採用コラム

Column Vol. 36

日本の就職活動の構造の変革には企業が成績の活用を始める必要がある(2)

前回お伝えした通り、今回は成績を活用することがいかに有効なのかについてお話します。

現在の成績は厳正な評価がなされていないので採用選考時に使えないのではと考えている皆さん、少しお待ちください。

実は現在の成績からでもわかることがたくさんあります。

最近、こんなトラブルはありませんか。

仕事において本人がしたくないことは極めて精度が低い、本人がやりたいことは嬉々とこなすがそうでないことは急に表情が変わってしまう、更に言えば急に会社にこなくなってしまうなどです。

実際の仕事の場面において採用場面でのイメージと違ったという話を耳にします。

最近では「新型うつ」などという病気まで出てきています。

このような入社後のトラブルの多くは、本人にとっても「したい仕事」ではなく、「しなくてはいけない仕事」の場面で起こっているのではないでしょうか。

本人にとってモチベーションが高い状態ではストレスの問題は起こりにくいものです。問題が起こる多くの場合は、本人にとって必ずしもモチベーションが高くない状態に起こります。

すなわち、採用選考の面接においてはモチベーションが高い時だけでなく、モチベーションが必ずしも高くない時の行動や考え、やりたいことをしている場面だけでなく、やらなくてはいけないことに対する認識や責任感を知る必要があるのです。

ここまで書いたところで、「ストレス耐性や、新型うつへのリスクに関しては市販のテストで対応している」とおっしゃる方もおられるのではないでしょうか?

しかしテストにはいくつかの課題もあります。

一つ目は多くのテストは、質問に対して回答する形式です。言い換えれば自分で答えを選択できます。

下記はあるテスト問題の抜粋です。
・将来の不安なことについて考えることがよくある
・仕事の能率が悪い人を見るとイライラする
・短気で怒りっぽい性格だ
・自分のことについて考え始めると止まらない
・いつも自分の感情を抑えてしまう

それぞれの質問に「はい」「いいえ」のどちらがストレスに強いかわかりそうではないですか?

二つ目はテストによってはネット上で対策が氾濫していることです。

そして、この二つ以上に大きい要因がテストで「注意を要する」というような結果でも、面接で全く気にならなければ採用することが多いということです。

人は誰でも目の前で話している印象が、テストの結果よりも優先したくなるものです。

ですからやはり面接でストレス耐性や、「新型うつ」のリスクを判定することが重要です。

では、なぜ面接においてこのような人を見極めることができないのでしょうか。

その理由を現在の採用選考において、学生は3つのポイントからしか話をしていないのではないでしょうか。

多くの企業では、面接時にエントリーシート等を見ながら質問をすることが多いはずです。

実はそのエントリーシートをツールにすることが大きな問題なのです。

3つのポイントに関しては次回にお話させて頂きます。

文 / 辻 太一朗
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前回まではどうして日本の就職活動の構造が負のスパイラルになっているのか説明しました。そしてこのままの状態では良くありません。海外との競争の中で、日本の学生の力、つまり学力や知的能力を伸ばすことが重要であり、そのためには現在のスパイラルを変えていく必要があります。どのようにスパイラルを変えていけばよいのでしょうか。

学生は自分にとってメリットがなければ動かない、学校の教授もメリットがないと動かないとなれば、企業がなんらかの形で大学の成績を参考にする、もしくは学業に興味を持つ動きを作るしかありません。

「大学の成績を参考にする」、「学業に興味を持つ」という動きが出るとスパイラルは一気に解消します。何度も述べていますが、まず企業が成績を少しでも参考にする努力をすることが重要です。

例えば参考に出来そうな授業だけ、もしくは学業に対して興味を持ち、学生に対して「どうしてその授業を取ったのか」と問いかけます。さらにその中でも厳正に「考える力」を評価している授業に対して興味を持ち、授業の成績に対しても興味を持つと様々な変化が起こります。もちろん、現段階では、学生が真剣に授業を受けているかどうかはわかりません。しかし採用選考時に成績がなんらかの形で評価されていると知ると、学生は同じ時間を使うならちゃんと成績を評価している授業を取り、その授業の成績をあげようと努力をします。

なぜなら、そうすることが就職活動で有利になると思うからです。すると今まで真剣に授業をし、厳正に成績を評価して学生に嫌がられていた教授の授業に学生がきちんと出席し、単位さえ取れれば良いのではなく最評価を取ろうと努力するようになります。
このように教授にとってメリットがしっかりと目に見えるようになると、真剣に授業をする教授が増え、更には厳正に評価をする授業が増えていき、より一層企業にとって参考に出来る授業が出てきて、成績が信頼できるものとなっていきます。

スパイラルを解消し世の中の動きを変えていくためには、企業が成績を活用することが重要です。
残念ながら、大手企業をはじめ多くの企業は採用選考のエントリー時に成績表を提出させていません。

今までの状況を整理しますと、大学の成績の評価はいい加減で、学生も真剣に授業を受けていないので文系学生の採用選考において成績を参考に出来ない仕組みになっているのは仕方ないことだと 思われてきました。
しかし、成績を活用することはスパイラルを解消する大きな手段になります。
そして実は成績表が採用選考において極めて有効に使えることがわかってきました。

こちらに関しては次回書かせて頂きます。

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