採用コラム

Column Vol. 28

社長自らフォローを行うべき理由とは?

採用におけるフォローの重要性について前回は述べましたが、社内でそれを最も効果的に行えるのは社長です。とくに中小企業の場合、誰よりも情熱を持って自社や事業への思いを語れるのは社長自身をおいて他にはいません。しっかりと現実を踏まえた夢と、その実現に対する情熱を社長自ら伝え、採用すべき人を採用していくことが大切です。

中小企業でも採用の場に社長が顔を出さないところがあります。しかし何もしなければ自社より業界上位の会社に採用されていく。優秀な人材を採用したいなら、社長自身が面接で応募者に事業に対する夢と情熱を語っていかなければなりません。

先日、当社では非常に優秀な方を社員採用しました。実はこの人、優秀なだけあって当社が内定を出したとき、他の大手企業からも内定が出ていました。しかも給与は当社より大手企業のほうが約1.5倍。しかしどうしても欲しい人材と判断し、1時間半かけて社長の私自身がじっくりフォローを行い、本人に直接事業に対する夢や情熱を伝えたところ、一週間かけて熟考し、周囲の人にも相談した上で、最終的に当社への入社を決断してくれました。

採用には人事や現場の人たちも携わりますが、やはり社長でなければなかなか伝わらないことがあります。候補者に対する最強のフォロワーたり得るのは社長なのです。

ただし、社長が熱く夢を語りさえすれば応募者が説得されるのかというと、そんな単純な話でもありません。当たり前のことですが、社長が語る夢は本当に実現可能なのか、口先だけの出任せではないのか、応募者はよく見ています。

もっと言えば、中途採用の応募者は「情熱や夢だけでは食えない」現実をよくわかっています。もちろん夢や希望も求めていますが、その前提として生活の安定と向上を実現できるかどうかが大事だと考えているのです。

私自身、リクルート勤務時代も、そこから転職して入社した会社でもそうでしたが、やはり安定した生活ができるという安心感と、これから生活が良くなっていく予感を求めていました。もちろん会社が未来永劫発展し続けるわけではないことは重々承知していますが、「自分の収入が増えていく」「ひょっとしたら自分も役員や社長になれるかもしれない」といった明るい未来を現実的なものとして感じられるかどうかが大事なのです。

社長が事業に対する夢や情熱を過剰に語りすぎるとかえって逆効果になります。社員は自分の生活の安定と向上を求めていることをちゃんと押さえたうえで、そういった話をしていかないとうまくいきません。

ときどき「応募者には、ほら話を吹きまくればいい」と思い違いをしている方を見かけますが、社員は夢と現実の両方を求めています。夢と現実をバランスよく話すことが、社長がフォローを行う際の重要なポイントです。

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前回までは面接のプロセスを分析、整理し、よりよいジャッジを行うための方法をお伝えしました。面接におけるジャッジとは自社にとって必要な人をしっかり見極めることであり、採用を成功させるうえで非常に大きなポイントです。ただし、それだけでは不十分で、他に見落とされがちなポイントがあります。

「あなたは当社に必要な人材です」とジャッジしたからといって、その人が入社してくれるわけではありません。そもそも採用すべき人材であるほど、放っておけば自社よりもレベルの高い会社へ行ってしまいます。では、どうすればよいのか。そこで必要になるポイントが、応募者に対する「フォロー」です。「面接は応募者をジャッジする場」とだけ認識している人が多いですが、面接は応募者に入社してもらうためのフォローをする場でもあることを忘れてはなりません。適切なフォローをいかに行うかが、適切なジャッジとともに採用の成功・不成功を分ける大きなカギとなるのです。

採用におけるフォローのやり方はいくつかの場面に分けて考えるのがよいでしょう。一つは社長が応募者と一緒に食事に行き、熱く口説くようないわゆるフォロー企画。私はリクルート時代からこれをドリンクフォローと呼んで活用していました。

もう一つ重要なのが面接のなかにおけるフォローです。残念ながら面接の現場はジャッジだけに終始している会社が多いのですが、面接の最終目標は「採用すべき人を採用する」ことにあります。したがって、ジャッジとフォローは一体で行うのが鉄則です。

面接のなかでのフォローとはどういうことか。まず、面接官が応募者に接する姿勢が挙げられます。これは関係構築ともつながる話で、たとえば当社では採用の一次面接を私が担当しているのですが、「この人はもの凄くいい!」と思った人は、二次面接を担当するマネージャーたちに「ちゃんとジャッジしつつ、フォローモードでやって欲しい」と伝えます。するとマネージャーたちから醸し出される雰囲気がジャッジオーラから「仲間探し」オーラに変わり、面接の場がなごやかになって良好な関係を築きやすくなります。

また、応募者とのやり取りや質問への返答が的を射ていることは、フォローの観点からも大切です。たとえば、応募者が自分の大切にしている価値観や経験について話した後、面接官がちゃんと反応できるかどうか。面接は応募者が会社をジャッジする場でもあり、そうした点はよく見られていることを自覚しましょう。誰しも認知欲求を持っているので、自分が大切にしていることが認められれば嬉しい。なので、そこはしっかり反応していくべきです。

意識的に自社のプラス情報を伝えるというより、面接中のやり取りから「この会社の面接官は優秀で素晴らしい人物だ」と思ってもらえると、応募者にとってその会社の魅力は飛躍的に高まります。成長期のリクルートやリンクアンドモチベーションなど、採用力に定評のある会社がエース級の社員を採用活動に投入するのはこのためです。

A社の面接で出てきたマネージャーとB社で出てきたマネージャー、将来自分がなりたいのはどちらだろうかと応募者は考えています。面接官は自分もジャッジされていることにもっと意識を向けなければいけません。

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