採用コラム

Column Vol. 22

面接の基本は「事実ベースで話を聞く」

面接において重要なのは応募者の価値観を把握することだと前回のメルマガでお話しました。では、どうすれば人の価値観という抽象的なことを把握できるのかが今回のテーマです。

「あなたはどんな価値観を持っていますか」
「私は社会に役立つことを大切にしています」

こんなやり取りをして「ああ、それは素晴らしいですね」で話を終えていたら、その人が本当に大切にしている価値観などわかりません。大切なのは「事実ベースで話を聞く」ことです。私が自社の採用面接やエントリーいただいた候補者の方との面談で常に心がけているのも、この「事実ベースで話を聞く」です。これは価値観の話に限らず、経歴や能力についても同様です。

たとえば「社会に貢献する」を大切な価値観としているという方がいたら「その価値観に基づいて行動した事例を教えて下さい」と質問する。そして、その方が語った事例が本人の言う価値観を本当に反映しているかどうかをジャッジしていくのです。

能力についても、「自分はこういう点に優れている」と言ったら、それを裏付ける事実があるかどうかを確かめていく必要があります。最近は要領のいい人が増え、面接でご自身のアピールポイントを上手にプレゼンされる方が多くなりましたが、相手の主張をそのまま聞き流すのではなく、主張を裏付ける事実をつかみにいくことが大切です。そうでなければ適切なジャッジはできません。

言葉は悪いかもしれませんが、とくに中途採用の面接では「裏取り」が重要になります。そうすると突っ込みすぎて、たまに嫌な空気が流れることがありますが、それでもやらなければいけない。もっと言えば、本シリーズの第1回目で触れたように、突っ込んだ話をするためにも採用面接では関係構築が重要だ、という話にもつながります。

価値観の把握に話題を戻すと、その人の価値観が現れやすいポイントに注目することも大切です。そのポイントとは人生の節目です。過去の就職や転職など大きな決断の場面でどのようなストーリーがあり、何を考えどんな行動をして最終的にその選択をしたのか。そうした話を詳しく聞いていくと、その方の人となりがよく出てきます。

また、複数の転職を行っている人であれば、それぞれの節目について詳しく聞き、それらを比較することによって見えてくることもあるでしょう。一見、違う業界を転々としているように見える人でも、明確な価値観に基づいて判断を行っている人もいれば、単にその都度の思いつきで行動している人もいます。

「この質問をすれば一発でその方の価値観がわかる」といった便利な質問はありません。あくまで事実ベースで話を聞き、とりわけ人生の節目に着目することが価値観を理解するカギとなります。

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面接で応募していただいた方を深く理解する必要性について前回は述べました。では、どうすれば理解を深めることができるのか。そもそも応募者を理解するには何に注目すればよいのか。

まず、採用のジャッジにおいてどのような要素が必要かという観点から整理すると、二つの切り口があります。それは「価値観」と「能力」です。この整理の仕方は私たちがずっと試行錯誤を続けた末に、いまのところ落ち着いているやり方です。作成にあたってはリンクアンドモチベーションの取締役等を歴任し、現在はNPO法人DSSの代表や当社顧問を務める辻太一朗氏のアドバイスを受けました。

今回は価値観についてご説明し、能力については後の回で解説します。価値観とはその人を動かしている考え方や志向といったものを指します。行動原理やモチベーションの源泉、といってもよいでしょう。ただ、一口に価値観といっても面接で質問する内容としては抽象的になりすぎてしまうので、もう少し具体化して考える必要があります。

私たちの考えでは、人の価値観を構成している要素は二つあります。一つめは「対象」です。たとえばどんなものを手に入れたいのか、何に対して強い興味や関心を抱いているか、といったことです。要するにたくさんお金を稼ぎたい、出世したい等々、どんな対象にその人が価値を置いているか。これを「対象の価値観」と呼んでいます。

もう一つは「関係性」です。たとえば、成し遂げたいことはとくにないが他人には絶対に負けたくない。あるいは周囲の人とは対立せずにうまくやりたい、といった他人やコミュニティとの関係における志向性です。これを「関係性の価値観」と呼んでいます。

二つの価値観を軸に人を表現すると、その人がどんな人物かがより浮かび上がってきます。 「この人は目標達成にものすごくエネルギッシュである一方、周囲と対立したくないという志向が強いから他人を押しのけて数字を取るようなことは一切なく、卓越した成果を出しつつ周りともうまくやるんだよね」

こんな会話ができると、かなりその人のイメージがつかめるでしょう。

また、二つの価値観を軸とした会話ができるようになると、企業とのマッチングについてもより明解なイメージがつかめるようになります。 「あの人は上昇志向が強烈で、他人に負けたくないという気持ちも強い。アグレッシブなベンチャー企業には向いているけど、規制業種で落ち着いた社風の会社に行くと違和感があるかもしれないね」

その人が持っている価値観がわかれば、何によってその人のエネルギーが上昇し、何によって下降するのかがわかります。ですから面接において価値観の理解は能力の把握よりもある意味、重要なポイントになると言えます。

ただ、「あなたの価値観は何ですか」と尋ねても、その人が持つ本当の価値観を把握することはできません。どのような聞き方をすれば応募者の価値観をつかめるのかについて、次回はご説明したいと思います。

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