決定者の声
株式会社マネーフォワード
取締役グループ執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCOO 竹田正信氏
カンパニー執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCRO 島村誠一郎氏
自身の器を超える夢にチャレンジを。
Day1をイメージし、課題を設定して意味ある仕事を創出する
公開日:2023年12月7日
Profile
株式会社マネーフォワード
取締役グループ執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCOO 竹田正信 氏
カンパニー執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCRO 島村誠一郎 氏
<竹田正信氏 Profile>
2001年インターネット広告代理店にて企画営業職に従事。2003年株式会社マクロミルに入社し、2008年取締役就任。同社の事業部門を主に管掌し、事業戦略、人事戦略、企業統合、新規事業開発を主導。2012年株式会社イオレに転じ、取締役経営企画室長に従事。2016年株式会社クラビス取締役・CFOを経て、2017年より、マネーフォワードグループに参画。
<島村誠一郎氏 Profile>
1990年にAIGに入社。マーケティングの企画実行、およびオペレーションなどの業務経験を経て、2010年にAssistant Vice President、2012年にVice Presidentに就任。2013年にAsurionに入社。Vice Presidentとしてクライアントの交渉戦略ならびにCorporate Strategyをリードする立場を経験し、2023年にマネーフォワードに入社。
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キャリア形成の鍵は、OSのバージョンアップと明確なテーマ設定によるコミットメント。
まず初めに、竹田さん・島村さんのこれまでのご経歴についてお聞かせいただけますか?
竹田:私は元々バンド活動に打ち込んでいましたが、2000年にITスタートアップでのインターンを経験し、志を共にする仲間と一緒に大きな夢に向かっていくベンチャー企業の情熱に惹かれてキャリアをスタートしました。以降、IT×ベンチャーの道を一貫して歩んできました。前職で同僚だった菅藤さんが立ち上げたスタートアップに経営メンバーの一人として参画していた中で、このプロダクトの価値を必要としているお客様に早く届けようと考えた時に、単独でやる以外の道もあるのではという判断に至って、2017年11月にマネーフォワードにグループジョインしました。当時のマネーフォワードは上場直後で組織が拡大し、事業フェーズが変わってゆく中での課題も多く、たまたま私が大きな組織のマネジメント経験があったことなどから、2018年2月からマネーフォワードの営業組織の責任者を任せていただきました。現在は、マネーフォワードのバックオフィスSaaS事業の責任者として、ビジネスカンパニーのCOOを務めております。
島村:私は、新卒でAIGに入社して約23年間ダイレクトマーケティングのカンパニーで経験を積みました。本社がアメリカなので、唯一の共通言語である数字を起点にすべてがコミュニケーションされるという非常に勉強になる環境でした。様々な経験を経て、最終的にはオペレーションのVice Presidentも務めさせていただきました。自分の専門は戦略とマーケティングですが、テクノロジー領域の経験が無いことを様々な局面で感じていた折に、クライスの棚澤さんからアシュリオンという会社を紹介いただき、10年ほどVice Presidentを務めさせていただきました。私も50代後半に差し掛かり、AIGとアシュリオンでの経験をもとに何か他にやれることは無いかと棚澤さんにご相談させていただいた時に、マネーフォワードの竹田さんと菅藤さんとお会いする機会があり、ご縁あって2023年の1月から当社にジョインしました。2023年6月からはマネーフォワードビジネスカンパニーのCROを拝命しております。
お二人がキャリアを築いていかれる上で、意識されていたことはありますか?
