採用コラム

Column Vol. 46

「勝つ人事」は経営者との距離が近い

優秀な採用担当者の共通点は、視点の高さにあります。要は一介の人事社員でも自社のビジョンについて情熱的に、しっかり語ることができるのです。

自社がどこを目指し、何を行おうとしているのかを情熱をもって人事担当者が語れるのは、トップとの距離が近いからです。経営者と人事の距離感は企業によってかなり異なり、よい採用担当者は経営者に近いところで仕事をしています。

採用担当者が社長とよく話をしていなければ、よい人材は採用できません。採用とは社長のビジョンを実現するにあたり、社内の人材だけでは足りないから行うものです。したがってよい採用には社長のビジョンの理解が欠かせず、社長とよくコミュニケーションがとれている必要があります。

とくに中途採用における「よい人材」の条件は、経営環境の変化によってコロコロ変わります。その時々における自社にとってのよい人材を、採用担当者はタイムリーに把握しているかどうかが問われます。

力不足の採用担当者はこの点が弱く、把握しているよい人材の情報が古いという事態がよく発生します。これが如実にあらわれたのがリーマン・ショックのときでした。

リーマン・ショックのような緊急事態が発生したら、よほどの事情がない限り中途採用を行う会社はありません。それにも関わらず「しばらく中途採用をストップします」と我々エージェントに連絡してきた会社は3割程度でした。

残りの会社は採用活動をそのまま継続していましたが、ふたを開けてみると受注額はリーマン・ショック前の3分の1程度に激減しました。

何が起こっていたのかというと、どの会社も経営陣はリーマン・ショックを受け、中途採用は当然ストップだと考えていました。ところが社長や経営陣とコミュニケーションがとれていない採用担当者は上から何も言われないので、そのまま採用活動を続けていたのです。
そして最終面接段階まで話が進むものの、「こんな時期に採用なんかできるか」ということで社長にバサバサ落とされる。 当時はそんな事態が多発しました。

では、どうすれば採用担当者は社長との距離を縮めることができるのか。

そもそも「言われたことをやっていればいい」という感度の鈍い採用担当者には、社長は大事な話をしようとはしません。逆に感度がよく、経営者的な視点を持っている採用担当者とは、大事な話を積極的にしようとします。

たとえば社長の方針でしばらく若手層の採用を積極的に行ってきた会社で、採用担当者が現場の話を聞きに行き「そろそろ部下指導のできる中堅を採用しないとまずいぞ」という意見をキャッチして、社長が気付く前に「そろそろ中堅を採用したほうがよいのでは」と提案できるかどうか。

こういう採用担当者とは、社長は話をしたいと思うでしょう。

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先日、ある上場企業の経営幹部から連絡があり、食事をしたときのことです。

「丸山さん、最近うちの担当はどうですか?」
「何かありましたか?」
「いや、このところ入社してくる社員がどうもイマイチな感じで……。
そういうときはたいてい、採用担当者がイマイチなんですよね」

会社に戻って現場に確認してみると、やはり連絡にとても時間がかかったり、さんざん候補者への返事を待たせて不採用にしたり、さまざまな問題がありました。
その後、採用担当者は配置換えになり、この上場企業の採用業務は正常化しました。

このエピソードでも、いかに採用担当が重要なポジションかがわかると思います。

しっかりした採用担当者、すなわち「勝つ人事」がいれば企業はいい採用ができ、その逆もまた然りです。では「勝つ人事」の条件とは何でしょうか。

もっとも大事なことは「情熱がある人」です。
たとえば「採用を通じてもっといい会社にしてやるぞ!」「社長が描いているビジョンを実現できるパワーの持ち主を私が採る!」といった情熱を持っているかどうか。

私も長い間、リクルートで採用担当者をやっていましたが、採用は「会社を支えている感」を強く持てる仕事です。それを感じることができない人はいい採用ができません。

「3年後、5年後の中長期的な成長はいま、自分たちが採用している人材が支えるのだ!」。そのぐらいの情熱を持っていることが必要です。

見方を変えると「よい人材を採用しないと会社はダメになる」と心の底からわかっていない採用担当者はダメです。
そうでなければよい人材を採用するという執念が出てきません。

担当者の採用にかける情熱の有無は、対エージェントの場面で如実に表れます。わざわざ当社に出向いて説明会をしてくれる方もいますし、場合によっては自社の社長をエージェントに連れてきたりもします。

この間も誰でも知っているような会社の社長が当社にやってきて、1時間以上も時間をかけて採用方針と現況についてご説明いただきました。

そのうえで「目標の達成には採用の手をゆるめるわけにはいきません。ぜひよろしくお願いします」と言われ、当社の社員はとても意気に感じていました。

そうなると人間のやることですから、当社の社員は今まで以上に頑張ろうとしますし、私自身も「○○社長のところ、ちゃんとよい候補者出せているか?」とチェックするようになります。

つまり、担当者の採用にかける情熱はエージェントを動かし、よい採用につながっていくわけです。

情熱のある担当者は我々が候補者を口説くために必要な情報を惜しみなく出してくれるので、採用確率も高まります。内定の受諾を迷っている人がいると「口説くために何をしたらよいですか」と自ら言い、事業部長との会食を2日後にセッティングする、といったことまでやってくれます。

ところが採用担当者のなかには「そんなに迷っているならもういいです」と言い、放置してしまう人もいます。

これだとエージェントも頑張る気を失い、よい採用ができなくなってしまいます。

では、次回は【人事と経営者の距離】についてお話させていただきます。

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