採用コラム

Column Vol. 32

「フォロー企画」を成功させるポイントは?

候補者に内定や条件提示を出した後、食事やお酒の席を共にして経営者が事業にかける情熱や希望を語ったり、自社の情報を提供して現実的な生活の安定と向上を確信してもらう機会をつくる。私たちはこれをフォロー企画と呼び、候補者フォローの上で非常に有効な方法だと考えています。

しかし、フォロー企画で絶対に欠かせないポイントを外してしまい、大した効果をあげられないケースもあります。そのポイントとは採用する側が「この人に入社してもらう」「この人を我が社で育て、成功してもらう」という覚悟を決め、フォロー企画に臨むことです。したがって、フォロー企画では基本的にジャッジの要素は排します。

よほど不安な要素がある場合は別として、フォロー企画を実施する段階で採否のジャッジがフラフラしてはいけません。ジャッジのエネルギーよりフォローするエネルギーのほうが上回っていないと、フォロー企画の効果がなくなってしまいます。「この人を採用するんだ!」という決意がないと、フォロー企画に迫力が出ないのです。
そもそも「ジャッジする」という行為を続けているときりがありません。入社前にお互いを知るためという目的で派遣やパートで働いてもらい、その上でジャッジしようとする会社を見かけますが、たいてい採否の判断は「ノー」になります。ある程度のタイミングで「この人を採用し、育てる」と腹を括り、ジャッジを止めないと際限がなくなってしまうのです。

もしいつまでもジャッジし続けるとしたら、飛び抜けて優秀な人材しか採用できないことになります。ピカピカの一流企業ならそれも可能かもしれませんが、中小企業がそんな人材を採用することは非常に難しい。それでは会社が社長一人になってしまいます。飛び抜けて優秀な人材を採用するのは困難という現実があるからこそ、何かしら不十分な面のある候補者を採用し、育成する覚悟が必要になるとも言えます。

フォロー企画の目的に立ち返ると、候補者に入社の決断をうながすこと、モチベーションを高め、入社時の発射角度を高めることの二点があります。ですから、フォロー企画を行うときは最初に企業側がしっかり腹を括り、事業にかける熱い思いを語り、不安の解消に必要な情報を提供することが欠かせません。そうすることではじめて候補者は「この会社で頑張ろう」と腹を括り、「社長と一緒にこの会社を大きくしよう」と発射角度が最大の状態で入社できるようになるからです。

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面接はジャッジの場であると同時にフォローの場でもあり、候補者の採用判断と並行して気持ちよく入社してもらうための関係構築を行わなければならない。そんな「ジャッジ&フォロー」の原則について以前、お伝えしましたが、逆に選考プロセス中のフォローの場面においても当然、ジャッジの要素が入り込んできます。

先日、当社の採用面接で一通りのジャッジが終わりフォローモードに入った途端、余裕を出し過ぎたのか面接官の前で足を組み出した候補者がいました。そんな風に「あ、俺は選考を通ったな…」と感じた途端、態度が変わる人をときどき見かけます。

とくに面接官が若かったり「入社したらこの面接官は俺の部下になる」という関係だったりすると相手を舐めてかかり、フォローモードに入った途端、それが態度に表れる人は意外といるものです。こういう人は違和感がありすぎますから、私なら採用しません。

このようにジャッジモードからフォローモードに切り替わり、気が緩んだときに出てくる態度は一つの判断材料になります。

また、候補者からの質問を受け、相手の関心のある事柄に訴えかけていくのもフォローの一つですが、そのときの質問内容に候補者の傾向が表れます。

たとえば、給与や福利厚生、退職金といったお金のことばかり聞いてくる人。もちろんお金に関する事項は仕事の大切な要素なので質問すること自体、まったく問題はないのですが、お金のことしか質問しない人は会社に対する興味は薄い可能性が高い。

恋愛でもプロポーズした相手が「将来、どんな家庭を築きたいか」というビジョンをすっ飛ばし、収入や懐具合のことばかり聞いてきたら興醒めしてしまうでしょう。そうなると当然、ジャッジは厳しい方向になります。

候補者からの質問に面接官が返答した内容に対する反応も、ジャッジの有効な材料です。私は面接で「社長が一番大切にしている価値観は何ですか?」「社員に求めているものは何ですか?」という質問をよく受けます。ところが一生懸命考えて答えたのに「この人は何を言っているのだろう…」という顔をする人や、軽く流して次の質問にいってしまう人がいます。これもジャッジは厳しくならざるを得ません。こちらが大切にしている価値観に反応しないのですから。

以上をまとめると、フォローの局面においては候補者の「きき方」がジャッジの有効な材料になると言えます。ここで言う「きき方」には三つの意味があり、一つ目は相手の話を聞く態度、二つ目は質問する内容という意味での「聞き方」。三つ目はこちらが話したことに対する反応や共感という意味での「効き方」。

フォロー中もこれら三つの「きき方」について観察し、違和感のある人に対しては厳しくジャッジするのがよいと思います。

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