ラクスル 取締役COO福島広造氏|クライス&カンパニーお客様の声

INTERVIEW
お客様の声 voice 03

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ラクスル株式会社 
取締役COO 
福島広造氏

インタビュアー:
工藤(弊社コンサルタント)


PROFILE

福島 広造氏(ふくしま こうぞう)
ラクスル株式会社 取締役COO

慶應義塾大学卒業後、ITコンサルティング会社を経て、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。BCGでは東京・ドイツケルンオフィスで勤務。プリンシパルとして、企業変革(主にDX)を担当。2015年7月、ラクスル入社。経営企画部長、印刷事業本部長を経て、現在は取締役。


ラクスルカルチャーにフィットする方との千載一遇の出会いを創出

工藤
初めに、貴社の採用でどのような課題があったのかお聞かせいただけますか?
福島
当社が未上場で知名度も低かった時期の採用は、ダイレクトリクルーティングがメインでした。すべて面談で私達が候補者の方にラクスルについて説明して理解と興味関心を高めていただく必要がありました。そのため、候補者の方の能力だけでなく、当社とのフィット感についても全部自分たちで確認するというのが当時の選考スタイルでした。年間10数名程度の採用であればそのやり方でも何とか成り立っていましたが、徐々に会社が300名規模に成長して採用規模も年間30名程にまで拡大する中で、事業責任者が連日採用面談に明け暮れる状態で事業に時間を使えないという課題に直面したことが、当社の採用を見直す転換期だったと思います。
工藤
その課題に対し弊社がご支援できているのはどのようなことでしょうか。
福島
工藤さんやクライスさんが素晴らしいなと思っているのは、候補者をご紹介いただく時点で当社とのカルチャーフィットの見極めができていて、ポジションフィットに集中できることです。ダイレクトリクルーティングの場合は、履歴書・職務経歴書から読み取れるのは能力が中心であり、そこからカルチャーフィットを見極めるのはとても難しいんですね。また、ラクスルの採用選考の特徴として、1000人スカウトするとして当社にフィットする方は僅か1人いるかどうかですので、マッチする方と出会う確率は相当低いと言えます。そんな中で、クライスさんがカルチャーフィットまで考慮して、当社に合う方を選んで紹介してくださっているのは本当に有難いです。
工藤
能力とカルチャーフィットの部分について、もう少し詳しくお聞かせください。
福島
そもそも面接で見極める必要がある要素として、能力、カルチャーフィット、ポジションフィットの3つがあると思っています。その中で、クライスさんから紹介いただく方の場合、能力とカルチャーフィットは工藤さんやクライスの皆さんが既に確認してくださっているので、私自身はポジションとのフィットを見極めれば良い状態になっています。ダイレクトリクルーティングは能力しか面接前に確認できませんが、クライスさんは能力に加えてカルチャーフィットまで終わらせてくれている感覚ですね。

特にクライスさんは、リーダーシップのポテンシャルがある人達をかなり確度高く紹介いただけている印象があります。残念ながら採用に至らなかったとしても、非常に良い方々が多くいらっしゃって、誰を紹介いただいたか鮮明に覚えています。我々の本当のリーダーシップ層の採用においては当社とカルチャーフィットがより重要になります。現時点のポジションニーズに合うかどうかというのは当社側の話ですので、最終的に採用に至ったかどうかに関わらず、そういう良い方を紹介してくださったことに価値があると感じています。
ラクスル株式会社 取締役COO 福島広造氏

リーダーシップ採用がボトルネックにならず事業を
成長させられるのは、クライスの存在があってこそ。

工藤
福島さんが考えられるエージェントの役割について、ぜひお伺いしたいです。
福島
私が考えるエージェントの役割とは、本来マッチングであるべきだと思います。私とエージェントの本当の違いは何かと言うと、私は1000人に会ってラクスルに合う人を見つけ出す必要がありますが、工藤さんは1000人に会ってラクスルに合う人はラクスルに紹介すれば良いし、別の企業に合う人はその企業に紹介すれば良いという、1000人に会った時に紹介できる企業のn数が大きいからこそ、マッチングプラットフォームとしてのエージェントが機能するものと考えます。
工藤
クライスが貴社の採用に関わることで、実現できたことがあれば教えてください。
福島
ラクスルの事業ポートフォリオを拡大していく時に、最大のボトルネックになるのはリーダーシップを担える人材採用なのですが、外部から採用して現在も活躍している事業リーダーの人達のかなりの割合がクライスさんからご紹介いただいた方々ですね。事業リーダーのレイヤーになると当社の選考ではなかなか内定が出ないという厳しい状況下において、事業ポートフォリオの拡大を担う私としては、リーダーシップ採用がボトルネックにならずに事業の成長を実現できるのは、当社でリーダーシップを発揮できる方々をマッチングしてくれるクライスさんの存在があってこそだと考えています。工藤さんやクライスの皆さんは、多くの方達とお会いする中で、「この人はラクスルに合いそうか」という当社とのカルチャーフィットを完全に理解してくれているのだと思います。
工藤
福島さんもそうですが、貴社では事業リーダーの方々が採用に非常にコミットされる点が特徴的ですよね。だからこそ、我々もよりラクスルさんについて理解が深まるため、適切なマッチングができるのだと感じました。
福島
そうですね。採用において、カルチャーフィットを確認した以降のフェーズは私達の仕事ですので、そこに自分達の時間を使わなければいけないと考えています。その我々が使う時間に対して、事前に見極めていただき、効率化していただけるエージェントは、非常に有難いなと思います。
ラクスル株式会社 取締役COO 福島広造氏

