採用コラム

Column Vol. 51

中途採用者の活躍を促進する「スーパービジョン」とは?

苦労して採用した人材がなかなか戦力に育たない。
実力を評価して採ったのに期待値に達しない。
そんな経営者の悩みをおうかがいすることがあります。

しかし、「即戦力だから」といって中途採用した人材をポンと 現場やプロジェクトに入れるだけで、すぐに成果が出るほど簡単ではありません。
エグゼクティブは別ですが、自力だけですぐに成果を出せる人は本当にまれです。
中途採用したらそれで終わりではなく、自社にフィッティングさせる努力なしに 新戦力の活躍はないのです。

中途採用者をどう自社に定着させ、早期に戦力化していくか。
今回からは「新人のフィッティング」というテーマについて考えていきましょう。

当社でも中途採用を行っているのでフィッティングは大きな課題です。
これを解決するために実践して、非常に有効だと感じている取り組みがあります。
それは社員が社長の私と仕事にまつわるさまざまな話ができるという制度で、 当社ではこれを「スーパービジョン」と呼んでいます。

スーパービジョンとはもともとケンブリッジ大学等で実施されている教育法のことで、 若い先生たちが寄宿舎で学生に行う個人指導のことです。
私は藤原正彦さんの著書を読んで知ったのですが、 ケンブリッジにいるノーベル賞を受賞した先生たちの授業は非常に難解で、 普通の学生にはついていくのが難しい。
そこでスーパービジョンを行うことで学生たちは授業を理解できるようになり、 ケンブリッジの高度な知的水準を支える重要な要素になっているそうです。

ケンブリッジの制度にヒントを得て始めた当社のスーパービジョンは、 始業前の時間帯に1回20分の枠を週に8回分用意し、基本的に社員の申込み制で実施しています。
社員は誰でも申し込めますが、新人については毎週1回、入社後3か月間は必須にしています。

新人の頭の中はクエスチョンマークだらけです。
わからないことや以前の職場の常識とは異なることが多々発生し、 違和感をおぼえることも少なくありません。
それらについて「それはこういうことだよ」と説明してあげると、 新人の頭は非常にすっきりします。

同業他社から転職してきた人で、一生懸命仕事をしているのに なかなか成果が上がらない新人がいました。
前職では求人開拓に注力していればよかったのですが、 当社では自分で候補者開拓もする必要があるという違いがあり、 それを頭ではわかっていたのですが身体がついていかなかった。
そのため彼は成果が出ずに悶々として、ますます求人開拓に邁進するという おかしな状況に陥っていました。

そこでスーパービジョンの際に 「うちでは前職とは違い、こういうやり方をする必要があるよ」と説明してあげると、 彼は「なるほど!」と気付き候補者を必死で探すという動きに舵を切りました。
その結果、成果もあがるようになってきました。

このケースのように些細なことに引っかかっていたり、 背景を知らないために仕事のやり方に違和感を持っていたりすることが新人にはよくあります。
しかし背景まで含めてきちんと説明してあげるとストンと腹落ちし、 業務の進捗がはかどるようになって成果も出やすくなっていきます。

当社での取り組みがフィッティングのヒントになれば幸いです。

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中途採用を久しぶりに再開した会社でよく起こりがちなことに、「採用プロセスを進めるスピードが遅い」があります。昔、採用を担当していた方が再び担当者になると、以前の感覚で仕事を進めるため、現在の採用環境においては相対的に遅いという事態が発生するのです。「遅い」が採用活動の大きなマイナスになることは、以前、このメルマガでも触れた通りです。

そんなとき、私たちは失礼にならないように「もう少し速くしていただいたほうが、よい採用ができる可能性が高まります」とお伝えしますが、「そうしたいのは山々ですが、いろいろ社内の事情が……」と言われることがあります。そうなると、結果としてよい人材の採用は困難になってしまいます。

この「社内の事情が」というフレーズが出てきたら要注意です。ビジネスの根本はライバルと競争してお客様を獲得することで、そのためには当然、自分たちよりお客様の都合を優先しなければなりません。採用もこれと同じで競争ですから、候補者をメインの位置に置かないとライバル企業にさらわれてしまいます。

ただ難しいのは「社内の事情」を優先している事実に、自分たちではなかなか気付けないことです。実をいうと弊社でもそんなことがありました。

少し前まで弊社では土曜日の候補者面談を実施していませんでした。月曜日から金曜日まで思い切り働いて、週末はしっかり休もうと考えていたからです。ところがある時期から「弊社は土曜日休業です!」というと、同業の人から「本当ですか!」驚かれるようになりました。

気になっていろいろ聞いてみると、外資系コンサルティング会社で働く多忙なコンサルタントなどはどうしても土曜日しか動けないので、土曜日に面談を行っているとのことでした。また、メーカーのエンジニアは都心から外れた場所にある研究開発施設で働いている人が多いので、やはり土曜日しか面談ができない。

というわけで、遅ればせながら弊社も土曜日も面談することにしました。さきに偉そうなことを言いましたが、自分たち自身が自社の都合を優先し、マーケットを無視していたのです。もし気付いていなかったらと考えると、非常に恐ろしい。

やらない理由もできない理由も探せば山のようにあるので、社内事情を優先させていることを自覚するのはとても難しいのです。したがって「社内事情を優先させていないか?」と自社を常に見直す視点を持っておかないと、人材獲得競争に負けてしまいます。

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