザイナーは1~2名、エンジニアは4~8名程度になっています。

岸田

MAMADAYSは、SNSとWebによるメディアの立ち上げに加えて、アプリが立ち上がってきたフェーズです。アプリとWebとSNSの3つのメディアのプロダクト開発を5名のPdMで担当しています。その3つをエンジニア7名でカバーし、 コンテンツ制作のメンバーが 17名います。

PdMは課題の分析から企画とロードマップ作成などプロダクトの方針を決め進行することが主な仕事ですが、施策の実装などのフェーズでは エンジニアやデザイナーなど様々な視点の意見も取り入れつつ 、柔軟に進めています。

及川

MAMADAYSにおけるPdMの業務分担はどのようになっているのでしょうか。

岸田

アプリ担当が2名、Web担当が2名、SNS担当が1名という体制です。

今後新たなPdMを採用するにあたって、オンボーディングの際はいずれかのサービス を担当してもらうことになりますが、一方で私たちの強みはアプリとWebとSNSをすべて手がけていることであり、たとえば「アプリとWebを重ね合わせるとユーザーにこうした訴求ができるのではないか?」など、メディアをまたぐことでいろんな施策が考えられる。ですから、PdMは担当サービス を超えてオーバーラップしていくことを推奨しています。

及川

PdMが複数いらっしゃって各々が起案していくと、ディレクションが定まらない恐れがあります。施策によってはコンフリクトが生じることもあるかと思いますが、全体として統一感を保つために、どのように舵取りしているのでしょうか。

堀田

それは難しい問題であり、常に課題感を持っています。現状、DELISH KITCHENでは4つの領域の部門長が、短期長期で何を優先してフォーカスするかを擦り合わせ、共通認識を持つようにしています。それを踏まえて、プロダクトで打つべき施策やリソース配分の優先度を決め、メンバーで方針を共有して開発を進めている感じです。

岸田

MAMADAYSでは、大枠はOKR(Objectives and Key Results)で部署全体で追いかける目標とチーム内で追いかける目標を定めています。 一方で、PDCAを回すにあたり、方針の軌道修正なども柔軟に行えるように、成功すればインパクトが大きい施策を敢えてロードマップの中に入れるようにしています。

及川

いまロードマップのお話がありましたが、プロダクトのロードマップを策定するにあたって、「どんな世界をいつまでに実現するか」というビジョンレベルの目標はどのように定めているのでしょうか。

岸田

経営からの事業目標を踏まえ、ユーザーにとってあるべきサービス の姿を描き、その双方向から1年のロードマップを作成しています。そこで重視しているのは、目標に向けての階段の上り方。目指す世界を実現していく上で、私たちはどのような役割を果たさなければならないのか 、ストーリーとして表現することを意識しています。

また、ロードマップ作成時にPdMの育成も考慮し、大枠の方針は決めるものの施策単位では 各プロダクトのPdM本人に選択する場を増やす ことで、意思決定の軸を体得してもらうようにしています。

及川

さらに大きなスコープとして、エブリーが企業として何に取り組み、何に取り組まないのかという判断はどうされているのでしょうか。

岸田

冒頭にも少しお話ししましたが、生活に近い社会課題を解決することが私たちのミッションです。その軸に沿って、経済的価値と社会的価値が両立できるかどうかが判断の基準になります。

昨今、テクノロジーが急速に進化し、ロケットで一般人が宇宙に行けるような時代になっている一方、そうしたテクノロジーが私たちの普段の暮らしを楽にしているかといえば、まだまだそうではない。テクノロジーを身近な課題解決に紐づけて、人々の生活を便利にしていくことが、エブリーのPdMの本質だと思っています。

社会課題解決を強く志向し、失敗を学びに変えられる人材が活躍できる。

及川

エブリーのPdMの仕事について、もう少し具体的におうかがいします。まず、PdMはエンジニアやデザイナーとどのような役割分担をされているのでしょうか。

堀田

PdMの役割は、顧客課題と事業課題を捉えて定量化、優先度付けをし、解決するための企画の要件を決めることがメインです。それを具体化する段階になると、エンジニアやデザイナーが入って議論し、実際に形にしていく流れです。

岸田

いま私たちはプロジェクト管理ツールのAsanaを利用しているのですが、その流れに沿って説明しますと、企画は幅広く職種関係なく挙げてもらっています。その中から現状のプロダクト課題での優先度が高いものをPdMが選定します。

施策の実現においては、それをもとにデザイナーがUIを考え、デザインが固まるとエンジニアがシステムに実装していく。それぞれのワークフローで担当が厳密に分かれているわけではなく、PdM、デザイナー、エンジニアの関わり方はグラデーションがかかっている感じですね。

及川

プロダクト開発ではスクラムを導入されているのでしょうか。

岸田

完全にスクラムに則ったやり方ではなく、プロダクトをいかに早くユーザーに届けられるかという視点で、必要最低限に絞った 形で進めています。まだ開発規模もそれほど大きくないので、簡単な「かんばんボード」でタスクを流し、企画が固まってくると2週間のイテレーションのなかで実行しています。

及川

なるほど、ミニマムな形でスクラムを実行されているのですね。こうした体制の中で、エブリーで活躍できるPdMはどのような人材だとお考えですか。

堀田

顧客が抱える課題を解決したいという志向の強い方のほうが、やはり仕事は面白いと思いますね。入社時には、BtoCのサービス開発に関わった経験は特になくても大丈夫です。

