Facebook
中長期キャリア相談 転職相談
求人情報
中長期キャリア相談無料 転職相談無料

経営幹部・CXO採用が上手い会社は何が違うのか?

コンサルタント入江 祥之工藤 直亮

初回の面接から社長が出てくる会社vs人事担当者任せの会社

 世の中には経営幹部やCXOの採用がうまくいっている会社と、明らかにそうではない会社が存在します。ここでは会社やオファー内容は魅力的であることを大前提として、両社にどんな違いがあるのか見ていきたいと思います。

 まず、採用プロセスから見ていくと、経営幹部・CXO採用がうまくいっていない会社は、一般社員の採用プロセスと同じやり方をしていることが多いです。つまり最初にマネージャーが面接し、次に部長クラス、最後に社長や経営幹部と、だんだん会う相手のポジションが上がっていく形です。

 しかしうまくいっている会社はまったく逆で、最初から社長や経営幹部が出てきます。これは経営陣が経営幹部・CXO採用を非常に重視しているためで、優秀な人材は引く手あまたですからいち早く自分たちの目で評価し、採用すべきと判断したら全力でアトラクトをしにいきます。

経営幹部・CXO候補の立場で実際にそれぞれのプロセスを体験した人は、両社の採用力の違いを実感するはずです。

たとえば優秀な経営幹部候補であるAさんが、X社、Y社の2社で面接を受けたとします。X社は最初の面接で社長が出て、Y社では人事担当者が応対しました。

X社では最初から社長がこちらの聞きたいことに全部その場で答えてくれた上、採用すべき人材と評価されたためか、トップ自ら一生懸命自社のビジョンや理念、事業について語りかけ、アトラクトが行われました。

 一方、Y社ではAさんからの質問に対し、人事担当者の立場では答えられないことが含まれ、「現場の者に確認したうえで次回返答します」との回答に留まりました。アトラクトも十分には行われません。

 人事担当というのはやや極端な事例ではありますが、このような違いが生まれる可能性があります。さらに、優秀な人材であれば当然、採用力の重要性を理解していますから、「このやり方ならよい人材を採用できるだろう」とX社に将来性を感じます。

一方、Y社には「こんなやり方ではよい人材を採用できない」と将来性を見出せず、それ以降の選考を進めないという判断になる、もしくは仮に選考を進めて内定を出されても辞退という結果になりやすくなります。優秀な人材はスケジュールの確保も難しい為、初回の面接でジャッジすることも珍しくありません。

自社に必要な人材の言語化ができているか?

 経営幹部・CXO採用の巧拙を分けるポイントとしては、「求める人材の言語化」もあげられます。

 現在の経営課題がどのようなもので、それを解決し事業を成長させるためにどんな経験やスキルを持った人材が欲しいのかが明確に言語化されていないと、我々のような人材紹介会社に採用を依頼してもニーズに合った人材を探すことができないし、アトラクトもできません。

人材に対しては、その人が優秀であれば優秀であるほど「こういう経営課題で困っているので、だからこそ、あなたの力を貸してほしい」と伝えたほうが「自分の経験やスキルで貢献できそうだ」と判断ができ、モチベーションも上がります。現状の課題感や自社のアセット、強み、今後の事業構想まで語れた方が解像度も高まり、魅力を感じやすいのです。

ところが「よい人がいたら欲しい」と言語化をしないでいると、声をかけられた候補者も「その会社に私、必要ですか?」という反応になってしまいます。

 最近、よく見かける求人の形態として職種や業務内容が決まっていないオープンポジションがあります。要は「いい人がいたら採用するので来てください」というもので、こうした枠組みを用意してもいいとは思いますが、やはり経営幹部・CXO採用の基本は自社の経営課題を認識したうえで、どんな人材を採用する必要があるかを言語化するところから始まります。

 このように求める人材の言語化をせずあいまいなまま、あるいは前述した社長や経営陣が最初から候補者と会わず、経営幹部・CXO採用がうまくいっていない会社に共通しているのは、採用に対する経営者の本気度に疑問符が付く点です。

 我々がクライアント企業とお話をしていると、ほとんどの会社が「採用は経営の最重要課題である」という趣旨のお話をされます。ただし、その言葉に行動が伴っているかといえば、企業によって極めて大きな差があるのが実情です。

 次回はこの経営幹部・CXO採用に必要な経営陣のマインドセットについてお話をしたいと思います。

(2025年5月9日)

ベストなタイミングで最高のオファーを。今から準備をはじめませんか?