本来、エージェントは、キャリアを深く理解して転職前から相談できる存在であるべき。

工藤
今後、より企業と個人の最適なマッチングが進み、企業間の流動性が高まっていけば日本経済も良くなっていくと思うのですが、そのためには何が必要だと思われますか?
福島
大上段で言えば、キャリアという概念だと思います。シニアになればなるほど個人の使命や価値観が大事になってくる中で、世の中の仕組みの多くは未だに能力や職能ベースのキャリアになっています。ダイレクトリクルーティングも、「マーケター」「エンジニア」等の職能ベースで行われることが多いですよね。一方で、今の個人がどちらの方向に向いているかと言うと、「自分のキャリアにフィットするか」「将来的に自身が成し遂げたいキャリアパスに対してこの3年間をどのように位置付けるか」という形になっています。例えば事業開発の人もそうですが、さまざまな機能を経験してキャリアを形成していくような複合的なキャリアになっていくと思います。

おそらくエージェントと候補者の関わりの多くは、転職時に相談する関係であり、キャリアを常に相談する関係になっていないケースが多いと思います。理想的には、候補者のキャリアについて深く理解したうえで、キャリアに寄り添った選択を提示するために、転職する前から定期的に話す機会を持ち、「自分のキャリアがこのままで良いのか」「キャリアチェンジをした方が良いか」を相談する存在であるべきではないかと考えています。日本がそのような世界にシフトしていくのが10年後になると想定すると、キャリアエージェントのオポチュニティが非常に多くあるのではないかという気がします。

ラクスルでも、人事評価とは別のところで、個人のキャリアパスの中でどうやって価値を上げていくかということを議論しています。そこで別部署に異動することもあれば、多様な経験を積めるような機会を提供することもあります。キャリアの選択肢が増えて、個人の生き方の多様なパスができてきたこと自体は良いことだと思いますが、現状ではそのキャリアの歩み方についてアドバイスをする機能が十分に整っていないことが課題かと思います。
工藤
今のお話にはとても共感します。何より、福島さんが企業として人の紹介を受ける側でありながら、個人のキャリアを考えるという話が出てきたことがとても新鮮でした。
福島
入社後のパフォーマンスは、個人の実現したいキャリアとフィットしているかどうかによって大きく変わってきます。ラクスルの場合、入社後3年目以降くらいに大きなバリューが出て、そこから3年くらい経った頃にリーダーシップを発揮して非連続な価値を創出できるようになります。そう考えると、個人のキャリアへのフィット感が無ければ、最終的な事業価値には結びつかないですよね。その人が入社して3年間積んでもらうラーニングのスピードやドライブがかかるかどうかは、個人のキャリアとしてのラクスルの位置付けが明確になっているかどうか次第ですので、自身のキャリアとラクスルでのポジションがフィットした方に参画いただき、我々がその方に適切な機会を提供していければ良いと思います。
工藤
最後に、福島さんから今後のクライスに期待されることがあればぜひ教えてください。
福島
クライスさんは、大企業やプロフェッショナルファームからスタートアップに優秀な事業リーダーをマッチングしてくれる存在と認識していますが、今後はそのスタートアップに移った方達が数年後に別のスタートアップで経営人材としてキャリアの機会を探す時に、再び支援できるようになることも期待したいです。シリコンバレーはフェーズが変わればスタートアップの経営者がどんどん入れ替わるような世界ですが、まだまだ日本ではスタートアップの経営者が他のスタートアップへ移るようなケースは少ないですよね。ぜひクライスさんには、スタートアップの事業経営者の方々についてもフェーズに応じて流動性を持たせていくような支援ができるスタートアップのプロ経営者キャリアのリーディングカンパニーになっていただきたいと思います。

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