いま在籍しているPdMのなかには、SIerから「クライアントの要件ベースに応えるのではなく、より自分でユーザー課題を発掘したい」と転身してきた人もいれば、メガベンチャーから「よりサイズの小さな企業で裁量を持ってプロダクトを創りたい」と当社へ移ってきた人もいます。

及川

お二人はエンジニア出身ですが、エンジニアリングの知識やスキルは求められるのでしょうか。

岸田

個人的には、PdMはやはりエンジニアリングの知見があると有利な部分はあると思いますが、スタートラインの違いかなと思っています。

プロダクトのPDCAを回せることが必要な要件ではあるので、 プロダクト開発に興味があり、学習意欲が旺盛な人であれば問題ないです。

私たちは意思決定の中でデータ分析を重視していますが、きちんと育成すれば、まったく知識のなかった人でも自分でクエリを書いて実行し、仮説を検証できるようになる。ユーザーインタビューを通して顧客のインサイトを見つけ出し、課題解決のための仮説を立てて、定量的、定性的に検証することに力を注げる人であれば、おそらく活躍できると思いますね。

及川

エブリーのPdMに求められるマインドセットは何でしょうか?

岸田

失敗を学びに変える姿勢ですね。期待していた数字が上がらず、一見、失敗したように映る施策であっても、実は意外な数字が跳ね上がっていたケースも少なくない。失敗した理由を追求することでキラーファンクションが生まれることもあり、それがPdMの醍醐味でもあると私は思っています。

堀田

あと、PdMはいろいろな職種と関わっていくので、エンジニアやデザイナー、ビジネスサイドを含めて相手に敬意をもって誠実に接し、相互理解を図りながらプロダクト開発をドライブしていく姿勢が大切ですね。

アイデアの実現可能性はきわめて高い。PdMしての経験値を高めるのに絶好の環境。

及川

エブリーのPdMのキャリアパスについても教えてください。どのような評価体系で、どのように昇格していくのでしょうか。

堀田

現状、エブリーでは全職種共通でグレードが設けられており、PdMもグレードが上がるにしたがって、プロダクトの一機能から複数領域、そしてプロダクト全体と範囲が拡がっていきます。

それに加えてPdMを育成する観点から、PdMとしてキャリアアップしていくためにはどんなスキルが求められるのかをチームで議論し、グレードに照らし合わせてマッピングし、それを評価に組み込んでいく取り組みを進めています。

及川

全職種共通のものと、職種に特化したものの二階建ての評価システムを整備されているのですね。また、評価と表裏一体なのが育成であり、きわめて重要なテーマだと思いますが、育成についての取り組みはいかがですか。

岸田

PdMというのは、プロダクト開発の実践の中で、自ら仮説を立てて結果を出すことで成長していくポジジョンだと思っています。そうした経験を積んでもらうことが、私たちの育成の基本的な考え方です。

とはいえ、基礎と言われる部分を抑えないと成長速度もあがらないので、基本的な施策を考えるためのフレームワークはインプットをし、データ分析の基礎的なスキルを身につけてもらった上で、投入した施策が狙い通りだったのかを2週間のイテレーションで検証。

それを繰り返して精度を上げていくことをOJTで行っています。さらに、隔週でPdMの勉強会を開催し、まだエブリーが達していないプロダクト開発のフェーズについても学び、PdMの全体の中で 共通言語を持つことにも努めています。

及川

では最後に、お二人にエブリーでプロダクトマネジメントを担う醍醐味について、転職を希望される方々にメッセージをいただけますか。

岸田

私たちは、テクノロジーを使って身近な社会課題解決をサービスに落とし込むプロダクト開発を繰り広げています。社会課題に対するアプローチはいくつもありますが、エブリーはいろいろなバックグラウンドや専門スキルを持った人材が集まっているので、その実現性がきわめて高い。

アイデアはあるが実現する手法がわからず、形にならないというケースは世の中に多いと思いますが、エブリーならそれを具体化して事業と両立させることができる。

難易度の高い課題解決にチャレンジし、それがプロダクトになって世の中に提供され、多くの人から感謝されるのがPdMにとっては一番うれしいこと。そこまで一気通貫で繋がっているのが、エブリーのプロダクト開発の大きな魅力ではないでしょうか。

堀田

いま岸田さんが話していたように、私たちが手がけるプロダクトは生活に密着した領域のものであり、身近な社会課題を解決できるもの。そこに喜びを感じる方は、エブリーのPdMは大いにチャレンジしがいがあると思います。

また、DELISH KITCHENはBtoCの側面が強いのですが、広告ソリューションや小売業のDX推進などBtoBの領域も手がけており、ひとつのプロダクトのなかで複数のビジネスモデルに関われるのも面白い。また、大きなユーザー基盤を築いているので、その上で仕掛けられる施策の幅も広い。それはDELISH KITCHENのPdMならではの醍醐味だと思いますね。

岸田

エブリーはプロダクトを重視するカルチャーであり、新しいことに挑戦しつつ事業として成立させる、そのバランスに優れた企業です。PdMの育成にも力を入れ、積極的に機会を与えています。ポテンシャルのある若い人材が、自分の解決したい課題に果敢にチャレンジし、プロダクトマネジメントの経験値を高めていくには絶好の環境だと思います。

まだまだ私たちは新しい人材を必要としているので、意欲ある方にぜひ参加していただきたいですね。


構成:山下 和彦
撮影:波多野 匠

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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