採用コラム

Column Vol. 20

正しいジャッジには何が必要か?

採用面接とは何をする場か、と問われたら何とお答えになるでしょうか。

その答えは応募者をジャッジする場に他なりません。ところがこの認識が強すぎるせいか、面接の場でジャッジだけを行おうとして、採用であまりよくない結果を招いているケースが見られます。

最近、よく弊社にエントリーされた候補者の中で話題になるのがトンデモ面接官。「もし、君が地球上に1人になったらどうするか」「蚊はどうして殺していいのか」などとわけのわからない質問をする面接官がいるのです。コンサルティング会社では「東京都の電柱の数を推定せよ」といったフェルミ推定を出題し論理力や思考力などを見ることが知られていますが、それとは異なりトンデモ面接官は思いつきレベルの質問を浴びせるだけです。

なぜそんな質問をするのかと意図を確認すると、「対応力を見るため」、「どれだけ気の利いたことが言えるかを試した」などと一応、本人なりの狙いはあるようです。しかし、そうした質問は「優秀な人材」や「自社に必要な人材」を見極める質問として的外れであるばかりか応募者を困惑させ、ひいては「あの会社の面接官は……」と会社の評判を落とす結果にもつながりかねません。

面接官がわけのわからない質問をしてしまう理由は、いきなり相手をジャッジしようとするためです。つまり何らかの質問を行い、その答えを見れば採用すべき人かどうかがわかると考えているからです。まず質問ありきの面接、と言ってもよいでしょう。

しかし、そんな質問で応募者を見極められるほど面接は簡単ではありません。適切なジャッジを行うためには、ジャッジする前に応募者がどういう人かをきちんと理解する必要があります。そして十分に理解するためには、お互いに腹を割って話せるような応募者との人間関係を構築しなければなりません。

前回、当社で①関係構築力②理解力③ジャッジ力という三つの能力についてトレーニングを行っていると書きましたが、面接や候補者との面談をうまく行うためにはこれら三つの能力がトータルで必要です。

面接での質問は主に相手を理解するために行うものです。ジャッジを行うのはその後。もちろんジャッジ用の質問もあり得るでしょうが、面接の大半は応募者の理解に費やされるべきです。そうでなければ十分な材料を入手できないままジャッジを下さなければならない、という状況に陥ります。

裁判官が積み上げられた証拠に基づいて判断を下すように、ジャッジを行うにはその根拠となる材料が必要です。人の採用においてその重要な材料となるのが、面接でのやり取りを通じて得られた応募者に対する深い理解です。この点を間違えてはいけません。

では、どうすれば面接の場で応募者を深く理解することができるのか。その方法を次回からご説明していきます。

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「面接をうまくやるにはどうすればよいか」というご相談をよくいただきます。うまい面接とは何かと考えると、優秀な人材を見落とさずに採用する。あるいはミスジャッジをして採ってはいけない人を採用しない、ということになるでしょう。ところが、実際にはこれが非常に難しい。

面接についてはいろんな人がいろんなことを言っていますが、その方法を一般化することはなかなか困難です。多くの会社の面接評定表を見る機会がありますが、ある会社ではうまくいったものでも別の会社ではまったく使えなかったりします。しかし、それでも面接の腕を磨いていかないと自社の採用レベルは向上しません。

私はリクルート勤務時代に多くの社員の採用に携わり、現在は自社社員の採用面接に加え、当社からお客様企業にご紹介する候補者の面談も担当し、お客様に自信をもって推薦できる人材かどうかのジャッジを日々行っています。それでもなお「すべての会社で通用するベストの面接方法」を提示できるとはとても思えませんが、今回からのシリーズでは私がどのようなことに留意しながら採用面接や弊社にエントリーいただいた候補者との面談を行っているのかをお伝えし、皆さんの面接をうまく行うためのヒントを提供できればと思います。

人材紹介業を営む当社では、我々がお客様企業に成り代わり面談で一次スクリーニングを行っています。つまり、お客様が中小企業であれば社長面接の一歩手前、大企業であれば一次面接を私たちが代わりに行いジャッジしているという側面があり、その責任は非常に重大です。判断を間違えれば即座に信用を失ってしまいますから、私たちは面談のトレーニングを恒常的に実施しています。

面談にはいろいろな側面があるので、トレーニングするにはきちんと分けて考える必要があります。現在のところ当社では次の三つに分類しています。 ① 関係構築力 ② 理解力 ③ ジャッジ力

候補者との良好な関係を構築し、相手のことをより深く理解し、適切にジャッジする。ジャッジはときに複数企業を想定して行うこともあります。一回の面談でこれら三つの行為を行うわけですが、その境界線はきれいに引かれているわけではなく、ごちゃごちゃと入り組んでいます。たとえば関係構築の局面は面談の最初にアイスブレイキングをして緊張感を解きほぐし、場を柔らかくするといったことに加え、相手を理解する場面でもジャッジしている場面でもずっと続いていきます。

このように私たちの面談には複数の側面があり、その境界線もあいまいです。これは本来、一般企業の採用面接でも同様のはずですが、「面接とはジャッジすることだ」という認識しか持っていないため、ジャッジだけしかしようとしない採用担当者が少なくありません。それが優秀な人材を逃したり、ミスジャッジを招いたりする原因になっているのですが、意外とまだ多くの方が気付かれていないようです。

次回は採用面接でジャッジだけ行おうとする誤りについて、詳しくご説明しましょう。

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