採用コラム

Column Vol. 26

「話の聞きっぱなし」「突っ込みどころの間違い」に気を付けよう

「面接で聞いてはいけないこと」はいくつかあります。出身地や信仰している宗教、親の仕事等々、社会的差別の原因になるおそれのある事項や思想、信条などに関わる事項などがそれに当たります。

しかし、それらを除けば基本的に聞いていけないことはありません。面接に遠慮は禁物で、聞きたいことは聞いたほうがよい。ただし、注意の必要なことがいくつかあります。「話の聞きっぱなし」「突っ込みどころの間違い」がそれです。

こちらの質問に対して相手の答えがあり、必要に応じてさらに突っ込みを入れていくのが面接です。相手に対する興味のエネルギーを高めた状態で話を聞き、質問していれば応募者も「この人は私の話をちゃんと聞いてくれている」「私の言いたいことをよくぞ聞いてくれた」と感じ、話は盛り上がるものです。

ところが応募者が重要なポイントを話しているのに、話を聞きっぱなしで次の質問に移ってしまえば「この人は私の話を理解していない」と感じ取られてしまうでしょう。突っ込みどころがおかしくても同様です。1回そんなことがあっても致命傷にはなりませんが、それが何度も続けば、「この面接官、大丈夫かな?」と不信感を持たれてしまいます。関係構築に失敗したら面接はうまくいきません。

「話の聞きっぱなし」「突っ込みどころの間違い」が起こる根本的な原因は、相手の話を聞いていないからです。それが起こりやすいのは相手への興味のエネルギーが低いとき、そして「次に何を質問しようかな」と考えているときです。前者については説明の必要はないでしょう。後者はどういう場合に起こりやすいかというと、「面接官が応募者に負けているとき」です。

具体的には応募者のほうが学歴、経歴、実績などで圧倒的に上、あるいは自分たちよりもずっと上位の会社の社員の場合です。こういうときは「相手を理解しよう」というエネルギーよりも「相手によく思われたい」というエネルギーが高まり、得てしておかしな面接をやってしまいがちです。採用のジャッジをするのは面接官のはずなのですが。

当社でも現場の若い社員から「社長、凄い人が来るので面談に同席してもらえませんか」と頼まれることがあります。「何びびっとるねん、経験のあるプロが面談するんだから自信を持て!」と突き放しますが、その気持ちはわからなくもありません。

私もかつてリクルートで中途採用の面接官をやっていたとき、圧倒的な実績をお持ちの方が来たときは確かに緊張しました。この緊張感を持って面接に臨むことは非常に大切なのですが、それを自分に向けると間違いが起こります。

面接では相手が誰であれ、あくまで応募者を理解しようとする方向に自分の意識を向けなければいけません。

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採用面接でよい質問をするコツがあるとすれば、応募者に対する「興味のエネルギー」を高めることです。その人に対する興味が高まると、その人を理解する上で役に立つ質問が自ずと湧いてくるものです。

では、どうやって興味のエネルギーを高めるか。それには相手をよく知ることで、採用の場合、具体的には応募者の書類をよく読むことです。何も知らない相手にあまり興味は湧きませんが、書類を通じてその人の経歴ややってきた仕事の内容を知れば「なぜこの人はこの選択をしたのだろう」「なんでこんな成果を出せたのか」と次々に興味は湧いてきます。さらに応募者が勤務している会社や業界まで興味の幅を広げると、いろいろなことがわかってきます。

そもそも書類選考をクリアして面接に至っているわけですから、応募者に対しては何らかの興味を持っているはずです。そこを起点に興味のエネルギーを上げていきましょう。書類選考のジャッジを人事部ではなくラインが行っているような場合でも、ラインの人が応募者のどこに魅力を感じたかは聞いているはず。そこに対して興味のエネルギーを上げていくべきです。

興味のエネルギーを上げる目的は、よい質問をするためだけではありません。B to CはもちろんB to Bの会社でも、今日の応募者は明日のお客様です。ご縁のあるなしに関わらず自社に好印象を持って帰ってもらわなければなりません。昔は面接官が偉そうな態度で圧迫面接を行うことが少なくありませんでしたが、いまそんなことをすれば一気にネットで悪評が広がります。圧迫面接までいかなくてもやる気のない面接をしたり血の通っていないやり取りをしたりすれば、応募者に悪印象を与えてしまいます。

自社へ良い印象をもってもらうカギになるのは、面接官の応募者に対する興味のエネルギーの高さです。自分に興味を持ってくれた人に対し、人は決して悪い印象を持ちません。最低限のマナーとしても興味のエネルギーを高める必要があります。

私は弊社にエントリーいただいた候補者に対しても同様のことを言っています。当社で候補者向けに実施している「コミュニケーショントレーニング・面接バージョン」では、必ず最後に次のように伝えます。 「まだ得られる情報がホームページやネットに限られている面接前の段階では、ブランド企業でもない限り、それほど相手の会社のことは好きになれませんよね。お見合いでも仲人から写真と評判を伝えてもらった段階で、相手をそんな好きにはなれないでしょう。でも、無理矢理でいいからその会社を好きになって面接に臨んでください。会社を好きになれば面接官の人も好きになり、自然に笑顔が出て、自分を理解してもらおうというパワーが上がります。これが面接で成功する秘訣です」

こういう話をすると「面接はもっと冷静に、客観的にやるものではないか」と言う人がいるかもしれません。しかし面接は応募者を理解した上でジャッジする場。理解の段階では興味のエネルギーを上げ、ジャッジの段階で冷静になればよいのです。しっかり相手を理解することが、正しいジャッジにつながることを忘れてはなりません。

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