採用コラム

Column Vol. 72

候補者の受け入れ環境を整備せよ

これはと思った候補者を口説き、適切な水準の給与を用意し採用にこぎつけたものの、
期待したほどの活躍ができず短期間で退職してしまうことがあります。
 
その原因は候補者自身の問題が大きい場合もありますが、
候補者を受け入れる自社の体制に問題がある場合も多々あります。
 
はっきり言うと新しいチャレンジをしようとする候補者の足を引っ張る人物や
出る杭を打つ職場の風潮が存在したため、せっかく良い人材を獲得したのに
宝の持ち腐れで終わってしまうケースがあるのです。
 
このような事態を避けるには、優秀な人材が活躍できる環境を整える必要があります。
 
最近、私がお手伝いした事例をご紹介しましょう。
 
当社がご紹介した候補者を「どうしても欲しい」と気に入り、直接自社のビジョンを
語って口説き、良い条件のオファーを出して採用した社長がいました。
この候補者を入社させて、自社をガラリと変えたいと考えてのことでした。
 
しかし採用プロセスを傍から見ていた私には懸念が一つありました。
 
この会社には非常に保守的な考えの持ち主でネガティブな発言が多く、
他人の揚げ足を取りたがる役員が一人いたからです。
 
「せっかく候補者が入社しても、この役員に足を引っ張られるんじゃないか……」
 
しかし、私の懸念は杞憂に終わりました。なんと社長がこの役員を解任したからです。
 
「丸山さん、役員の○○は3月末で退任してもらうことになりました。
懸念をお持ちだったとおうかがいしていますが、どうかご安心ください」
 
社長はそうおっしゃっていました。もちろん候補者に活躍してもらうためだけではなく、
他にも諸々の要因が解任の背景にはあったとは思いますが、
こうした問題をうやむやにする経営者も少なくない中で素晴らしい決断をされたと思いました。
 
保守的な役員を解任したこの会社がその後、どうなったかというと、
1年半の間に売上が2倍以上になり、新たにCTOとCFOを採用し、上場準備に入りました。
 
社長の目論見通り、一人の優秀な人材が入社することによって劇的に会社が成長したのです。
 
やはり会社をガラリと変える力を持つのは採用です。
教育研修も大切ですが、効果が表れるまでには長い時間がかかります。
 
会社を伸ばすも転ばすも採用次第であり、このケースでは既存の役員を解任してでも
優秀な人材に活躍してもらうという社長の意思と情熱が飛躍につながったのだと思います。
WP_Post Object
(
    [ID] => 1437
    [post_author] => 4
    [post_date] => 2016-12-01 06:58:00
    [post_date_gmt] => 2016-11-30 21:58:00
    [post_content] => 
私がリクルートで採用業務を担当していた時代、採用部門は創業者である江副浩正社長の
直轄部隊に位置付けられていました。
 
江副さんは企業の成長において採用がいかに重要かを顧客に説くだけでなく、
自社でもそれを実践し自ら採用の先頭に立っていました。
 
お金のかけ方も半端ではありませんでした。
 
当時、リクルートが人工衛星を購入し、朝日新聞や日経新聞など大手新聞の一面に
大きく取り上げられたことがあります。
掲載されたのは8月で、採用活動真っ盛りの時期。これは意図してやったことで、
採用活動がピークの時期に話題をつくり注目を集めるために購入したのです。
 
おかげで我々採用担当者は非常にやりやすくなりました。
費用は10億円かかったと聞きましたが、採用への効果を考えれば「そんなの、安いものだ」と。
なお、人工衛星の使い方もちゃんと決めないままの購入だったそうです。
 
その頃のリクルートは1000人を新卒採用するために、採用費をおよそ80億円使っていました。
1人あたり実に800万円かけた計算です。中途採用についても計算してみたことがありますが、
1人あたり約2200万円の採用費をかけていました。
 
そうやって莫大な採用費用をかけた結果はどうなったか。
もう創業から50年以上が経過した現在も、
リクルートは時代の先端的な領域で高収益なビジネスを展開しています。
 
それは多大な手間と費用をかけて採用した優秀な人材がいま活躍しているからで、
江副さんの採用戦略は成功だったと言えます。
 
このケースは極端ですが、やはり優秀な人材を採用しようとすれば
それなりに費用がかかるのは確かです。
もちろん給与を大盤振る舞いせよという話ではなく、自社の都合だけを押し付けていると
ずっと欲しい人材を採用できなくなってしまう、ということです。
 
相手の希望水準と、自社の出せる水準、そして転職市場における適正水準のなかで
落としどころを探らなければなりません。
 
人材に関して「安くて良い」は超若手を除き、基本的にあり得ません。
給与がすべてではありませんが、良い人が欲しいなら良い給与を出さなければダメです。
もしその原資がないのなら、社長が自分の給与を削ればいい。
 
あるベンチャー企業の社長が、我々が紹介した外資系企業に勤務する候補者を
非常に気に入ったことがありました。
ただ、採用予算は500万円なのに対し、候補者の年俸は600万円。
しかも他のITコンサル会社から700万円のオファーが出ていました。
 
「本当にこの人が欲しいのなら、最低でも700万円出さないと来ません。
出せるなら800万円出したほうがよいですよ」
 
私がそうお伝えしたところ、なんと社長は会長と話し合い、
自分たちの給与を100万円ずつ削って700万円のオファーを出しました。
多額の設備投資が必要なビジネスで会社はまだ赤字でしたが、
どうしてもこの人が欲しいと考えたためでした。
 
そんな経緯もあって、候補者はこのベンチャー企業への入社を決意しました。
結果、この候補者の活躍ぶりは目覚ましく、「彼の入社によって会社上場が1年早まった」
と社長は高く評価しています。
 
給与水準は会社規定や他の社員とのバランスも大切ですが、
「絶対に欲しい」という人が現れたら先払いするくらいの感覚で、
なんとか工夫して出すべきだと思います。
[post_title] => 「安くて良い人材」は存在しない! [post_excerpt] => [post_status] => publish [comment_status] => closed [ping_status] => closed [post_password] => [post_name] => 71 [to_ping] => [pinged] => [post_modified] => 2016-12-01 06:58:00 [post_modified_gmt] => 2016-11-30 21:58:00 [post_content_filtered] => [post_parent] => 0 [guid] => https://www.kandc.com/kc-saiyo/column/71/ [menu_order] => 0 [post_type] => column [post_mime_type] => [comment_count] => 0 [filter] => raw )
arrow 次の記事へ (Vol.73) arrow 一覧に戻る 前の記事へ (Vol.71) arrow