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“師匠”との出会いが成長を加速させる

コンサルタント入江 祥之

人の成長は「誰と出会うか」で決まる

人が大きく成長するタイミングには、いくつかのパターンがあります。強烈な成功体験や失敗体験のように、内発的に得られる気づきもありますが、もう一つ見逃せないのが“人”との出会いです。なかでも、成長企業や人材輩出企業に共通するのが、優れた経営者や幹部など、いわば“師匠”と呼べる人材の存在です。彼らとの出会いが、その後のキャリアの角度を大きく変えていることは、日々の面談を通じて実感しています。実際、優秀な方のキャリアエピソードの中に「この人との出会いが自分を変えた」「あの人の背中を見て成長できた」といった“師匠”の存在が登場することは少なくありません。

特に20代から30代前半にかけての時期は、素直さと吸収力に富み、外部からの影響を受けやすいタイミングです。このフェーズでどんな環境に身を置くか、誰のそばで仕事をするかは、将来のキャリア形成にとって極めて重要です。世の中では「何をやるか」が注目されがちですが、「誰と働くか」という視点も、長い目で見たときの成長において、実は見過ごせない要素だと感じます。

“現役感”ある師匠がもたらす学び

一方で、経営者や経営幹部が“師匠”になり得るのは、彼らがまだ現役バリバリで働いている時期に限られます。たとえば、経営会議で本質を突いたコメントを発する、クライアントとの重要な商談に自ら同席する、事業戦略の細部に深く関与する、時には手足を動かして現場に入る、資料やメールの文面まで細かくフィードバックする──そうした“現場で実際に動いている”リーダーの姿に直接触れられるかどうかは、大きな学びを得られるかどうかを左右する重要な要素となります。

言い換えれば、現役感があるかどうか。肩書きだけが“社長”でも、実質的には組織が成熟し、本人はもはや全体のマネジメントから一歩引いているようなフェーズでは、そこまで大きな学びは得られません。そういう意味で、企業がまだ伸び盛りのフェーズにあり、経営者が現場とダイレクトに接点を持っている時期こそが、絶好の学びの場になります。

実際、ハイクラス人材のマーケットを見ていても、創業期~成長期にかけて、経営者のそばで密に働いていた人材は非常に高く評価される傾向にあります。逆に、同じ企業であっても、成長の踊り場や安定期に入ってから入社した人材については、「そのフェーズになってしまうと学びの機会が限られていたのでは」と見なされ、評価が低くなってしまうこともあります。それほどまでに、「誰のもとで」「どんなフェーズで」働いたかは、人材価値を語る上で重要な情報なのです。

転職は“師匠”に出会う絶好のタイミング

優秀な方ほど、転職活動は“逆ドラフト”のような状態になり、多くの経営者と直接会える機会に恵まれます。もしある程度の時間を確保できるのであれば、求人票や条件面だけで判断するのではなく、できる限り魅力的な経営人材との面談機会を設けてみることをおすすめします。そのうえで、「この人と働けば、今の自分を超えられるかもしれない」という視点を持って面談に臨むことが、キャリアにとって大きな意味を持つはずです。

“師匠”とは、必ずしも人生すべてを導いてくれる存在ではなく、自分にとって何か一つでも強い影響を与えてくれる人であれば十分です。その視座やスキルに触れるだけで、自分の考え方や行動に非連続な変化が生まれることもあります。社内にそうした存在が見つからない場合は、社外にメンター的な人物を持つのも一つの選択肢です。

最後に

これは裏返しの話ですが、逆に「一人で何とかなる」と思ってしまっている方や、「自分のスタイルでやりたい」と考える方に限って、伸び悩んでいるケースも少なくありません。師匠を探す、というのは自分をもっと成長させたいという強い意志の表れでもあり、ある種の“謙虚さ”でもあります。だからこそ、師匠との出会いは、成長の出発点となるのだと思います。

転職やキャリアの選択において、「どんな仕事をするか」「どんな会社か」という視点はもちろん大切です。ただそれだけでなく、「この人と働いたら、自分はどう変われるか」という視点を持つことができれば、キャリアの景色は大きく変わるはずです。

次のキャリアを考えるとき、ぜひ「師匠探し」という視点も持ってみてはいかがでしょうか。

(2025年7月23日)

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