島村:スキルや能力という言葉を自分なりに置き換えて意識しているのは、人としてのOperating System(以下、「OS」)ですね。自身のOSをどのようにアップデートできるかという軸で考えています。AIGの時はダイレクトマーケティングでした。そこに、次のキャリアではテクノロジーの解像度を上げることによってOSがバージョンアップされるわけです。そうすると市場価値も広がり、自分の貢献範囲も広さと深さが加わっていく。今回マネーフォワードではSaaSと経理財務という経験の無い領域が新たにプラスされるので、更に貢献範囲が広がっていくという自分なりのOSのバージョンアップにつながると考えています。
竹田:仲間と共に世の中へ何か良い影響を与えられるか、普通に考えると実現できないような山を越えた時に、そこでしか見えない景色があって、それを達成した仲間と一緒に喜び合える瞬間がたくさんある人生の方が絶対良いなと思っています。つまり、夢や思い、誇りを持てるテーマであるかどうか。そのテーマが自分の中でちゃんと定まれば必然的にコミットメントが非常に高い状態になります。それがいつも意識している点かなと思います。
原体験としては、最初のインターンで入ったスタートアップの創業者や経営メンバーの姿ですね。同世代の人達が先頭に立って大きなチャレンジをしている姿を目の当たりにした中で、私もこの人達のとなりに並んで一緒にやれるようになりたいと思いました。では、この人たちは自分と何が違うんだろう?と考えると、彼らはみんな明確に自分自身のテーマを設定し、めちゃくちゃコミットしている。本当に寝食忘れるくらいの勢いでのめり込んで夢中になってやってる。心からやりたくて取り組むことって、楽しくて成長にも拍車がかかりますよね。そのあたりから、自分にとっては「テーマ設定」と「コミットメント」が鍵だなと感じていた気がします。
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自分の器では計れないレベルの方を、自社に迎え入れるチャレンジをしようと決めた。
島村さんがマネーフォワードへの参画を意思決定された決め手は何だったのでしょうか。
島村:私の最終的な決め手は3つですね。1つ目は、スピードです。私がご提案した内容を竹田さんが持ち帰られて、社内でコンセンサスを取り、次はこの人と会って欲しいというアレンジまでの一連の動きが物凄くスピーディーでした。2つ目は、経営課題の明確さです。他の企業では経営課題をお聞きしたときの答えが「この領域でNo.1になることです」等の抽象的な内容が多かったのですが、竹田さんのお話はかなり具体的でした。経営ゴールに対するAsIsに危機感を持っているのでこういうことをやりたいが、具体策から推進についてイシューを感じています、と見事なまでに解像度高く言語化されていたので、きっと課題に対する本質的な捉え方も深いのだろうなと。3つ目は、人です。竹田さんを筆頭に、皆さん見た目や言葉遣いに品があり、何より謙虚な方ばかりで驚きました。後から感じたことですが、クライスさんとマネーフォワードで共通しているのは経営トップのお人柄です。よく「経営者の魂は細部に宿る」と言いますが、それを地で行っている会社だなと感じました。
竹田:とても嬉しいですね。最初に言ってしまうと、私の2023年のハイライトは、島村さんとのご縁をいただいたことです(笑)。島村さんを初めて棚澤さんからご紹介いただいた時は、ご経歴もお人柄も素晴らし過ぎて、正直、当社に来ていただくなど恐れ多いというのが率直な印象でした。でも、棚澤さんが本当に粘り強く「いや、島村さんも御社にご興味をお持ちですよ」と何度もおっしゃるので(笑)、「今私が本当に悩んでいることを島村さんにお伝えするので、よろしければディスカッションしませんか?」とご提案したら、島村さんから非常にハイレベルなプレゼンをいただきまして。私はこの時の内容をすべてメモに残しており、未だに何回も見直しています。
とは言え、その期に及んでも採用に関してはちょっとわからないですねとお返事をしたんですよね。ただ棚澤さんにそれをお伝えした直後に、「いや、ちょっと待てよ」と考え直したんです。もしかしてこれこそが「自分を超える人を採用する」ということなんじゃないかと。自分の器では計れない方を迎え入れるチャレンジをしないとダメじゃないかと思い立って、すぐに経営メンバーの何人かと話をして島村さんにお会いいただきました。会った人たちは全員「間違いなく素晴らしい方だ」と満場一致でしたので、それならばと、事業価値を上げるための課題設定からお任せしたいというオファーを島村さんにお送りしました。島村さんにご入社いただいてからというもの、多くの学びをいただいていることはもちろんのこと、感動の連続でして、本当に感謝しています。
双方を存じ上げている私の直観で「このお二人が組むと良いのでは」とお引き合わせしたのですが、会食でも大変意気投合されていたので、このご縁をあきらめるのはもったいないというその一念でした。振り返ってみると、お二人とのお付き合いも長いですよね。
竹田:マクロミルで一緒にお仕事させていただいて以来のお付き合いですね。棚澤さんがマクロミルを辞めてクライス&カンパニーに行かれるのとほぼ同じタイミングで、実は私も役員を退任することになっていたんですよね。そんなことから、棚澤さんにお誘いいただいてオフィスに遊びに行ったら、クライス社長の丸山さんもいらっしゃって。いろいろと私のお話に耳を傾けてくださったあとで、おもむろに、求人票を出されて、「竹田さん、この会社ご興味ありませんか」と。すごいなと思ったんですが、その時丸山さんは求人票をいくつかプリントアウトされてお持ちになられていたんですが、上から二つ目の書類を出されたんですよね。私のお話を聴いた上でその場でご判断されてご提案くださったんだと思います。しかも、その会社の求人はRubyエンジニアだったんです(笑)。でも丸山さん曰く、「社長のこともよく知っているんだけど、この会社には経営にもう一人必要だと思っている。竹田さんは絶対合うと思うから、先方へ提案しようと思います。なので、一度会ってみませんか」と。これがプロの仕事かと思いましたね。実際私はそのご提案のおかげで、次の会社に経営者としてジョインすることになりました。
