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CXOのキャリアコラム

CXOと部長クラスの視座の違いについて

コンサルタント 入江 祥之

公開日:2024年1月22日

日頃お会いする方の中には将来CXOを目指している方が一定数いらっしゃり、「将来CXOになるために、今何をすべきでしょうか」と質問されることがあります。

意図としては「今のうちにどんな経験やスキルを身につけるべきか」を知りたいと思われるので、その観点でアドバイスをさせていただくことが多いです。

しかし、私はCXOになるためには経験、スキル以上に「物事に対する視座や視点」が重要だと考えています。

CXOに求められるのは経営視点。経営課題の仮説を持って臨むことが重要

先日弊社経由で転職先を決められた方へのインタビューで聞いたお話がとても参考になりましたので、紹介いたします。
マネーフォワード 取締役グループ執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCOOの竹田氏と、カンパニー執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCROの島村氏のお話です。

以下はインタビュー記事の抜粋となりますが、今後、CXOを目指す方や、CXOポジションで面接に臨む方にぜひ参考にしていただければと思います。


竹田氏:CXOは経営者ですから、そもそも「自分だったらこの会社をどう価値向上させてゆくか」という意思があって、面談の場はある意味、そのディスカッションする場や、そのための情報収集をする場だという前提があると思います。逆を言えば、その前提が無い人は経営者ではないと思っていて、その場合は機能を果たす部長の役割等をお任せする想定で面談をさせていただく形に切り替えることも考えられます。要するに、経営者かどうかという線引きとは、「課題設定を自らする人なのか」「誰かが課題設定したものを遂行する人なのか」という話かと思います。

島村氏:CXOのあるべき姿としては、企業の経営課題をもとに自分のバックグラウンドを使って何がやれるかという大きな文脈で考えながら解像度を上げていき、入社後の3ヶ月で何をやるか、最終的にはDay1が語れるぐらい具体的にイメージして面接に臨むことが求められると思います。

引用:自身の器を超える夢にチャレンジを。Day1をイメージし、課題を設定して意味ある仕事を創出する


CXOと部長レイヤーの違いはまさにここにあります。CXOの転職活動はまずカジュアル面談からスタートすることが多いですが、いざ選考要素のある面接になるとCXOと部長レイヤーでは明確にジャッジ基準が異なります。

当然ながら、CXOに期待される水準は経営視点であり、外部に開示されている情報から、経営陣が抱える経営課題の仮説を持って臨むことが重要です。そのため、事前準備が肝となります。経営課題を分析した上で、ご自身の強みを活かしてどのように役に立てるかを提案する、もしくは先方に感じ取っていただく必要があります。

自身がバリューを発揮できるかという視点で転職先を選ぶ

CXOの場合、応募企業の経営幹部との面談に臨む姿勢も非常に重要です。以下はパナソニックCIOの玉置様のインタビューからの抜粋です。玉置氏は入社前の段階でここまでの準備をした上で入社日を迎えられています。

パナソニックご入社前にはどのようなことをされていたのでしょうか。

玉置氏:入社前は入念にパナソニックの役員、社員、元社員、協力会社、マスコミ、CIO仲間など様々な方に話を聞き、パナソニックの問題点とは何だろうと考えました。楠見は何を変えたいのか、対話を重ねて紡ぎ出していったのです。3階層の変革のフレームワークを2021年3月時点で作成し、4月はそのフレームワークをもとに100日間計画をパナソニックの仲間達と一緒につくりあげていきました。「この人は何をしに来たのか」、初日に皆がわかるようにすることが大事だと考えたからです。
5月に着任して、皆の様子を見てから等と悠長にやっている時間は無いので、垂直立ち上げのために行いました。そこから100日間は皆がその計画に則ってプログラムの内容を形にしていき、何をやるのかというテーマ性を明らかにして、PXを7月下旬に全世界に向けて皆で発信しました。10月に楠見が対外向けに行う下期の方針発表に向けて、ロゴも作成してLinkedInで大々的に宣伝を打ち、2021年10月1日には完全にPXが起動しました。

引用:自分の軸を確立してから、「就社」ではなく「就職」を。人とのご縁は一期一会、大事に紡いでゆくもの


上記では転職決定後の入社前の準備について語っていただいていますが、玉置氏は転職先を決める段階でも「自身がこの会社でどのように価値貢献できるか」を綿密に分析した上で意思決定されたようです。

こうした姿勢を面接プロセスで企業側は確実に感じ取りますし、面接での評価や期待は益々高まります。レイヤーが高くなるほど、成長環境を求めるのではなく、いかに自身がバリューを発揮できるかという視点で転職先を選ぶことになるでしょう。転職活動の初期フェーズにおいても重要な視点です。

また、冒頭の「将来CXOになるために、今何をすべきでしょうか」という問いに戻ると、できるだけ早い時期に視座の高いCXOの近くで働き、その経営判断に触れることが理想的です。難しい場合は社外でも良いので、ロールモデルになる方の話を定期的に聞く機会を増やすようにしましょう。

(2024年1月22日)

Author

入江 祥之

コンサルタント 入江 祥之

大学卒業後、野村総合研究所に入社。同社では主に IT コンサルティングに従事。その後、転職エージェントに転身してからは、これまで一貫してコンサル業界の転職サポートを中心に活動して参りました。