声が掛かる人
コンサルタント 入江 祥之
公開日:2019年7月20日
日々の面談において、過去の転職経緯を伺うと、自発的に転職活動を行なって転職されているケースもあれば、他者から声を掛けられて転職されているケースもあります。
声を掛けられて転職されているケースとしては、古くからの友人・知人・クライアント・パートナー企業等から請われて転職されるケースもあれば、業界で名の知れた方の場合、直接接点がなくても共通の知人経由でアプローチを受けるケースもあります。
最近では出戻りの事例も増えています。先日伺った珍しいケースとしては、独立した後に前職の社長に仕事が欲しいとお願いして、自分の会社を続けながら、グループ会社の社長を任されている方もいらっしゃいました。
また、先日、コンサルからベンチャー企業へ移られた方にお話を伺う機会があったのですが、その方は年収をだいぶ落として移られたようですが、全くリスクは感じなかったと仰っておられました。たとえ失敗しても頭を下げれば元のコンサル会社には戻れると思いますし(それだけの成果は出したつもりですし)、事業会社やベンチャーでの経験は将来的にコンサルに戻ったとしても絶対に生きるはずだと。実際、コンサルから事業会社に移ってからコンサルに出戻りしてパートナーになられるケースをよく見かけるようになりました。
最近感じることは、上記のように声が掛かる人や出戻りできる場所がある方々は攻めのキャリアを歩んでいるということ。転職先を探す上でもリスクを取れますし、現職においても上司の顔色を窺ったり、会社に依存することなく、のびのびとチャレンジできるので、それが成果につながり、さらに良い好循環を生んでいるように感じます。
一方、採用する企業側の側面では、以前、このようなお話を聞いたことがあります。あるPEファンドの代表が、「経営者選びは本当に難しい。本当に良い経営者を採用できる確率はイチローの打率よりも低い」と。見知らぬ人の採用はどんなに面接スキルに長けていたとしても、最終的には入社してみないと分からず、ある種、賭けみたいなところがあります。しかし、一緒に働いたことのある人であれば、既にお互いに関係性も構築されているので、確実性が高く、断然安心感があります。
特に若い方からの質問で多いのですが、「今からやっておいた方が良いことはなんですか?」、「市場価値を高めるためには何をすべきか?」と聞かれることがあります。この時、質問者の期待する答えではないと分かりつつも、最近は「目の前の人達への最大バリュー、結果を出すことに尽きるかと思います」とお答えしております。
市場価値とは当たり前ですが、市場でどれぐらい価値があるか、必要とされるかだと思いますので、簡単なことではないですが、地道に目の前の人達の期待に応え続け、『声が掛かる人』になれると良いのではないかと思います。
(2019年7月20日)