この体験を通じて「エージェントというのは、担当企業の経営や事業、組織を理解して、企業の人事担当役員の視点でその会社をどう強くするかという仕事をするものなんだ」と知り、感動したわけですが、そうして棚澤さんには次の会社の組織づくりを伴走していただき、経営チームのキーマンを多数ご紹介いただくなど大変お力をお借りしました。
島村:私が初めて棚澤さんとお会いしたのは、11年前ぐらいですね。私も転職したことが無かったので複数の人材紹介エージェントから話を聞いてみたのですが、あまり良い印象は持てませんでした。メール返信速度が非常に遅く信用できないことに加えて、表面的に人を理解しようとする傾向があるように感じました。それで、自分からも話を聞きに行こうと探していたら偶然クライス&カンパニーという会社を見つけて、面談に行ってみてお会いしたのが棚澤さんでした。棚澤さんは他のエージェントとは真逆の対応であり、メール返信のスピードも非常に速く、1回の面談で私の人となりを理解しようとせずに色々な局面で「食事でもしましょう」等の変化球を投げてこられるので、時間をかけて信頼関係を構築できたのではないかと思います。今でも食事やゴルフといったお付き合いが続いています。
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マネーフォワードは、世界に本気で価値提供できる数少ないチケットを持っている。
竹田さんが描いておられる、マネーフォワードの将来像についてお聞かせください。
竹田:個々人のお金に対する悩みや不安が軽減し、日々の暮らしの改善や夢が達成し、それを通して世の中が活性化して、さらに新たなチャレンジを生みだせる状態をつくりたいというのが当社の設立趣旨です。私もなにかのご縁で関わることになった方達が、少しでも幸せになるきっかけくらいにはなれたら良いなと思っています。そんな当社の人たちは非常にピュアな方が多いなとグループジョインした最初の頃からずっと感じています。皆が真剣に世の中に良い影響を与えたいという思いを持っているからこそ、そのためにどうしたら良いかという視点で、お互いにリスペクトが生まれて、共につくりあげてゆくスタンスになっているのだと思います。私は、会社にせよ事業にせよ、一番重要なのは人であり、個々の力が結集したときに組織として人数を超えるパフォーマンスが出せるかどうかがすべてだと思っています。当社はこれまで、そういう地盤や文化を丁寧につくってきている点が最大の強みであり、また面白さでもあり、可能性と言えるのではないかと思っています。
私が社会人になった20年前の頃は、世界の時価総額ランキングにIT企業は全く入っていませんでしたが、現在はビッグテックをはじめ、IT企業が軒並み上位を占めています。しかし残念ながら日本のIT企業はランクインしていません。私は、同じ時間を同じ業界で過ごしてきたのですが、世界から大きく遅れてしまっているんだと強く感じているわけです。ただ、そんな中で、マネーフォワードはそのランキングにチャレンジできる数少ないチケットを持っている企業だと思っています。マネーフォワードは、思い切り自身の器を超える夢に向かっていくチャレンジができる環境ではないかと思います。
最後に、CXOとしての転職を志す方に向けて、お二人からぜひメッセージをお願いします。
竹田:CXOは経営者ですから、そもそも「自分だったらこの会社をどう価値向上させてゆくか」という意思があって、面談の場はある意味、そのディスカッションする場や、そのための情報収集をする場だという前提があると思います。逆を言えば、その前提が無い人は経営者ではないと思っていて、その場合は機能を果たす部長の役割等をお任せする想定で面談をさせていただく形に切り替えることも考えられます。要するに、経営者かどうかという線引きとは、「課題設定を自らする人なのか」「誰かが課題設定したものを遂行する人なのか」という話かと思います。
島村:CXOのあるべき姿としては、企業の経営課題をもとに自分のバックグラウンドを使って何がやれるかという大きな文脈で考えながら解像度を上げていき、入社後の3ヶ月で何をやるか、最終的にはDay1が語れるぐらい具体的にイメージして面接に臨むことが求められると思います。私はマネーフォワード入社当初に「Day1から5週間でこういうインプットをいただくので、Deep Diveしたいポイントはここです。5週目に自分なりのアウトプットをします」とお伝えして、恐らく解決すべきはこの課題であり、取るべきアプローチはこれですというポイントを整理してプレゼンテーションをさせていただく形で進めていきました。それが現在の仕事の基本になっています。今回私は元々ポジションが無い中で採用いただいたので、自ら意味のある仕事を創りに行くという姿勢が重要だと考えています。
構成:神田 昭子
撮影:波多野 匠
- ※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。
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